不合格体験記

【不合格体験記】コロナ恐れて前受け回避がアダに…

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コロナ禍でいきなり2月1日受験
電車を降りて緊張 会場でまた緊張
4戦全敗 吹っ切れた“敗者復活戦”
実戦経験不足が響き思わぬ長期戦に
実戦経験を重ね第1志望はフル回転で

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★コロナ禍でいきなり2月1日受験
新型コロナウイルスに感染したら、2月1日の第1志望受験はできない。この「恐怖」は体験した人にしか分からないと思います。これまでの受験常識が通用しない場面も多々あった2021年度年度入試。「前受け受験なし、いきなり第1志望」という受験生も多く、その選択が運命の分かれ道になったという事例は今回かなりあったようです。

 女子校志望のサクラさんもコロナによって、いきなり2月1日受験を選択。それが厳しい5日間の始まりになってしまいました。

コロナに翻弄され続けた21年度入試

★電車を降りて緊張 会場でまた緊張
 電車を降りて、駅のホームに立つと急に顔が熱くなったサクラさん。電車の中では座って、社会の時事問題集に目を落としていたので気が付かなかったのですが、同じように保護者に連れられて改札口へ急ぐ同い年の女子がたくさんいる光景が目に入り「この人たちと競争するの…、えーっ、みんな頭良さそう。ヤバいなぁ」という気持ちになったそうです。

 試験会場に入るとアクリル板に三方を囲まれた机があり、座ってみると何とも窮屈な圧迫感。みんな静かにして入試開始を待つ、シーンとした時間に緊張は最高潮に。気のせいか、お腹が痛いような感覚にも襲われました。

 テストが始まっても調子が出ません。最初の国語の試験では得意の漢字の書き取りで、3つも自信のない問題が出題され、説明文は内容がいま一つ読み取れず。算数は前半で手こずり、大問2つが手つかずのまま終了。過去問対策にあれだけ時間を割き、合格点も超えるようになったのに…と落ち込み、残りの理社はどうやって解いたのかもよく覚えていませんでした。

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アクリル板に囲まれての入試は圧迫感が…

4戦全敗 吹っ切れた“敗者復活戦”
 できたのか、できなかったのかもよく分からないうちに終わった1日入試は不合格。ペースのつかめないままで進んだサクラさんの受験は2日も午前と午後で連敗。3日にいたっては、名前を書き忘れたことに試験終了後に気が付きというありさま。それが影響したかどうかは不明ですが、合格に至りませんでした。あれだけ過去問対策をして臨んだ第1志望校入試で、緊張のあまり力を出せなかったつまずきがここまで響いてしまい、親御さんもぼう然自失です。

 予定していた4校に全敗。家庭教師の先生の勧めで万が一のためにと、過去問を1年分だけやった中学を4日に受け、5日に学校見学すら行ったことのない中学に出願することを決めました。何とか両校に合格。“全敗”して泣くだけ泣いたサクラさんは「ここまで来たら、もう自分の力だけで勝つしかない」と“敗者復活戦”は吹っ切れたそうです。どん底から自力で気持ちを立て直したのは、素晴らしいです。

泣くだけ泣いたら吹っ切れて合格

★実戦経験不足が響き思わぬ長期戦に
 サクラさんは家庭の方針で埼玉、千葉での1月入試を受験せず、2月1日の第1志望、東京入試に臨みました。当初コロナに感染しても東京入試までは2週間空く埼玉入試で受験本番の雰囲気に慣れるため、2校出願していたものの、お母さんが「感染が怖い。子どもは大丈夫かもしれないが、付き添いの私が感染したら…」と、埼玉受験中止を決めました。1都3県に2度目の緊急事態宣言が出された8日のことでした。

 塾も家庭教師の先生も「いきなり第1志望からでは荷が重い。せめて1つだけでも受験を」と勧めましたが、そこは頑として譲りませんでした。千葉入試も当然のように受験せず、塾も家庭教師もリモートでお願いして、2月1日を迎えましたが、結果は先述の通り。最初のつまずき、しかも第1志望の受験失敗で、気持ちの動揺が落ち着くまで時間がかかってしまったのです。「たら」「れば」になってしまいますが、前受けをして受験の実際の雰囲気を1、2度経験していれば、このような流れにはなっていなかった可能性が高かったでしょう。

実戦経験を積み重ね離れすることは大切

★実戦経験を重ね第1志望はフル回転で
 ワクチンの接種が日本でも始まり、来年の中学受験は21年度とは違う、例年に近い入試になる希望が湧いてきました。少なくとも受け入れる中学校側ではコロナ禍の入試でもやれるというノウハウを習得したといえるので、感染対策に信頼を置いて受験できることか分かりました。

 一方で12歳の受験は大人が思っている以上にちょっとしたことで動揺し、元に戻すことが難しく、自分でコントロールできなくなるのは、どんな状況下でも大きく変わらないでしょう。普段気が強い子でも、あまり感情の起伏のない子でも同じです。中学受験は実戦の場数を踏むことで、だんだんエンジンが暖まって本命の学校を受験する際にはフル回転できるようにコンディションを整えたいものです。第1志望受験までに受けられる学校があるのなら、やはりトライして「リアルな受験」を経験すべきです。1回の入試は過去問演習5年分以上の価値があります。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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池ノ内 潤

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