今さら?でも確認すべき入試直前の国語読解

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もう一度素材文を親子で読む意味

「知識」が力を発揮するとき
異性の思うこと、大人の世界
昭和と境遇の違う人々を推し量る
・他者への共感を重視する中学

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もう一度素材文を親子で読む意味

 入試直前に国語の読解に取り組んでも点数がなかなか上がらない、安定しないという声をよく聞きます。点数で一喜一憂してもあまり意味がないので、点数が芳しくなかった、あるいは読んでいてよく意味が分からなかった素材文を親子でもう一度読みます。話がどういう方向へ進むのか、何をどう主張しているのか、どういう方向性の選択肢が正解になるのか、素材文、設問から読み取れるものを「知識」として確認、頭の片隅に入れておくと読解の手助けになります。

 すでに埼玉入試も始まって、2月1日まで残り半月でそんな悠長な…と思うかもしれません。そうです、かなり悠長です。それでも国語で少しでも何とかしたいなら、読解の基本である「素材文を丁寧に追う」という姿勢を思い出すことが、得点アップの一番の近道。加えて「そういう考え方があるのか」「僕は違うけど君の気持ちも分かるよ」と素材文に寄り添えれば国語の読解は点数が取れます

「知識」が力を発揮するとき

 物語文で考えてみます。素材文の話がどのように進んでいるのか、登場人物の「立ち位置」と「気持ち」が分からなければ、読解問題を解き進めるのは難しいです。特に「自分の知らない世界」は「予備知識」があるとないとでは、話の捉え方が違ってきます。

 ここでいう予備知識は、例えば主人公は「劣等感で積極的になれない男の子」「素直になりたいけれど意地を張って強がる女の子」「終戦直後の貧しい日本」「都市から地方へ引っ越してきた際のギャップ」など、読解問題として出題される素材文の登場人物のキャラクターや物語の背景を指します。子どもたちが戸惑う世界は「異性の考えていること」「大人の世界」「昭和の日本」「貧しさや弱い立場の人の気持ち」です。

 予備知識が先行し、素材文をきちんと読まないで「こういう話でしょ」と決めつけるのは本末転倒です。しかし、本番で話の方向が見えないときに「カード」として「予備知識」持っていれば、強みになります。もしかしたら「切り札」になるかもしれません。

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異性の思うこと、大人の世界

 男子は女子の、女子は男子の考えていること、気持ちがよく分かりません。実生活で大人になってもなぞなぞだらけの男と女。小学6年生に理解せよ、というのは無理な話ですが、入試では「中学生女子の恋心」が男子校で、「男子の友情」物語が女子校で出題されます。ここは親御さんが「人生の先輩」として、女の子の複雑な心境、男の子特有の友達を思う優しさを教えてあげてください。

 「ビール会社の営業職の女性」「専業主夫の男性に子どものことは任せきりだったキャリアウーマン」「心を病んで仕事を放り出しさまよう女性」「妻を亡くして男で一つで3人の子供を育てる男性」…、12歳の世界にはない、「大人の世界」の話が入試の素材文として取り上げられます。

 中学受験をさせてもらえる、比較的恵まれた家庭の子が素材文を読んで内容がテレビドラマのシーンのように、情景が浮かぶでしょうか。これも経験豊富な親御さんが「大人はこういう時こんなことを思っている」というのをレクチャーしてあげてください。それだけでも知らない世界の素材文が出題された時に、設問を解くヒントにつながる可能性があります。

昭和と境遇の違う人々を推し量る

 令和になり「昭和は遠くになりにけり」です。しかし、中学入試では昭和、特に戦前から終戦直後のストーリーが今でもよく出題されます。受験生はもちろん、親御さんもリアルでは知らない世界かもしれません。

 戦争中の自由が制限されている社会、空襲、原爆、特攻隊…そして日本の敗戦で社会が180度変わり、食糧難での空腹、家を焼かれてその日暮らしの生活、戦争で親や家族を失った人の苦しみは、想像するしかありません。素材文を親子で手繰り寄せながら、思いをはせてみてください。それだけでもいい勉強です。

 さらに最近の中学入試の読解素材文は貧困に負い目を感じている子どもや家庭の話、ハンデや文化の違う人との誤解などのテーマを扱ったものがよく選ばれます子どもにとっては普段考えたこともない、あまり接触する機会がない人の境遇を短い時間で推し量り、与えられた問いに答えていかなければならない難しい問題です。

他者への共感を重視する中学

 なぜ、容易に想像がつかない世界のものが読解問題の素材文に使われるのでしょうか。中学校側が子どもに求めているのは「境遇が違う他者への共感」です。

 よく私立の中高一貫校が口にする「グローバル化」の意味もあって、国や肌の色、立場の違う人間を理解できる素養がある子を国語を通して選抜しているといえます。入試問題が「学校からのメッセージ」「ラブレター」と言われる理由がここにあります。

 「知らない」「興味ない」「分からない」―国語のできない子が共通して口にする言葉です。親御さんも「自分と世界が違う人のことはあまり考えたことがない」という姿勢だと、子どもも「見向きもしない」のは当然です。

 ただ問題演習を繰り返したりするより、親子で対話しながらテキストや過去問を一緒に解読してみてください。読解のための知識得ること以上に、素材を丁寧に追うことが得点に結びつくことが、じんわり分かってくるはずです。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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