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芝国際にみる、今なぜ「国際」なのか


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いきなり「芝国際」に驚き
・行列ができる 説明会は満席
国際ブームは「ジャケ買い」!?
・「進学校」と「名門校」の違い

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いきなり「芝国際」に驚き

 今年4月、東京・芝にある、創立120年を誇る、伝統ある女子校、東京女子学園中学・高校が23年4月から校名を「芝国際」に改め男女共学として再スタートするという発表がありました。世界で活躍する力を育てる「世界標準教育」、目指す進路を実現する「新しい学力」を「芝国際の教育」と位置づけ、自ら「スゴイ学び」と称し、自信を持って来春新入生を迎え入れる体制を鋭意整えています。

 校名変更は関係者も寝耳に水だったようで、同校の職員ですら突然の発表に驚きを隠せなかったといいます。6月に新しい学校案内が完成予定で、それまでは概要と新校舎の完成予想図、今後の説明会日程が記載された「速報版」がパンフレット代わり。入試日程すら掲載されておらず、方針変更が一部の関係者のみで進められた、電撃的な物であったことがうかがえます。

行列ができる 説明会は満席

 22年度入試で「東京女子学園」は、5回のテスト機会で60人の応募をかけましたが、実際の受験者数は28人。26人が合格し、落ちたのはわずか2人で事実上「無風状態」の入学試験でした。「ICT探究」というスマートフォンを用いて検索と気づきを試す入試などユニークな試みもみられましたが、受験生に浸透したとはいえず、JR田町駅から徒歩5分という好立地の割には「人気校」とはいえない状態が続いていました。

 しかし、校名変更、共学化、新校舎建設に伴うカリキュラムなどの「大改革」で様相は一変。4月から5月にかけての各中学校が一堂に会する「合同説明会」で注目を集め、受験生の親御さんが途切れることなくブースを訪ねている光景が印象的で、「行列ができる」状態が続きました。

 6月から本格的に行う学校説明会は、予約開始早々で枠が埋まってしまい、追加説明会を設定しても「焼け石に水」ですぐにいっぱいになってしまうようです。初年度の定員は100人を予定していますが、あまりの反響に「一体何人受験するのか?合格者数を何人出すのか読みが難しい」と学校関係者は嬉しい悲鳴を上げています。

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国際ブームは「ジャケ買い」!?

 芝国際中学に限らず、近年の中学入試はちょっとした「国際」ブームです。2015年に戸板女子から校名変更した「三田国際学園」がその走りといえるでしょう。東京都北区にある星美学園中学は、21年に「サレジアン国際学園」に、系列の目黒星美学園は今年「サレジアン国際学園世田谷」に変わります。武蔵野大学系の千代田国際中学が誕生したのも21年のことです。

 「国際」の2文字が示すように、目指すところは英語の習得、活用ができる、国際人として通用する「グローバル教育」です。最近はどこの私立でも、程度の差こそあれ、英語教育重視は「標準装備」です。ネイティブの先生の授業があったり、英語の習熟度別授業に、留学制度というのも最近では特筆すべきものではなくなっています。それをさらに「深掘り」しているイメージが「国際」の2文字によって強調される効果があるといえます。

 まさに表紙のインパクトが強くて思わず買ってしまう、「ジャケ買い」の中学校版です。芝国際の立ち上げには、過去に伝統校をリニューアルさせたり、受験生が集まらなかった学校を「人気校」にしてきた「仕掛け人」の先生が、「開校準備室」でさまざまな施策を打ち出してくることが予想できます。

「進学校」と「名門校」の違い

 「国際」系の中学にかかわらず、既存の学校が校名という「パッケージ」を変えて、新装開店するケースは今後も増えることは間違いなさそうてす。共学化への流れは加速、大学が定員確保のため、有名大学が別の学校法人を附属や系属、準附属にする例も近年見られます。あるいは広尾学園や開智のように、すでに「ブランド」として中学受験の世界になじみのある学校が、既存の学校を使い「増殖」しているケースも見られます。

 名称、カリキュラムが大幅に変わる期待感から、学校の実力以上の「人気」になることもしばしばあります。しかし、本当の意味で中身を変えるのは時間がかかります。「自称」を含め、進学校は比較的簡単に「作れる」のですが、「名門校」は長い歴史とさまざまな卒業生によって熟成されてきた独特の「文化」があり、短時間や耳触りのよい言葉だけの改革では「作れない」のです。

「新装開店」の中学へ進学を決めることは、夢と希望に満ちていると同時に「賭け」の要素もかなりあることを親御さんは理解してほしいところです。横文字カリキュラムに、万全の大学受験対策、充実の教育施設などパンフレットや説明会では「素晴らしい」がてんこ盛りです。一方で「理想的」すぎて、それが問題なく実現できるのかが、いささか引っ掛かります。あまりにも期待が大きすぎて、話と違う、とならないためにも、親御さんの「目利き」が問われます。(受験デザイナー・池ノ内潤)


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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