親御さんの役割

親御さんが中学受験を「勉強する」とは?

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中学受験で「親御さんも勉強」するとは?
塾での学習、子どもの理解度を整理見直す
子どもには授業への「参加」を徹底
こんなに難しい中学受験の世界
バトル必至なら第三者に任せるのも

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中学受験で「親御さんも勉強」するとは?
 中学受験で我が子を真剣にサポートしようとするなら、「親御さんも勉強」と何度も書いてきました。塾から帰宅して、復習のためにまた子どもに勉強を教える、という意味の勉強ではありません。ここでいう勉強とは、①中学受験で合格するために必要な学習レベルを知り、②今子どもが塾で何を学び、どれぐらい理解しているかを分析して、③具体的に子どもに合った学習計画を立てて力をつけていく、ことを総合的に行うことを意味します。

 つまり中学受験という家庭一丸となって挑む戦いにおいて、親御さんは成否のカギを握る「作戦参謀」の役割を果たします。作戦が上手ければ「戦いに勝利=受験で合格」し、作戦がまずければ戦いに敗れるか、勝ち負け以前に勝負までたどり着けない=力不足で受験すらはばかられる、ことになります。

親御さんは子どもに合わせて次の一手、次の一手を考える

塾でやったこと、子どもの理解度を整理し計画立案の繰り返し
 子どもに勉強を教える必要はありません。むしろ、毎回塾の授業に参加して(“授業を聞く”のではありません)収穫を持って帰宅することができるように、1週間かけて準備します。これには計画が必要で、計画を立てる前提として子どもが塾で何を勉強し、どこまで分かっているかを把握していなければできません。先に書いた②と③の作業です。このサイクルをひたすら3年近く繰り返して、1つ1つ積み上げるようにして力を蓄え入試にぶつかるのです。

 子どもが塾で何を勉強しているかを知るには、各学年であらかじめ作成されている「カリキュラム表」が塾のホームページにありますし、年度最初の保護者会などでも配布されると思います。これを下敷きに子どもが塾から帰ってきたら、子どもからさりげなく授業の様子をヒアリングし、テキスト、ノートなどをチェックします。塾でどんなことをやったのか、子どもの状況はどうなのか(取り組んだ演習問題が解けているか、どのレベルまで理解しているか)を整理して、宿題や復習をどうやっていくか計画します。

子どもの状況に応じて作戦を立案する

親御さんは伴走 子どもには授業への「参加」を徹底
 計画を立てて「はい、じゃあやって」と子どもに丸投げしては、分析・立案しても意味がありません。「宿題やりなさい」「勉強やりなさい」と口うるさく言うだけの親御さんと結果的には一緒です。一人でも、言われなくても「勉強習慣」、「勉強体力」が付くまで、宿題、課題の丸付けに代表される「伴走」があってこそ、“作戦参謀”の存在は活かされるのです。

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 計画の進捗具合、子どもの理解の度合いなども見つめながら計画の変更、修整を常にしていきます。そのためには子どもの勉強出来に一喜一憂することなく、冷静に、客観的に子どもの今を分析、今後のことを見通しながら計画を進めていく必要があります。場合によっては、親御さんが“助っ人”として登場し、苦手単元、理解が進まないところの克服に手を貸します。あくまでヒントを与えたり、解決の糸口を提示するのであって、一から十まで教えるのではありません。

 ただ、どんなに優秀な作戦参謀がいても、計画に柔軟性があっても、戦士であり、主役である子ども自身が塾の授業に積極的に授業に「参加」してこないと計画は生きてきません。授業に「参加」とは、脳ミソに汗をかき、ああだこうだと考えながら、自力で解答をひねり出すことです。静かに座って、先生の話を聞き、分からない問題は板書の模範解答をノートに写すのは、授業に「参加」していることにはなりません。この授業での姿勢は、明らかに実力差となって、その差は広がる一方になります。

子どもが授業に積極的に「参加」してこその学習計画

★こんなに難しい中学受験の世界
 実際の問題として、ここまでできる親御さんは実はそんなに多くありません。理系出身の親御さんでも理科は大丈夫でも、受験算数は数学とはひと味違うので教え方に工夫が必要ですし、文系の親御さんは苦戦します。国語も「小6でここまでやるのか」というくらい、読解の素材文は長文ですし、大人が読む新書などの文章が出題され驚かされます。社会にしても、公立高校の高校入試よりも難しい出題も珍しくありません。親御さんの経歴によっては、とても太刀打ちできないというケースも少なくないでしょう。

 加えて共働きの親御さんなら、自身の十分な勉強の時間がなかなか確保できません。勉強だけのサポートだけでなく、学校選びの検討や塾弁の心配など、専業主婦やパートなどに出ていても時間がある親御さんと比べれば、時間の使い方、サポートの方法など工夫が必要になります。

 それでも我が子のためにたとえ火の中、水の中となれるのは親御さんだけです。塾は受験に必要な教材とノウハウの提供はしてくれますが、子どもにカスタマイズしての学習は限度があります。程度の差はあれ、親御さんのサポートは中学受験の肝です。

親御さんも中学受験を“体験”することが大切

★バトル必至なら第三者に任せるのも手
 経済的にゆとりがあるのなら、家庭教師、信頼できる個別指導塾に“助っ人”をお願いするのも「あり」です。あるいは大手塾ではなく、面倒見の良い個人塾に転塾するというのも選択肢としてはあります。

 親御さんに「作戦参謀」としての力はあっても、我が子相手に冷静になれない、客観的になる自信がないというのなら第三者に任せた方が良い結果になる可能性も高いです。これから子どもも反抗期に入ります。親子バトルほど中学受験で無駄な時間はありません。

 子どもに酷な戦いをさせている以上、親も一緒に立ち向かってやらないと、子どもだけがつらい思いをしていることになります。少しでも中学受験を勉強した親御さんなら、その過酷さは分かるはずです。中学受験をすると決めた以上、親御さんも覚悟が決めてください。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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