不合格体験記

中学受験「繰り上げ合格」はこうしてやってくる

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合格発表以上に忘れられない日!?
・“方向転換”でやってくる2度目の復活の機会
・「今さら…」という複雑な思い
・「読み」が難しい入学手続き者の数
電話に出ないと繰り上げ合格の権利はどうなる?

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★合格発表以上に忘れられない日!?
2月11日は中学受験を頑張り抜いてきた子どもたち、親御さんにとって、合格発表以上に「忘れられない日」になるかもしれません。多くの学校ではこの日、入学金を支払った合格者の初の招集日となっていることが多く、親子で出席することによって入学の意志を最終的に示すことになります。その象徴的な“イベント”が、制服の採寸や体操着などの購入です。

 しかし、招集日に出席し、制服の採寸も済ませたにも関わらず、4月の入学式に姿を見せない子どもが毎年数人います。不合格だった、あるいは補欠合格だった中学校から「繰り上げ合格」の連絡が入り、そちらへ入学することを決めたからです。

 コロナ禍の影響で、21年度入試は「地元志向」「安全志向」の傾向があり、これまで合格すれば進学先に選ばれた学校が意外と手続き率が低く、早い時期から繰り上げ合格を出しているようです。

「朗報」は突然やってくる

“方向転換”によってやってくる2度目の復活のチャンス
 繰り上げ合格の連絡は、入学金手続きが締め切った時点で募集定員に満たない場合に各受験生が出願時に指定した電話番号にくるのが通常パターンです。これが「最初の復活のチャンス」と言えるでしょう。

 入学の最終確認の場が2月11日の第1回招集日となるのですが、一度定員を確保したはずなのに出席していない入学予定者がいた場合、さらなる追加合格の連絡をします。2月11日はいわば「2度目の復活のチャンス」になるわけです。他の中学校に入学の意思を示し、入学金もその他の費用も払い込んだにもかかわらず、志望順位の高かった学校から連絡が入って“方向転換”へと動きます。

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2月11日は「2度目の復活のチャンス」

「今さら…」という複雑な思い
 憧れていた第1志望校からの“合格”の一報に、飛び上がるほど喜び、すぐさま手続きへ、という家庭も多い一方で、「今さら…」と複雑な思いを抱く受験生親子も少なくないようです。

 合格発表直後なら一日千秋の思いで待っていた追加合格の朗報が届かず、気持ちを何とか切り替えて違う学校へ進学することを決め、入学金だけでなく一部の費用も支払い、制服まで注文してしまってから「うちへどうぞ」と言われても…、というところです。

 しかも受験で大金を使い、進学の意思を示した学校の入学金、制服の代金が返金されないとなれば、裕福な家庭は別として「はい、そうですか」とは簡単にはいきません。緊急家族会議の結果、祖父母や親せきに借金をして繰り上げ合格した中学へ進む場合もあれば、「一度ここに行くと決めたから、もういい」と方向転換しない子もいて、その決定の瞬間はもしかしたら合格発表以上に“劇的”かもしれません。

緊急家族会議は時として“劇的”に

★「読み」が難しい入学手続き者の数
 各中学校は合格発表の際に募集定員より多く合格者を出すのが普通です。募集定員通りだと、入試の倍率は7倍とか8倍でも、実際の倍率は2~3倍程度になります。受験生は複数の学校を併願しているのが当たり前なので、合格しても入学するとは限らないからです。

 なるべくなら“正規合格者”のみで定員を確保したい中学側ですが、これを読むのはなかなかな難しいのです。長年の経験で、これくらいの線なら確保できるという人数の合格者を出しますが、年によって計算通りにはいかないこともあります。募集定員に満たない場合に、繰り上げ合格によって定員を確保するのです。

 2021年度入試はコロナの影響で、受験校も絞り、進学する意思のある学校しか受験しないという傾向もあって「歩留まりがいい」と話す学校関係者もいます。歩留まり、つまり合格、入学決定という流れの受験生が多いということです。一方で難関校、人気校といえども、コロナ禍が収束しない中での遠方からの通学をためらう家庭も出てきており、合格はしたものの…という家庭も多く、繰り上げ合格が多発しているようです。

最後の決定は受験生本人に

電話に出ないと繰り上げ合格の権利はどうなる?
 「繰り上げ合格の連絡はその時に電話に出なかった場合、次の人へ権利が動く」という“伝説”が一部であるようですが、これはウソ。ほとんどの学校は「連絡がつくまで何度でも電話をする」としています。

 首を長くして連絡を待っている親御さんがそういうことはないと思いますが、「知らない番号だから」と表示された番号に出ない、ということがないように。それはきっと朗報なのですから。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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池ノ内 潤

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