数字でみる中学受験

【数字で見る中学受験】親子で中学受験84%

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コロナ禍でも増えた中学受験
・中受経験者が子どもにも、の理由
部活に「居場所」がある
進学にも将来にも関わる先輩の存在
一貫校卒業生 期待したい彗眼

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★コロナ禍でも増えた中学受験
21年度の中学入試で、東京と神奈川の解禁日となる2月1日の受験率は1都3県の小学6年生の17.3%(首都圏模試センター調べ)。コロナ禍で減少もありうるという予想もあった中、今年も微増となり6年連続で上昇しました。

 誰も予想だにしない非常事態ではあったものの、それまでの数年間頑張って勉強したことを考えれば、経済的に少々苦しくなっても「撤退」という選択肢はなかったのでしょう。その要因の1つに親御さんも中学受験経験者、という背景があるような気がします。

中学受験は増加の一途

中受経験者が子どもにも、の理由
大手進学塾「栄光ゼミナール」が今年1月に行った「小中高生と保護者の中学受験・高校受験に関する調査」(調査対象、小3から高3の子どもを持つ保護者726人)によると、保護者が中学受験を経験した家庭では、私立・国立中学校の受験、公立中高一貫の受検を経験したあるいは検討中と答えたのは84.0%に達しました。これは親御さんが高校受験組だったのと比べると、16.5ポイントも高いという結果でした。

 受験勉強は楽ではなく、金銭的にも出費がかさむにもかかわらず、挑戦は後を絶たちません。そこには1990年代を中心に地元の公立中学ではなく、私立などの中高一貫校に進んだ現在子どもの親になっている世代が、自分のこれまでを振り返った時に「メリット」を少なからず感じているからにほかならないからであって、当然の選択と言えるのかもしれません。中学受験に対して戸惑いがあまりない、というのも受験人口増の特徴の一つでしょう。

我が子のために中学受験をと考える“中受経験者”の親は多い

★部活に「居場所」がある
 中学受験を経験して6年間の一貫校へ通学する「メリット」は人それぞれで、ひとまとめにするのは難しいことです。親御さんとしては大学進学を見据えての先取り学習や、附属校ならば「エスカレーター式」に進学できる特典などが挙げられるかもしれませんが、子ども目線で言うと部活動や価値観の近い友人、先輩との関係が築けることもメリットとして数えられるでしょう。

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 私立中学の多くは運動部の種類も多彩で、恵まれた環境での活動ができるところも少なくありません。施設は水泳部なら室内プール、サッカー部なら人工芝、体育館も2つあるところがあって、公立なら譲り合わなければならない場合でも各部が自由に使えたりします。強豪、といわれる一部の学校もありますが、どちらかというと勝負より競技を楽しむ傾向にあり、公立中学だと入部に躊躇しそうな「下手だけど好き」という生徒もウエルカムの雰囲気があるのも特徴です。

 文化部系も公立ではあまり見られない部活が堂々と活動しています。運動部と掛け持ちも比較的自由で、時間が許せば3つくらい所属している子もいます。

 男子生徒の場合、公立中だと文化部に所属している生徒は元気のいい運動部の子に比べて肩身の狭い思いをすることが多々ありますが、私立の特に男子校では運動部より“でかい顔”をしている部は珍しくありません。鉄道研究部にコンピューター部、生物部やクイズ研究会…思春期に女子の視線を気にすることなく、趣味に没頭できるのは楽しくて仕方がないようです。公立と比べ勉強も大変なのですが、早起きして学校へ行くのも嫌がらないのは、自分の「居場所」である部活があるからという子も少なくないようです。

「居場所」は子どもの成長に大きな役割を果たす

★進学にも将来にも関わる先輩の存在
 さまざまな個性が集まる中高一貫校で同じ入学試験を突破してきた同級生の存在も格別なものです。普段は意識していませんが、学校があるメッセージ性を含めて出題した入試問題で合格点をマークした仲間は、どこか気持ちも通いやすいものです。もちろん合わない子もいます。そっちの方が多いかもしれません。でも、必ず1人や2人通じ合う子がいます。部活を通じて、課外活動を通じて、あるいはクラスメイト…。かけがえのない存在と出会うチャンスが広がるのも中高一貫校の特徴です。

 もう一つ、近いところに高校生の先輩がいるのも子どもの考え方の成長に大きな影響を与えます。特進クラスもなければ、手厚い受験指導がなくても御三家と呼ばれる学校や伝統校が大学受験で結果を出し続けるのは、先輩の背中を見て自然とそのスタイルのいいところ、自分に合うものを採り入れ、カスタマイズしていくからなのです。親御さんが「勉強しなさい」というより、成功も失敗も見せてくれる先輩の存在を中学1年から見ているのは貴重です。子どもにとっての大きな財産。その後の生き方さえ決めてしまう可能性も秘めています。

中高一貫校のつながりは卒業後も続く

一貫校卒業生 期待したい彗眼
 中には勉強漬けの6年間で終わるような中高一貫校もあります。できる子優遇して、ついてこられない子は深海魚(成績が上がらず下位に沈み続ける)という自称“進学校”も残念ながら存在します。偏差値や大学合格実績を中心に学校選びをすると、「後悔する」危険性は高いです。

 受験して一貫校へ通った6年間の経験があるからこそ、親御さんの彗眼(けいがん、物事の本質や裏面を見抜くすぐれた洞察力)に期待したいところです。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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池ノ内 潤

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