半年で偏差値13アップのワケ
◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・「夏休み頑張ったのに…」を避けるために
・6月で偏差値47 2月に海城合格
・記述の「型」を徹底する
・点数ではなく進歩を評価する
・苦手克服にかかる時間は半年近く
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★「夏休み頑張ったのに…」を避けるために
そろそろ夏期講習の申し込みの話が出てきている頃と思われます。夏期講習機会に心機一転、ねじを巻き直して再スタートを試みる受験生、親御さんはたくさんいます。その成果を発揮すべく、9月に行われる模試である程度納得のいく成績を期待します。
しかし、実際に偏差値がアップしたという例は少なく、現状維持、あるいは下がったという報告事例が多くを占めます。「あんなに夏休み頑張ったのに…」と親子で落胆し、以後のモチベーション維持に支障をきたすこともあります。
そういう中でも成果を出し、以後の受験勉強に弾みを付けて志望校合格を勝ち取った家庭も存在します。成績が伸びなかった子とどこが違ったのでしょうか。実例で検証してみます。
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★6月で偏差値47 2月に海城合格
6年生男子。6月のサピックスオープン(SO)での偏差値は総合で47。第1志望の海城の合格可能性偏差値に達するには10以上足りません。算数の偏差値62に対し、国語、社会が偏差値40台前半と大苦戦していました。
しかし、9月のSOでは総合54.8にまで引き上げ、最終的には12月のSOで総合61.7まで引き上げ、海城ほか3校に合格しました。40台前半だった国語と社会は、国語が最高で58.5、社会は62.9まで到達しました。

★記述の「型」を徹底する
取り組んだことを紹介します。国語は漢字と語彙力の再確認の徹底と記述問題への「型」の習得でした。スタートは6年生に上がる直前の3月から。塾のない日を使ってルーティーン化しました。
漢字は塾の小テストを4年生から総ざらい。語彙もテキストに出てきたものを拾い上げ、親御さんがオリジナル問題を作成。穴埋めや意味の選択問題で増強しました。記述は塾のテキストに沿って現在進行形で記述問題を余すところなく解きました。「Aは〇。それに対してBは●」「Aが〇なのは、●だからである」など対比や理由などを述べる基本形の文を作って答えられるように徹底しました。

★点数ではなく進歩を評価する
夏期講習中、国語は宿題となっている各中学校の過去問演習を必ず午前中にやり提出、記述を中心に先生の指導を念頭に解答の再構築をしました。その際にも春から取り組んできた記述の「型」を意識。漢字は正確に書くことを第一にトメ、ハネ、字のバランスに留意、ミスでの失点を避けることに神経を使いました。
社会は土曜特訓の演習問題を徹底的にやりこみ、実際に出される問題形式で点が取れるようにしました。夏期講習に入ってからも同じで、一問一答式の問題集は避け、志望校以外の過去問を使っての実戦力養成に努めました。
親御さん曰く「少しでも進歩しているところを見つけて、点数以外のところで評価しました。“漢字、いい字が書けるようになったね。形がいいよ”“もう年表の問題は神の領域だね”とか。苦手克服に取り組んでいることを認めてあげたことが良かったのかもしれません」。継続を心掛け、気分良くすることを念頭に置いていたようです。

★苦手克服にかかる時間は半年近く
個人差とレベルにもよりますが、苦手科目を克服するには半年近くかかります。夏休みに取り組んだからといって、2カ月後の9月に結果を出す子どもはそう多くはないのです。
夏休みに頑張っても、休み明けに結果が出ないのは当然であって、結果が出たとしたのなら、克服の出口に近づいていたか、小石程度の障害物を取り除く程度の苦手だったか、夏休み以前から取り組んでいたかのいずれかの可能性が高くなります。 今回は夏休みより4カ月前の3月から取り組んでいたことが大きく、それが夏休みの2カ月弱をプラスして9月に花開いたのです。
5年生くらいから子どもは反抗期もあり、6年生になると親御さんの受験勉強アシストを嫌います。それもあって苦手科目克服に親御さんが関与しにくいという傾向にありますが、もう時間的に余裕があるとはいえません。追い込まれた夏休みに、ようやく重い腰を上げても直後には結果が出ないことも珍しくありません。夏休みまであと1カ月強あります。今からでも遅くありません。できることから苦手克服の道を進んでみてください。