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中学受験 合格体験記はこう読む(1)

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冷静な「読み方」が必要な合格体験記
合格体験記の“悲惨な状況”のホントのところ
勉強法は参考になるが“答え”ではない
「過去問反復」が意味するもの
合格体験記は参考程度にオリジナルのストーリーを

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★冷静な「読み方」が必要な合格体験記
 3月の声を聞くと、各大手進学塾のホームページには、今年の合格体験記がちらほら出始めます。まだ興奮冷めやらぬうちに書いた手記は臨場感にあふれ、全く縁もゆかりもない人のストーリーなのに、こちらも読んでいて胸が熱くなります。

 これから受験を控えている5年生以下の生徒、親御さんにはとても参考になる情報や考え方、示唆に富む経験など、宝の山ですが「感動した。頑張ろう」で終わらせないためにも、合格体験記は冷静な「読み方」が必要になってきます。

合格体験記は冷静に読むべき

合格体験記の“悲惨な状況”のホントのところ
 合格体験記で親御さんの感動を誘うのが「奇跡の逆転合格」の話でしょう。模試で一度も合格可能性が80%に達しなかったが本番で逆転合格とか、過去問で一度も合格点に達していなかったのに受かった、というような話です。

 子どもが書いた合格体験記でも、親御さんのものでも「12月の模試で判定が20%になってしまい、もうダメかと…」とか「1月に入ってもスイッチが入らずどうなるかと…」などと書いています。その通りだとすれば「よくぞそこから合格を!」と、まったく見ず知らずの人の話でも感動を覚えます。しかし、体験記が伝える“悲惨な状況”は、本当のところ文面から実情はほとんど分かりません。模試の判定が20%でも、それまでの複数回の平均が50%以上なら心配する必要はありませんし、スイッチが入っていないといっても親御さんが謙遜して書いている可能性がほとんどです。

 温度感は当事者と第三者では違うにもかかわらず、文面からの情報を真に受けて都合よく解釈して、そういう状況でも受かる、と読み手側が安易な希望を抱くと、最後まで「まだ本気出してないだけ」という逃げの言葉で本番を迎えることになります。結果は見えていますよね。

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「やればできる」は大切だが、それだけでは…

勉強法は参考になるが“答え”ではない
 「間違えノート」「親と一緒に朝の計算練習」「算数の解法暗記」…、合格体験記にはいろいろな勉強法も披露されています。それぞれの家庭が編み出した“●●家メソッド”を確立して、惜しげもなく公開しているものもあって感服します。

 しかし、その子にはハマっても、我が子には当てはまらない場合もあります。試す価値はありますが、うまくいかなくてもがっかりしないことです。勉強法は人の数だけあって、正解はありません。最大公約数的なものはあっても絶対ではなく、合う合わないが子どもによってあります。そこの判断ができるのが親御さんであって、だからこそ子どもの「観察」が必要になってくるのです。

 勉強法は合格体験記に答えを求めるというより、ヒントにするくらいの気持ちで「参考文献」として読んでいくぐらいがちょうどいいでしょう。

勉強法はそれぞれ オリジナルの方法の確立を

 

★「過去問反復」が意味するもの
 「過去問を何度もやった」という手記も時折見かけます。確かに入試説明会では中学側の先生も過去問の重要性を説きます。過去問は必ずしっかり解いて入試に臨む必要はありますが、同じ年度を「何度もやる」というのは、受験する中学校によって使い分ける必要があります。

 中堅校、一般校ならば「過去問反復」はかなり有効です。前年や数年前と全く同じ問題はまず出ないと思っていた方がよいのですが、形式や考え方、単元は同じものが頻出するという学校も多いです。特に算数や理科は数値を変えただけで同じアプローチをすれば解ける問題が多い傾向です。

 しかし、難関校へ行くと話は変わってきて「初見の問題」がどれだけ出るかが、入試のハイライトになります。初見、といっても考え方や見方を変えればできる問題も多いので、類題を塾のテキストから拾い上げたり、他の中学から似た問題やアプローチの仕方が似ている問題を解く方が有益になります。過去問とともに、塾の先生と連携して類題演習をした方が過去問オンリーより勝てる可能性は高くなります。

過去問ばかりにとらわれないで

★合格体験記は参考程度にオリジナルのストーリーを
 先輩方がどういう道筋をたどり、目標を達成できたかの合格体験記は非常に貴重です。専門家と呼ばれる人たちが、いくら理想的な受験プランや流れを提供しても「ライブ」には勝てません。ただ、それは●●家の受験ストーリーであって、同じものは2つとしてありません。合格体験記は「そういう話もある」程度にとどめ、オリジナルのストーリーを今度は自ら確立してください。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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