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大変身!光英VERITASに思うこと


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・「覚悟」を感じる校名変更
・志願者激増、偏差値上昇、上々の滑り出し
・「豪華幕の内弁当」は何がウリなのか…
・21年度最大の目玉改革は「昼食」!?
・“鮮度”を保つ必殺技は「進学実績」

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★「覚悟」を感じる校名変更
 「光英VERITAS(こうえいヴェリタス)」という中学・高校をご存じでしょうか。千葉県内の方なら最近聞き覚えがあるかもしれませんが、そのほかの方はなじみがあまりないと思います。

 千葉県松戸市にある同校はこの21年4月に、かつての聖徳大付属女子から校名変更し、男女共学校としてリニューアルスタートした中高一貫校です。日本史で一番有名といっても過言ではない聖徳太子の教えを踏まえた教育を展開してきた学校が、校名に横文字、しかもラテン語で「真理」を意味する「VERITAS」を入れるという大胆な変更は、学校改革に突き進む、並々ならぬ「覚悟」を感じます。

改革に覚悟を感じる光英VERITAS

★志願者激増、偏差値上昇、上々の滑り出し
 斬新な校名変更と共学化、教育内容のさまざまな挑戦は中学受験をする子どもの親御さんに“刺さり”ました。入試回数や男子の募集が始まったので単純比較はできませんが、例えば、1月22日に行われた第2回入試では男子97人、女子125人の計222人の志願者がありました。前年は女子のみで70人。女子だけでも約80%増になり、中学受験らしい3桁での入試が行われました。

 1月20日の「理数特待」では実質競争倍率が4倍となり、同24日の「特待選抜」も2.7倍、21年度に新設された2月の第3回入試でも2.2倍となり、これまでの比較的こじんまりした入試から、にぎやかな入試へと様相が一変しました。

 入試が終わってから追跡調査などを基に出す「結果偏差値」も「特待選抜」で女子は80%偏差値が3ポイント上昇。上々の滑り出しとなったようです。

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志願者、知名度とも上昇中

「豪華幕の内弁当」は何がウリなのか…
 これまで同校が実践してきた「探究型学習」「ICT教育」「小笠原流礼法」をベースに校名変更、共学化とともに取り入れるシステムが「トルネード・ラーニング」とよばれるものです。トルネード(竜巻)のごとく、あらゆる学びを巻き込んで探究を深め、それを積み上げていくたびにレベルを上げていくのが狙いです。探究のテーマとして主に強化していきたいとしているのが「サイエンス」と「グローバル」。東京理科大との連携や英語習得のための国内外の留学プログラム、オンライン英会話に洋書多読など、用意されているメニューは豊富です。進学面でも21年度から放課後に学年別ではなく、レベル別の補習システムをスタート。東大生などをチューターにして、大学受験に向けての体制を整えようとしています。

 まさに至れり尽くせり、学校が大きく変わっていく中での「目玉商品」が満載で、受験校の1つとして考えていた親御さんも引かれたことでしょう。しかし、矢継ぎ早の改革に個人的には「詰め込みすぎ」という感が否めません。

 男子が入ることで環境が大きく変わることは理解できます。進学実績も上げていかなければ、校名変更の新鮮さも「賞味期限」がありますからいつまでも頼っていられません。ただ、主役は子ども達です。なるほど提供される教育内容や資材は立派ですが、これだけ量が多いと「消化不良」になりはしないかと心配です。たとえは悪いのですが、品目だけやたら多くて後に印象が残らない「豪華幕の内弁当」のような感じです。何が学校のウリなのかが伝わらないのです。

21年度最大の目玉改革は「昼食」!?
 校名変更、共学化と並んで個人的に一番の改革だと感じたのが「昼食」です。読売新聞の電子版の20年12月4日の記事によると、同校はこれまで昼食を「会食」と呼び、「食堂(じきどう)」へクラスごとに整列して入室、黙想したのち全生徒同じ「一汁二菜」の食事をしていましたが、一転して「カフェテリア」を新設。日替わりランチ、丼もの、カレーなど6種類を日替わりで提供し、ボリュームもSからLまで3種類の中から選べるようにしました。生徒から募集した丼もののメニューも採用するなど、昼食の雰囲気はガラリと変わりました。

 ここまで短期間で「食」の改革をやるのは聞いたことがありません。男女問わず、学園生活での楽しみは「昼食」です。それを大胆にイメチェンしただけでもインパクトはあり、21年度の改革はこれだけでも良いくらいです。他の改革は1年ずつ年を追うごとに小出しにした方が「つねに動いている」印象が外部に伝わり、より評判になったかもしれません。

オシャレナカフェテリアなら人気を呼びそう

★“鮮度”を保つ万能薬は「進学実績」
 来年も校名変更と共学化の“鮮度”は保つことができるでしょう。説明会のプレゼンテーションの仕方次第では“保冷剤”効果でさらに「もつ」でしょう。

 しかし、その先は目に見える結果を出さないと、なかなか親御さんの目はシビアです。一番わかりやすい、万能薬は「進学実績」です。今年入学の「VERITAS1期生」が大学進学で、目覚ましい結果を出すかどうかで、世間の評価は決まってきます。正直“自称進学校”の域を出ない現在、今後自他とも認める進学校になってこそ、現在打ち出しているさまざまな改革に血が通うことになるのではないでしょうか。光英VERITASの今後に注目です。(受験デザイナー・池ノ内潤)


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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