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その日のための「平常心」 
・塾での日常の姿勢が入試へとつながる 
・アウェーの生徒が6回模試受けた意味 
違うことだらけなのに「いつもと同じ」 
・中受は一生に一度 だから「積み重ね」 

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その日のための「平常心」
バドミントンでオリンピック出場を狙える岩崎楓(元槻坂46の平手友梨奈)が東大専科に入ったのはケガがきっかけでした。人より格段に優れた、人生で勝負できるものを持っていながら、それがある日突然武器にならなくなる絶望感は計り知れません。一方で(ドラマとはいえ)すぐに方向転換して別の目標を打ち立てて、それにまい進していく姿は、今の子には珍しい「力強さ」を感じました。 

 楓が伝えたメッセージはスポーツも勉強も、自分の気持ちをどうコントロールできるかで、勝敗は決まるということです。気持ちだけ(気合だけともいう)では勝てませんが、最後のひと押しは、受験でもスポーツの試合でも「気持ち」。入試本番では、感情の波が小さい=平常心でいられるかどうかが、合格のポイントです。 

 その日のために、その1日のために、普段から「平常心でいられる自分」になるように、さまざまな「体験」を積み重ねることが大切です。 

★塾での日常の姿勢が入試へとつながる 
 「体験」は日常のさまざまな場面でできます。例えば、塾での授業。知的好奇心、通塾している目的、志望校合格への強い思い、などが比較的しっかりしている上位クラスの生徒は、授業で先生の言動に、取り組む問題にそれぞれ集中します。今やるべきことに取り組みます。90分の授業なら、その時間を有効に使うことができます。自分の気持ちをコントロールできるのです。  

 一方で中下位クラスでは授業に集中せず、おしゃべりをしたり、ちょっかいを出し合って“じゃれている”子がたくさんいます。当初は授業をきちんと参加するつもりだった生徒も、その流れにのまれて気が緩み、緊張感のない時間を惰性のように過ごす残念なケースも少なくありません。高い金額を塾に支払っている親御さんにとってな嘆かわしい光景が繰り返されます。休まず通塾しても成績も偏差値も上がらないわけです。 

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 この2タイプの差は成績だけでなく、入試本番でもしっかり表れます。普段の授業で「やるべきことをやっている」生徒は、終始落ち着きがあり、1つの科目が終われば次の科目と切り替えがすぐにできます。終わった科目の出来が気にはなりますが、それはそれ。気持ちのコントロールができるので引きずりません。 

 日ごろの授業から集中できていない子は、試験が終わるたびに塾の仲間とわさわさ答え合わせをして一喜一憂。次の科目に向けて頭が切り替わらず、頭の中が雑然とした状態で次の科目ということになります。とても試験に集中できる状態ではありません。 

 桜木先生は「試験当日は周りを気にせず自分のことだけ考える、当日は答え合わせをしない」と東大専科の生徒に伝授しました。雑念を払って試験に集中する、難しいことですが、それは普段の勉強姿勢から培われ、これが合格へと向かうのです。 

アウェーの生徒が6回模試受けた意味 
 楓も含め東大専科の生徒は、学校外で「揉まれた」と思います。シーンでは1回しかありませんでしたが、専科の生徒は6回の東大模試を受けたようです。合格判定で実力がどれだけついたかをみるより、その目的は「アウェーでの勝負」を平常心で臨めるようにする、というところにあったのだろうと推測できます。 

 偏差値30そこそこの龍海学園の生徒は東大を目指す生徒の中では蚊帳の外、完全アウェーの存在です。超進学校の生徒たちが目指す東大の試験会場に足を踏み入れたら、恐らくビビってしまって勝負にならないでしょう。そこで桜木先生は、生徒たちが平常心で力を発揮できるよう、その光景、雰囲気を6回模試を受けることによって慣れておく=日常と同じ空間の一部にしておくことを重要視したのです。 

 小杉真理(志田彩良)が東大二次試験の会場で着席するなり心の中でつぶやいた「模試で何度も経験したこの雰囲気。うん、いつも通りやれそう」と思った時点で東大合格にグッと近づき、あとは答案を書くだけの態勢になっていたのです。 

違うことだらけなのに「いつもと同じ」 
 中学受験でも「ホームゲーム」ばかりで「アウェーの戦い」を経験してこなかった受験生は本番で緊張してしまい、思った通りの結果を出せない場合が多々あります。模試と言えばいつも通っている塾の校舎、周りはいつもの塾の友達、歩いていける距離の塾は試験開始5分前に到着しても余裕――。行動も気持ちも楽かもしれませんが、何の緊張感もありません。 

 実際の中学校が会場になっている模試を受け(受験校でなくても可)、周りは知らない子ばかりで話をする相手もいない、わざわざ電車に乗って1時間かけて会場へ、遅れないように早めに家を出たら30分前に到着した。さて、試験までまとめノートに目を通しておこうか――。模試と言えどもこの「体験」の積み重ねが大切です。 

 こういう経験を何回もしていると、入試本番でも「模試感覚」で臨むことができます。模試会場も毎回違う、周りの生徒も違えば、会場へ向かうルートも違う。違うことだらけなのに「いつもと同じ」と思えるのは、入試で勝負する前から自分のペースになっているからです。どこの試験会場へ行っても、試験前から「いつもと同じ」と感じられることは、かなりのアドバンテージになります。 

中受は一生に一度 だから「積み重ね」 
 楓の父親が言っていたように「東大入試は毎年ある」けれど、中学入試は一生に一度です。だからこそ、その日のために向かって入念な「積み重ね」が勝敗を分けるのです。 

 学習面での積み重ねは言うまでもなく、そのうえで最後の決め手になるのが「気持ち」の積み重ね。入試当日にビビらず、十二分に力を発揮できるのも、さまざまな「経験」があるからなのです。(受験デザイナー・池ノ内潤) 

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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池ノ内 潤

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