女子校が「算数入試」をやる理由

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・様相一変 女子校「リケ女」増加
・女子校に「サイエンス」クラス
・桜蔭、豊島岡にみる「意志の力」
・理社を疎かにすると入学後に苦戦
様相一変 女子校「リケ女」増加
算数一科入試を実施している中学が、東京と神奈川でみると男子校より実は女子校の方が多いというのは、意外と知られていません。始めたのは男子校でしたが、一部の女子校も「情勢の変化」に機敏に動きました。
女子校でも最近は「リケ女」の増加というのがトレンドです。女子校と言えば、文系志向の生徒が多かったのですが、最近は様相が一変。進学校ほど理系に進む割合が多くなっています。

女子校に「サイエンス」クラス
「理系に力を入れている」、ということで志望校を選択する女子は、まだ主流ではありませんが、年々着実に増えていることは間違いありません。算数一科入試の導入は「ウチはリケ女、大歓迎!」という、親御さんへのアピールにつながります。時代の要望に応えることで、中学受験の新しい「勢力図」の中心的存在になる可能性はあります。最近人気のある女子校は、大学受験よりかなり前から「理系クラス」が用意されています。
算数一科入試を行っている山脇学園は、中学3年になると「科学研究チャレンジプログラム」という希望選択制のクラスが用意されています。参加者はロボット、パソコン、生物の各分野に分かれて研究活動を行います。高校へ進むと「サイエンスクラス」へと発展、興味から将来へとつなげる深い研究を続けます。「科学英語」「テータサイエンス」などの授業は、他校にないオリジナルプログラムは魅力的です。
算数一科入試は導入していませんが、昭和女子大附属昭和は、中学から「スーパーサイエンスコース」を設置。理系教育に特化した中高6年間を送ることができます。中3では「サイエンスアドベンチャー」として、世界自然遺産に指定された鹿児島県の屋久島へ3泊4日の研修へ出かけます。「動物」「植物」「地層」の中から興味のあるものに対してフィールドワークを行います。
桜蔭、豊島岡にみる「意志の力」
女子が理系に進む理由の1つに「将来性」があります。女子は男子と違って、早くから自分の将来像について現実的に考えます。その中で、自立して生きていくためには…と考えると、医歯薬理工系の方が有利というのを両親や周囲の大人を見ていると感じることが多いようです。
コロナ禍で「医療系は大変そう」と敬遠するのは、むしろ男子の方。女子は「だからこそ」と、意志を強くして進路を選択しているようです。東大医学部を意味する理科Ⅲ類の22年度の合格者が最多だったのは桜蔭も、医学部合格者が100人を超えたのは豊島岡女子学園も、首都圏最難関クラスの女子校。まんざら偶然ではなく、中学入試から「意志を持って」勉強してきた表れなのです。

理社を疎かにすると入学後に苦戦
算数は中学受験で最重要科目であるし、中学、高校でも数学は英語と並んで、大学受験のすう勢を決めます。しかし、算数を必要以上に重要視し、他の科目、特に理科と社会を疎かにすると、入学後に苦しい展開を強いられます。
4科目入試で入学してきた生徒の理社レベルは高く、中学側も「そのつもり」で授業を進めるため、中学レベルを超えた内容になる一貫校はとても多いです。入試で理社を課すのは、中学で英国数を中心に授業を組みたい学校側が、入試勉強で先に自主勉強していてほしい、という願望が少なからず込められています。
とりあえず算数を武器にして、進学先を確保するという目的で受験したとしても、もし入学することになった場合のことも考えておく必要があります。また、算数と数学は「似て非なるもの」。小学校で算数ができたのに、中学に入ると…という子が毎年います。中学に入ったら、また1からのスタートライン、という気持ちで大切です。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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