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親、先生の言葉より効果的なもの
受験の流れさえ変える塾友の言葉
塾上位クラスと下位の決定的違い
アウェーの志望校別対策の効果
・合宿にみる学力向上以上の効果

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親、先生の言葉より効果的なもの

 11月20日放送の日本テレビ系ドラマ「二月の勝者―絶対合格の教室―」の第6話は、小学校に不登校の女の子が、さまざまなきっかけをつかみ受験に前向きになり、中学受験女子の憧れの的「二葉女子学院」(フタジョ)を目指してスタートを切るひと夏の成長物語、を軸に展開されました。

 この物語も中学受験を語るうえで数多くの示唆に富んでいますが、他にもドラマの中で見られた中学受験をするうえで「効果的」といえるエピソードがいくつかありました。その一つが「塾友同士の何気ないやり取り」です。親御さんが口酸っぱく注意をしたり、塾の先生がアドバイスをしたりするより、時に子どもの受験の流れ自体を変えてしまう力を持っているのが、この「何気ないやり取り」です。

受験の流れさえ変える塾友の言葉

 夏休み、塾の自習室。桜花ゼミナール吉祥寺校成績トップの島津順くんが「いずれライバルになる」と黒木先生に“紹介”され、精神的に追い込まれていた時に助けてもらったことで友人となった上杉海斗くんにアドバイスをします。

 島津くんは「おまえ、そんなのいちいち計算してたら30秒損するって。覚えちゃえよ」と円周率の倍数の一覧表のメモを見せてくれます。ハッとする上杉くん。「ライバル」に対して、大げさに言えば島津くんは自分の「武器」を提供したことになります。島津くんにしてみれば、そんなの当たり前、大したことないことかもしれませんが、上杉くんにとっては「目からうろこ」の瞬間です。

 上杉くんは最上位クラスのΩ選抜テストに合格、夏合宿で昇格します。「俺に感謝しろよ」とさりげなく言う島津くん。ドラマの世界ではありますが、1つのきっかけで成績や偏差値に変化が起こるのです。

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塾上位クラスと下位の決定的違い

 中学受験を含め受験は「孤独な戦い」というイメージはもう過去のものです。塾や学校で友人と勉強で交わること、何かを得ることで学力はアップします(ただし、相手を選ばないと大変なことになりますが)。テキストや問題と一人で向き合うことも大切ですが、それ以上に友人や周囲の子どもから得たものはインパクトが強く、時に大きな「気づき」になります。

 中学入学後も御三家や難関校の子はテスト前になると、いたるところでユルい「勉強会」が始まります。互いが教え教わりながら、定期テストを乗り切ったりします。デキる子は惜しげもなく、自分の「もっているもの」を披露し、教わる方もその子が欠けているものを持ち合わせていれば「提供」します。神奈川の難関校、聖光学院から東大に進学した男子はこう言います。「受験は団体戦です」

 中学受験の進学塾でもトップクラスの子は、授業中や日常の互いの言動や取り組む姿勢などを通して、何かを感じ取り吸収して自分の「栄養」に換えていきます。互いから刺激を受け、学び取っり、それぞれを「リスペクト」しているため、クラスの雰囲気は良く活気にあふれています。だから成績、偏差値とも上がっていくのです。下位クラスの子は他人の粗探しをしてして、それをネタにからかったり、勉強以外のところに目が向いているなど「幼稚さ」がぬぐえないため、成績が上がらないのです。そういう意味でも塾では下位クラスに「長くいる」メリットはないのです。

アウェーの志望校別対策の効果

 6年生の多くが進学塾の「志望校別対策」に参加している時期です。開成なら開成、慶應なら慶應など各校舎から1つ校舎に志望者を集めて授業を展開します。いつもとは違う校舎で大事な「詰め」を行うことに抵抗感のある親御さんも一定数います。しかし、この「アウェー」状態が子どもを刺激し、1つ2つ上のステージへのステップになることが多々あります。特に小規模校で「お山の大将」だった子には効果的です。

 いつもと違う雰囲気、いつもと違う先生、何よりいつもと違うメンバー…。確かによほど肝が据わっていなければ最初は緊張します。しかし、それ以上に新たな発見、違う先生から得られる新鮮な知識や考え方、何より同じ学校を目指す子がどれぐらいの実力でどんなやり方をしているのか、どんな答案を作るのかが洪水のように入ってきます。1回の授業で得られるものは、自宅学習の数十倍にもなるでしょう。刺激と学力。成績アップに欠かせない大切な要素です。

合宿にみる学力向上以上の効果

 ここ2年はコロナ禍で開催されていないと思いますが、ドラマで描かれていた夏期合宿も意味があります。この合宿に1週間程度参加したからといって塾側が宣伝する「学力アップ」には直結しません。塾側が利益を得るための「オプション」イベントです。

 しかし、普段は一緒になることのない他校舎の受験生と同じ教室で勉強し、部屋を共にすることで「何か」をつかみます。子ども達が合宿終了後のアンケートには「ほかの校舎の子と勉強して刺激になった」「勉強のヒントを見つけた」などの回答が目立ちます。合宿で出会った子と意気投合したケースも多く、同じ志望校を目指すと約束し、受験勉強へのモチベーションが上がった子も少なくありません。

 集団から受ける刺激は子どもを一気に成長させます。受験は「団体戦」。親御さんにも知っておいてほしいキーワードです。(受験デザイナー・池ノ内潤)


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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池ノ内 潤

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