数字でみる中学受験

【数字で見る中学受験】男子6.94校、女子6.66校

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受験校“ノミネート”は1人平均7校程度
午後受験の流行、4日以降の試験がけん引
ネット出願でできるようになったこと、消えた“風物詩”
21年度入試はコロナで出願校数微減の可能性
ICT教育で私立中高一貫校に魅力も横たわる経済的な問題

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受験校“ノミネート”は1人平均7校程度
 中学受験では1人平均して何校ぐらい受験するのでしょうか。首都圏模試センターの調べによると、2020年は男子で6.94校、女子は6.66校に出願したという数字が出ています。同じ学校に午前と午後の2回分出願したとか、1日の第1回と2日の第2回申し込んだなどの場合は、1校としてカウントしています。

 これは「出願」ベースなので、2月1日の第1志望校合格して3日や4日に出願していたものの「任務完了」となり受験しなかったケースなどがあり、実際に受験したのは5校程度というのが“相場”(出願した以上、受験の検定料がもったいないと全て受けた子ももちろんいます)です。

出願は7校程度が相場

午後受験の流行、4日以降の試験がけん引
 ここ3年の傾向としては、同調査で男子は微増、女子は横ばい。東京、神奈川の受験生を中心に解禁前の1月に千葉や埼玉、関西などの首都圏会場入試を受ける「前受け」「お試し」受験が当たり前になり、多くの家庭で2校前後出願しています。

 2月1日以降は最近、午後受験がトレンドになっていることから増加傾向で、男子の微増は午後受験もできる学校が数多くなったことが、数字を押し上げている要因とみられます。受けるか受けないかは結果次第で変わってきますが、先回りして出願だけは済ませておく親御さんが最近は目立ちます。

 3日までが受験の「ヤマ」とみられますが、4日以降も人気校や大学附属校、中堅、一般校が第2、3回の入学試験を用意しています。納得する志望校にまだ合格していない、あるいは進学先は確保したので、偏差値的に見てもう1ランク上の学校や憧れだった学校にトライするというケースがここで出てきます。

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2月4日以降はさらなる挑戦組も

★ネット出願でできるようになったこと、消えた“風物詩”
 最近はインターネット出願が大半になり、極端な話、試験前日の午後11時59分59秒までに“ポチッ”とすれば、翌日試験会場に座席が用意されています。出願したその直後から、家庭用プリンターで受験票が印刷でき、受験番号が印字されています。顔写真が必要な学校でも、「ミライコンパス」という全国の800を超える学校が採用しているインターネット出願システムで1度登録してしまえば、2枚も3枚も用意する必要はなく、他の学校に出願した写真と同じものが使えます。

 かつて徹夜までして願書提出をするのが中学受験の“風物詩”でしたが、ほぼその光景は見られなくなり、合格発表も掲示板の前での悲喜こもごもの物語は見られなくなりつつあります。

 合格発表も試験当日にネットで行うことが珍しくなくなった昨今、その結果を受けて出願するという流れもできつつあり、受けるかどうか不確定要素が強い段階で出願しなくてもよいケースが出てきたのは、お金のかかる中学受験で多少ですが“経費削減”につながります。もっとも、最近は同じ学校を複数回受験する場合は、割引制度が適用されることもあり、そういう中学が人気という傾向も見られます。

最近はPCでもスマホでも出願できるところが大半

21年度入試はコロナで出願校数微減の可能性
 コロナ禍の中で行われることが濃厚な2021年度入試は、受験生の数は減ることはないというのが大手進学塾の大方の見方です。ただ、感染の危険を避けるため、受験校数は絞られる可能性があります。「前受け」校を減らす、1日以降も受験結果を受けてからの出願など、親御さんが立てる戦略に変化がみられるでしょう。

 一方で御三家や大学附属など、根強い人気のある学校に加え、女子校から新しく生まれ変わる広尾学園小石川や東京・豊洲に広々とした美しいキャンパスを持ち、女子を受け入れることになった芝浦工大附属など“ニューフェイス”に受験生が集まるのは間違いなさそうです。学校によって受験生の増減がはっきりする年になるかもしれません。

広大なキャンパスが魅力の芝浦工大附属中

ICT教育で私立中高一貫校に魅力も横たわる経済的な問題
 21年度はコロナの影響があったとはいえ、5年生までの頑張りを考えたら受験から撤退するという選択をする家庭はそう多くはないと思われます。問題は22年度以降です。大企業でもこれだけ業績が悪化し、給与やボーナスの削減に直面すると、経済的に私立中高一貫校進学は難しいという家庭が続出しても不思議ではありません。

 情報通信技術を利用したICT教育では、私立中学の素早い対応に比べ、公立の遅々として進まない対応とが「差」として強調されました。その点、私立中高一貫校に魅力を感じている親御さんは多いと思いますが、「先立つものが…」という現実的な問題があります。22年度以降の中学受験市場の動向は不透明な要素が多く、予測が難しいです。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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池ノ内 潤

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