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中受がすべてじゃない 中堅校から難関大学への道

◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・6年間で「成長」「変化」する
・ 「特進クラス」の光と影
学校に背を向けて独自路線 
・ 初めから指定校狙いもありだが…
・中学、大学受験で共通するもの

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6年間で「成長」「変化」する

 中学受験をする大きな目的の1つが「大学進学」です。進学実績の良い難関校や偏差値上位校、知名度の高い大学附属校が人気なのは言うまでもありません。その類いの中高一貫校へ進めば、目指す大学へ進む確率が高くなると考えるからです。 

 では、中堅校や一般の中高一貫校へ進んだ場合、国公立大学や難関私大へ進むのは難しい、かと言えば道はいろいろあります。中高6年の間に子どもたちは「成長」します勉強への取り組みや成績も「変化」します。中学受験で難関、上位校に進まなかった生徒が、どういうルートをたどって希望の大学合格を果たすのか考えてみましょう(自己推AO入試での合格は今回は取り上げません)。

「特進クラス」の光と影

 大学入学者の半数が推薦、「行きたい大学」ではなく「行ける大学」という風潮の昨今、中堅・一般校の中高一貫校から難関大へ「逆転」合格を目指す戦い方のパターンは2つあります。1つは学校のカリキュラムや「特別待遇」をフルに使うパターン。もう1つは「独立独歩」、自ら道なき道を切り開くパターンです。 

 前者は各校にある「特進クラス」などに所属し、大学受験を意識した授業を早くから受けます。一般校などでは、成績優秀な生徒は学校挙げてのバックアップをしてくれます。質問、補習、特別メニュー…本当に「塾いらず」で東大をはじめ、難関校に合格します。 

 一方で勉強中心の6年間は過酷で「特進クラス」にいても結果を出せるのは一部の生徒だけ、というケースも少なくありません。大学合格実績では国公立大をはじめ、早慶なども合格して見た目にはなかなかの進学実績のように映りますが、少数の生徒が私立の複数の学部に合格しているのが実情。延べ合格者数は公表しても、進学者数を多くの学校が出さないのもこういった事情があるからです。 

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学校に背を向けて独自路線

 もう一つ、学校に背を向けて独自路線で難関大学進学を目指す生徒もいます。学校の窮屈な課題やカリキュラムが嫌で、自由に自分自身の受験をデザインしていく生命力旺盛な生徒です。学校の「特進クラス」の子が温室育ちなら、「野育ち」の逞しさがあり、大学受験では一番強さ発揮します。 

 自分に合う教材を探し、オンライン授業を含め予備校など軸になる、あるいは弱点を補強する手段を見つけて自分の受験スタイルを確立します。学校の成績や課題提出などでとやかく言われる私立では苦労するかもしれませんが、実は自由な校風が多い難関校の生徒はこの類が多いです。中堅・一般校でも挑む生徒は、学校のカリキュラムに頼りません。

 高校生ともなれば、人にいろいろ言われるより、自分の考えと手と足を使って行動するというスタイルが元来の姿。大学に合格するだけでなく、社会に出ても自分の意志で歩いていける素養のある生徒です。 

初めから指定校狙いもありだが…

 学校の成績で上位をキープし、指定校推薦で進学するというルートもあります。長い歴史のある私立中高一貫校は、難関大学の推薦をいくつか持っています。

 キリスト教系の中学では10人を超えるミッション系の大学の推薦枠を保有しているところもあり、“穴場”となっている学校もあります。指定校推薦は年によって行ける大学が変わってくるので「絶対」ではないのですが、中学受験の際にあらかじめ調べておいて、それを狙って持ち偏差値より「下」の学校へ進学するのも「あり」と思います。 

 しかし、どのレベルの学校にも「こんなにできるヤツがどうしてこの学校に!」と驚くぐらい勉強の出来る子が入学してきます。目論見通りにはいかない、という可能性もあります。自信を持って進学することは大切ですが、 ランクを下げた中学校へ進学したから余裕がある、滑り止めの学校だから入学後は楽勝、という変な「優越感」は危険です。 

 指定校推薦を狙うなら、中学入学後のスタートダッシュが肝心。中堅、一般校では勉強に対して「のんびり」系の子が比較的多いです。まずは抜け出すことで中高時代の勉強の「いい流れ」ができます。最終的に受験をするにしても、指定校推薦でも入学時から「いい流れ」を作った子が圧倒的に有利です。 

中学、大学受験で共通するもの

 18歳の受験である大学受験は、12歳の受験である中学受験とは根本的に違います。大学受験は自分の勉強を自分でカスタマイズした子が納得のいく結果を出します。どの高校に通っているかではなく、決められた期日(入試当日)までにどう自分の勉強をセルフプロデュースできたかどうかです。親御さんが深くかかわる中学受験の感覚から脱して、自分から掴みにいかないと何も得られません。 

 中学受験と同じく必要なのは「熱意」。やはり熱い想いを志望校に対して抱いている生徒は、最後のひと押しの力があります。精神論だけで受験はどうにもなりませんが、これがないとパンチのないカレーや炭酸の抜けたサイダーのようで締まりません。質量の伴った勉強と「熱意」。大学受験でも中学受験でも勝負はこれで決まります。(受験デザイナー・池ノ内潤) 


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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