中学受験質問箱

【中学受験 質問箱】5年生の9月からでも間に合いますか?

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・小5の秋からの受検スタートは“急ぎ足”
・首都圏模試で中学受験の一般的レベルを知る

模試の出来には期待せず
その後の進み方が違う「偏差値60超」と「カジュアル受験」
レベルに関係なく家族は同じ方向へ向かうこと

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【質問】5年生の男子です。夏休み中に子どもから「中学受験をしたい」と言ってきました。親としてはあまり考えていなかったことなので正直驚いています。中学受験の知識は小学校で同じクラスのお母さんから、その大変さを断片的にしか聞いておらず、全くと言っていいほど何も知りません。少し調べてみると、4年生から準備を進めるのが普通で、5年生の秋からとなると、かなり遅れを取っていることになりそうです。小学校の勉強はできている方だと親は思っていますが、今からでも何とかなるでしょうか。子どもは友だちが目指しているから、という理由で「麻布中学へ行きたい」と話しています。

5年秋から挑戦

★小5の秋からの受検スタートは“急ぎ足”
中学受験は一般論ではくくれないところが多々あります。おっしゃる通り、4年生(正確には3年生の2月)から中学受験のための学習はスタートするというのが「定番」です。しかし、早い子は小学校入学時から、遅い子は6年生の夏前後から「走り出す」場合もあり、どこから始めるのが正解かは一概に言えません。

 ただ、質問にあるように「麻布を狙って小5の秋から」となると、受験を決意するのなら“急ぎ足”にならざるを得ないと思います。もちろん、のみ込みが早かったり、元々かなり優秀で「一を聞いて十を知る」ようなタイプなら、6年から始めてもという子もいますが、それはレアケース。合格体験記に載っているそのような例は、稀だからこそ取り上げられている、と思ってください。大半が地道に努力した結果での合格です。

急がないと時間切れに…

首都圏模試で中学受験の一般的レベルと自分の立ち位置を知る
 さて、5年秋から中学受験の勉強をするとなると、大手進学塾に入って、というのは難しいでしょう。小学校の勉強は100点続出でも、段違いにレベルが高い中学受験では、途中参入して塾の授業についていくのは至難です。まず、5年生の9月、10月の段階で中学入試用の同学年の模試を受験して、自分の立ち位置を知ることをお勧めします。

 最初は各大手進学塾の模試より、首都圏模試が力試しには良いと思います。進学塾のそれに比べ、出題が標準から基礎的なものが大半なので、中学受験をする一般的なレベルが認識できると思います。

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首都模試で立ち位置と中学受験のレベルを確認

模試の出来には期待せず
 ただ、出来はそれほど期待しない方がいいと思います。算数は大問1の計算問題ができていれば上出来でしょう。次の小問集合はどうでしょうか。大問4以下は(1)が正解ならば、中学受験の勉強も半年くらい懸命に頑張れば、同学年の子の標準レベルには達します。

 国語は漢字や語句の問題を8割正解してほしいところ。読解は小学校で「できる」子でも半分正解すれば、というところ。理科社会は小学校の内容では太刀打ちできない問題も多いです。

 中学受験用の参考書で自学をしていたり、親塾でやっていたというのなら、いい勝負になると思いますが、“素手”では…というレベルなので、偏差値よりも今はどのあたりに自分がいるのかを知る、というのがまずは大切になってきます。

まずは自己分析から

その後の進み方が違う「偏差値60超」と「カジュアル受験」
 逆に初参戦で偏差値60超ならば、進学塾途中参戦も可能です。中学受験の基礎部分はある程度できているとみられるので、あとは塾で積極的に勉強し、6年夏前までには最難関、難関校レベルに達することが1つの目標。麻布を志望するなら、秋から主に日曜日に開催される学校名が付いた「冠付き」の特訓講座に出席できるようになれば、入試で勝負になります。

 偏差値にはこだわらず、現状の実力で合格できる“カジュアル”な受験でいいのであれば、個々のペースと家庭の経済事情に合わせて学習を進めていってよいでしょう。ただ、ペースメーカーとして模試はこまめに受けて、自分の立ち位置を確認しておくことが大切です。

 偏差値が30、40台で中堅私立以上(首都圏模試の偏差値55以上の学校)なら受験を再検討してみてください。それでも、というなら手厚い指導が期待できる地元の個人経営の塾か、信頼できる家庭教師に週3くらいでお願いするのが得策。ここで計画を立て、いつまでにどのレベルに、という具体的目標を掲げて勉強を進めてみること。ただ、予定通りにはほぼいかないので、スケジュールに余裕を持たせることが必要です。

ガチの受検とカジュアルでは進む方向は違う

レベルに関係なく家族は同じ方向へ向かうこと
 そう考えると、ただでさえ1年半遅れのスタートとなるわけですから、親御さんも受験生も「覚悟」が必要です。熱望校、志望校は最後まで諦める必要はありませんが、結果が出なかった場合に他の中高一貫校に進むのか、それとも地元の公立中学校へ行くのか、事前に決めておいてください。

 中学受験は何年も前から準備した家庭でも、受験結果によって進路をどうするか、混乱します。中学受験が原因で親子関係、夫婦関係が悪化、壊れることもあるくらいですから。時間的余裕はありませんが、「話し合い」だけはしっかりして、家族が同じ方向を向いている状態にすることが、レベルに関係なく、中学受験の第一歩となります。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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池ノ内 潤

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