塾・家庭教師

中学受験の第一歩塾選び(8)塾の先生との“距離”

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「塾の先生との距離」は最重要項目
・大手進学塾大規模校舎の“質問難民”
・なぜ「質問がしにくい塾」が存在するのか
・子どもにはハードルが高い先生への質問
「質問がしやすい2つの物理的環境」
質問する際の最低限の「マナー」
・自分で考えた“足跡”を残したまま質問をする意味

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「塾の先生との距離」は最重要項目
 塾の知名度、合格実績、通塾時間に距離…中学受験のための進学塾を選ぶ場合、さまざまな基準があると思いますが、それ以上に重要な要素として親御さんに考慮してほしいのは「塾の先生との距離」です。

 この点で一番思い浮かぶのは学習に関する「質問」ではないでしょうか。中学受験で塾の先生に質問がしやすい環境というのは、“百万の援軍”を得るくらい強力な武器になります。逆に言えば、質問がしにくい、質問の機会をつくるのが難しい塾は、メリットは少ないと言っても過言ではありません。

質問のしやすい塾は強い味方になる!

大手進学塾大規模校舎の“質問難民”
 入塾のパンフレットやホームページで、ほぼすべての塾が「先生への質問ができる」とうたっていると思います。しかし、実際には「質問タイム」のような決まった曜日と時間にしか機会がなかったり、質問の数が制限されたり、質問は併設の個別指導塾へと暗に誘導されることもあります。

 大手進学塾の生徒数が3ケタ前後の大規模校舎ではその傾向で、“質問難民”状態の子は、そのまま放置して成績が上がらないままか、親御さんが手を打ち、家庭教師などに依頼し、質問を兼ねた「塾対策」の勉強をするという事態になるケースも少なくありません。

塾での“質問難民”は多い

なぜ「質問がしにくい塾」が存在するのか
 このようなシステムにしていることを塾側も決して良し、とは思っていないことは確かです。できれば塾生の質問に時間をかけて丁寧に答えたいと思っています。それを許さないのは、際限なく質問を受け付けているときりがないからです。

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 塾講師の長時間労働につながるという見方もありますが、迎えに来ている親御さんを長時間外で待たせていると近隣からの苦情が寄せられるという問題も抱えています。授業が終わると、先生や職員が引率して最寄り駅に送っていくのも防犯や交通安全の観点もありますが、塾に質問であまり長居されても…という大きな声では言えない事情もあります。

塾に対する風当たりが強い地域も…

★子どもにはハードルが高い先生への質問
 親御さんは子どもに対して「分からないことは先生に質問してきなさい」とよく言います。しかし、子どもにとって大人である先生に自ら質問へ行く、というのはとてもハードルが高いことです。心臓がバクバクして、うまくしゃべれない子の方が普通です。

 せっかく勇気をもって先生をつかまえても、一方的に説明されてよく理解できないまま「ありがとうございました」で終了。あんな緊張する思いをしたのに、たいしてわからなかった…という経験をしてしまった子は、もう二度と質問しようという気は起らなくなります。これでは塾に高い月謝を払って得られる「特典」を有効利用していないことになります。

子どもにとって先生への質問はハードルが高い

「質問がしやすい2つの物理的環境」
 そうならないためにも、塾選びの際に「質問がしやすい環境」を優先することは長い目で見ると、かなり強力な武器を手に入れることにつながります。その環境は2つの物理的ポイントがあります。

 1つは大手進学塾でも比較的「中小規模の校舎」であること。生徒の人数も少なく、それに比例してというわけではありませんが、質問をぶつけてくる生徒もそう多くはない傾向です。中でも若い先生は熱心に付き合ってくれます。キャリアは浅いかもしれませんが、熱意をもって教えてくれます。

 親御さんが“ひと肌脱ぐ”ことも必要な時があります。子どもが質問する勇気が出ないときやきっかけがつかめないときは一本電話を入れるなりして、先生の都合を聞いて時間を取ってもらいます。

 もう1つは「子どものお迎えの際に親御さんが塾の中で待つことができる」こともポイントです。まめに迎えに行き、先生とあいさつだけでも交わしておきます。時間があれば立ち話をして子どものことを話し、コミュニケーションを取ります。そこで機会を見計らって「今度質問に行かせますのでよろしくお願いいたします」などと“売り込み”をしておきます。親御さんが場面に応じて一歩前に出る、子どもの志望校合格への欠かせない布石です。

お迎えは大切な先生とのコミュニケーションの場

質問する際の最低限の「マナー」
 ただ、質問する側にも「マナー」はあります。それは「できるところ、分かるところまで自分で考える」ということです。絶対にやってはならないのが「丸投げ」質問です。「せんせー、全然わかりませーん」「全部わかんなーい」と言って先生の前に現われるのは、例え先生に教えてもらったとしても問題が解決することはほとんどありません。

 先生に質問する前に、必ず分からない問題に自分なりに取り組みましょう。「全然分からないから先生に質問するんでしょ?」という声が聞こえてきそうですが、それでも自分なりの「考え方」を持って行きましょう。

自分なりの「考え」をもって質問へ行くのがマナー

自分で考えた“足跡”を残したまま質問をする意味
 例えば算数なら分からないなら分からないなりに、自分の引き出しの中の持っているものを総動員し、考えられる式を立てて計算してみます。途中で行き詰まっても消しゴムを使って“なかったこと”にしないように。自分の考えた“足跡”は必ず残したまま先生に質問します。

 すると、先生はどこでつまづいているかが分かります。つまりその子に合った教え方の方向性が決まります。生徒も自分で考えたことによって、分からないところ(どこからが分からないのか)がおぼろげながら頭にあるので、先生とやり取りしながら解決への糸口を見つけられるようになってきます。

  ある1つの「分からない」が解決したことによって、断線していた線がつながるかの如く別の「分からない」が「分かるようになる」場合もあります。逆にこの問題が解けなかったのは別の「分からない」があったからで、戻ってそこを「分かる」ようにしなければ先へ進めない、となるかもしれません。

自分が考えた“足跡”を残して質問する

自ら“カスタマイズ”して「先生との距離が近い塾」にする
 ある程度の節度は必要ですが、学習面での質問がしやすい環境にあれば、中学受験に関するあらゆる相談も垣根がなくなり、頼りがいがある塾になります。

 塾の先生は基本的に面倒見のいいひとが多いです。時には親御さんが前に出て「先生との距離が近い塾」に自ら“カスタマイズ”してしまいましょう。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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