「ドラゴン桜」に学ぶ中学受験

原健太で分かった受験でも「好き」は続ける

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・どんな子も居場所がある難関中高一貫校 
・「きっかけ」と「ゲーム」の中学受験 
・受験でも趣味の時間は取り上げない   
・好きなこと継続OKも逃げ道にしない 
・中学受験は「新しい可能性との出会い」 

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どんな子も居場所がある難関中高一貫校 
 TBSドラマ「ドラゴン桜」で、ひときわ素晴らしい演技で評価を高めたのは、東大専科の原健太役の俳優・細田佳央太でしょう。難しい発達障害の生徒という設定を演じ、他の生徒役から「うますぎる」と嫉妬されたといいます。 

 実際、東大に入学する生徒の中には一定数、発達障害(の傾向も含めて)の人がいます。一般社会だとまだまだ理解が不十分で、虐げられたり、不利益を被ることも少なくありませんが、東大は彼らにも居場所がある大学です。

 東大に限らず、中高一貫校でみると、難関校と呼ばれる学校の多くは、どんな子でも居場所がある傾向にあります。共感はせずとも、それぞれの個性、存在を認めているので、他人を排除することはほとんどなく、また自分と同じような性質の子も学年に少なくとも1人や2人いるので、そこに「居場所」ができるのです。 

「きっかけ」と「ゲーム」の中学受験 
 発達障害の1つの特徴として、何か特定の者に対する「こだわり」が強いというのがあります。健太は虫に異常なほどの興味を持ち、桜木先生が「お前の知りたいことは全部ここに書いてある」と手渡した、昆虫の飛行理論を数学的に記述した英語の論文をきっかけに東大受験の「ゲーム」が始まりました。 

 ドラマではありますが、学年ビリ(番外)の健太がきっかけと受験勉強をゲームと置き換えただけで東大合格です。ここから学ばない手はありません。実際、中学受験を別の角度から捉え成功に導いた例は珍しい話ではありません。 

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★受験でも趣味の時間は取り上げない 
 健太同様、昆虫や動物から生物に興味を持ち、それが理科全体への好奇心につながり、国語の科学分野の論説文を読むのが好きになったことから、中学受験で生物部の活動が活発な第1志望に入学した男子。高校野球が大好きで、予選の段階から全国各地の試合結果などをチェックしていた女子は、それで日本中の地名を覚えてしまい、そこから歴史にも目を向け、今度は野球の打率や防御率から数の面白さに目覚め、高校野球で有類な中高一貫校に合格しました。 

 2人とも興味や好きなことをてこにして、まるでゲームをするように好きなことを深掘りしながら、自分の居場所と定めた中学へと進みました。この2人の親御さんに共通して言えることは「好きなこと、興味のあることに時間を割くことを受験勉強中もある程度許していた」というところにあります。受験だから、勉強だからと非日常の「戦時体制」のようにせず、趣味も受験勉強も日常の空間と位置付けたのです。 

★好きなこと継続OKも逃げ道にしない 
 スポーツ、習い事も無理にやめさせる必要はありません。それを続けることの方が精神的に安定するのなら継続も「あり」です。むしろ続けた方が、受験の結果が良いことの方が多いかもしれません。時間がないからこその集中力、勉強密度の濃さが奏功するのです。 

 秋の大会が終わるまでスポーツを続ける子や週に1回はピアノのレッスンを欠かさなかった子、2月の入試1週間前までスイミングに通い続けた子、それでも第1志望に通っています。 

 ただ、それを理由に勉強時間がないとか、疲れてできないという「逃げ道」にしないことを子どもとあらかじめ約束しておく必要があります。試合などで土曜特訓や日曜特訓に出られない、遅れるといった場合でも、自分でなんとかする、やらなければならない課題、過去問演習は計画を立ててやるという覚悟と厳しさが求められます。好きなことをやる以上、これは1セットです。 

中学受験は「新しい可能性との出会い」 
 中学受験で無事志望校に合格してもこれといった楽しみもなく、大量の宿題に追われ、何となく偏差値的に見て「いい大学」目指す、といった中高6年間を過ごす生徒は少なくありません。対照的に、受験辺境中に入学した中学校で何をやりたいのか、あるいは新しいことに挑戦するのか、受験勉強中に「思い」を持っている子は入試でも強いですし、入学後も有意義に時間を過ごします。 

 もしかしたら入学後に、自分でも思ってもみなかったものに出会い、夢中になるかもしれません。その出会いが公立中学校より、可能性が高いのが中高一貫校です。「いい大学」に進みたいだけなら、中学受験するより6年間予備校に行くのが手っ取り早いですから、私立に行く意味はあまりありません。新しい可能性との出会い、が中高一貫校へ進む大きな目的と言えます。 

 健太は彼独自の学びを尊重した、女優の山田キヌヲが演じた、龍海学園の田村先生の存在があったからこそ、次に桜木先生と出会い、東大へ進んで「人間と虫との共生」を研究するという目的がはっきりし、東大受験を完走できたのです。公立でもそんな素敵な先生はいますが、私立も個性あふれる先生がいて「進む道を決定づけた」という出会いがあったという卒業生はたくさんいます。

 好きなことを継続するために、「これがやりたい」と定めたものに取り組むために、そして新しい自分と出会うために、中学受験はチャレンジする価値はあるのです。(受験デザイナー・池ノ内潤) 

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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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池ノ内 潤

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