不合格体験記

【不合格体験記】偏差値70超 算数小僧の悲劇

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算数は完璧だったのに…最難関全滅
“トップ オブ トップ”の“算数小僧”
算数小僧の国語の解き方
・「当たる」と偏差値60台、「ハズれる」と30台の国語
・算数小僧、補欠合格の基準にも達せず
・中学受験最強の必勝法は「バランス」と「地道さ」

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算数は完璧だったのに…最難関全滅
コウキ君が入学することになった中高一貫校は、偏差値の区分で行けばいわゆる「難関校」。しかし、狙っていた「最難関」と呼ばれる学校はことごとく落ちてしまいました。

 開成、渋谷幕張、聖光学院…首都圏の偏差値トップ校は1つも受かりませんでした。「算数は完璧にできたはずなのになぜ…」肩を落とすコウキ君。家族もこのうち1つくらいの合格を確信していただけに、難関校の合格では納得いかない様子で、通っていた塾への報告も、塾側から連絡が来るまで“音信不通”でした。

最難関校、むまさかの全滅端…

“トップ オブ トップ”の“算数小僧”
「算数は完璧」この言葉が示すように、コウキ君は算数に滅法強い“算数小僧”。サピックスの模試では偏差値70以上は当たり前。順位は1位の時もしばしば。計算問題を解くスピードは速く、図形でも数の問題でもパズルを楽しむかのようにスパスパできてしまいます。

テストを終えるのも早く、クラスの子が半分とか、3分の2程度くらいしか終わっていないのに涼しい顔をして、見直しをするでもなく、問題用紙の余白に数字を書いて自分で考えたというゲームで遊んでいることが常でした。

 「中学受験は算数」「算数を制する子は受験を制す」。よく聞く中学受験の“あるある”です。確かに算数のできる子は中学受験の世界で一目置かれます。最難関中に合格した子で「算数が苦手で…」という子を探すのが難しいくらいです。コウキ君はその中でもトップを走る“トップ オブ トップ”。塾の小テストで1番を取れないだけで、泣いて悔しがるくらいの子でした。

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算数の満点は当たり前のコウキ君

算数小僧の国語の解き方
 コウキ君は理科社会もそこそこできます。算数ほどではありませんが、偏差値にして60程度はあります。嫌いではありませんが、算数よりは面白みは感じていませんでした。

 しかし、国語に関しては全くと言っていいほど興味がありませんでした。嫌いと言った方が早いかもしれません。「ダラダラ長い文を読まないといけないでしょ。算数みたいに、パッと答えが出ないんだもん」とコウキ君。

 漢字の書き取りは別として、文章問題は説明的文章でも物語文でも、傍線や空欄の近くだけを読んだりして、大して考えもせず「これ!」と選択肢を選んで答えてしまいます。記述問題もそれほど考えず、素材文に即してというより、頭に浮かんだことをさっさと書いて終わりにしてしまいます。

 国語は得意な子でも試験時間が余るということは滅多になく、算数以上に時間が足りないという声が上がるものですが、コウキ君に限っては関係なし。みんなが時間がだんだんなくなり、焦りの色を浮かべる中でも平然としていました。

早く終わって、時間たっぷり余る

「当たる」と偏差値60台、「ハズれる」と30台の国語
 しかし、これでは国語の得点、偏差値とも安定しません。偏差値が高い時は60前後まで行きますが、低い時は30台前半とジェットコースター並みのアップダウンです。

 「少しは国語も真剣にやったら?」というお母さんの助言もどこ吹く風。コウキ君にとって勉強とは、算数を極めることにありました。あらゆる中学の算数の問題を解きまくり、「中学への算数」も隅から隅まで…。その間、国語は漢字すらやろうとしませんでした。

 コウキ君はよく国語の点数が良かった時は「当たった!」という表現を使いました。逆に悪い時は「ハズれた」という言葉を口にしました。国語の基本である、素材文に沿って客観的に問題を解いていくというのではなく、自分の感覚で、感性で問題を解いていたという象徴的な言葉です。

 コウキ君は本来頭の切れる子です。だからこそ「当たった!」時は、まずまずの成績になります。普通の子ならこうはいきません。時々でも“独自の方法”で点数が取れてしまうからこそ、そのやり方から離れられず、とうとう受験当日までそのスタイルは変わりませんでした。

国語は「当たり」か「ハズれ」かのコウキ君

算数小僧、補欠合格の基準にも達せず
 大人の複雑な気持ちを読み取らなければならなかった開成の物語文、文豪の独特の世界観が理解できないと解けない渋幕の問題、聖光学院はきっちり全文を読まないと傍線部の周囲を漁っただけでは正解に至らない問題でした。

 コウキ君、試験終了後は「合格した!」と豪語していましたが、目指していた3校はすべて不合格。「当たった!」と思っていた解答は、後で赤本と照らし合わせてみると、ことごとく不正解。おまけに得意の算数で、スピードを重視するあまり、ケアレスミスが続出。惜しいどころか補欠合格にも達しないであろう得点だったようです。

最難関はかすりもせず…

中学受験最強の必勝法は「バランス」と「地道さ」
 算数が苦手だと確かに中学受験は苦戦します。親御さんも算数の出来不出来には神経を尖らせており、科目別で一番相談が多いのも圧倒的に算数です。最近は「算数1科入試」を実施する中学も男女問わず増加傾向で、得意な子は優位に受験勉強を進められます。

 しかし算数頼みで他の教科のバランスを考えない中学受験は「危うい」です。特に国語は算数と同じ配点の学校が大多数です。このことを忘れ「国語は感性。勉強法がない」といって“無関心”なのは、本番で痛い目を見る可能性は高くなります。

  中学受験最強の必勝法があるとすれば、それは「バランス」と「地道さ」。得意科目頼みより苦手を極力作らず、ある場合は早期に「つぶしておく」こと、それに1つ1つの問題にきちんと取り組むことが、一番確実な必勝法です。当たり前のようですが、当たり前のことを当たり前にやることが何でも一番難しいのです。

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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