参考書はこう使う

【参考書はこう使う】ことば言いかえ例文集

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・中学受験の国語は古文や英語のように単語、熟語を覚える
・実戦的な「語彙力」強化に「ことば言いかえ例文集」
・特長は例文の“リアリティ”と解釈文の充実度
・読解力はアップするのに、語彙に取り組んでいる人は少ない

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★中学受験の国語は古文や英語のように単語、熟語を覚える
国語の読解で偏差値が上がらない子どもの中には、「語彙力」が決定的に欠けているというケースが結構多く見られます。特に慣用句や和語に弱く、読解問題のポイントになる表現が分からないまま読み進み、結局漠然と分かったような、分からないような状態で問題を解きます。正確な根拠を持って解答していないため、彼らは正解を「当たった」、誤答を「ハズレた」などと表現して、読解はあたかも「運」が得点を左右するくらいに思っています。

日本人だから日本語で書かれた国語の問題文は何とかなるだろう、と親御さんは考えがちですが、子どもにとって中学受験レベルの問題文は同じ日本語でも古文を読むような感覚。あるいはまったく別の英語のように感じているかもしれません。

ならば、古語や英単語を覚えるように、国語も「単語」や「熟語」を覚えていくのが、国語の対策の1つと言えるのではないでしょうか。

英単語を覚えるように語彙力強化は大切

実戦的な「語彙力」強化に「ことば言いかえ例文集」
 「語彙力」強化にオススメなのが、個別指導塾「TOMAS」の教材開発部が2012年に編集した「ことば言いかえ例文集」(リソー教育、税別1300円)です。上下巻あって、「中学入試で必須の“ことば”700語を生きた文脈で学ぶ」というのが売り文句ですが、国語の素材文を読むうえで、あるいは言葉の意味自体を問う問題で「よく出そう」なものを集めています。

 サピックスの生徒が使っている「言葉ナビ」も良いのですが、掲載されている文章に少しパンチが効いていないかな、と個人的に思うので、短文ながら見出し語以外の語彙も磨ける「ことば言いかえ例文集」の方が“実戦的”のように思われます。

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 最近は書店でほとんど見かけず、絶版になっているのかもしれませんが、アマゾンやメルカリ、ヤフオク、時々ブックオフなどでは見かけますので、入手は不可能ではないようです。

「ことば言いかえ例文集は上下巻セット

特長は例文の“リアリティ”と解釈文の充実度
 和語、漢語、慣用句を中心に五十音順で配列。見出し語が「唇をかみしめる」だったら、左横に「語義」(意味)として「怒りや悔しさをこらえる。くやしがる」と書かれています。

 多くの漢字にルビが振られているので、やる気になれば3年生くらいから少しずつやるのもありでしょう。低学年のうちから、漢字と言葉に親しむのは国語力という点で大きなアドバンテージになりますから。

 本書の特長は例文と解釈文です。例文はオリジナルの創作から入試問題の一部までさまざまですが、他の言葉系の参考書が「悔しくて唇をかみしめる」と、ごく短い文で“リアリティ”に欠けるものが多い中、

 「もうええ。お前みたいななまくらは、ここにはいらん。二度と帰ってくるな」去っていく大きな背中を、吉蔵は、唇をかみしめて見送った。

 と、実際の国語の素材文から抜き出したような例文が1つずつ示されています。

 その横には例文をさらにかみ砕いた「解釈文」があり、理解を深めてくれます。前の例文の解釈文は以下の通りです。

 「もういい。お前のような未熟者はここには必要ない。二度と帰ってくるな」と言って去っていく大柄な後姿を、吉蔵は、悔しさを我慢しながら見つめた。

 見出し語以外にも「なまくら」など、日常ではなじみのない言葉も解釈文でさりげなく言い換えて分かりやすくしています。これを重ねていくと、語彙力は格段に増していきます。

言葉の海に挑戦して語彙力を増強しよう

読解力はアップするのに、語彙に取り組んでいる人は少ない
 各見出し語には通しで番号がふってあり、700語中どれだけやったかも分かります。ただ、五十音順に配列されているので、いろいろな言葉を満遍なくマスターしたいのなら、下一桁5のものをやってから、次に8のものというように工夫してやるのも手です。

 赤いチェックシート付でテキストを読んで確認していくという勉強法良いですが、6年生の秋など差し迫った時期でなければ、ノートを作って、自分だけのオリジナル問題集をコツコツ製作するのも面白いと思います。

 例文を書き、その横に解釈文を書いて、マスターしたい語、ここなら「なまくら」「唇をかみしめて」の部分を空欄にして書き込むのです。例文でも解釈文でも、どちらを空欄にしても構いません。コピーをして、何度も取り組んでください。

 語彙の強化をきちんとやっている受験生は少ないです。適したテキストがあまり見当たらないというのも一因なのでしょう。しかし、地道にやっていれば、必ず読解問題の実力アップに貢献します。1日1つで構わないので、取り組むことをお勧めします。

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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池ノ内 潤

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