悩ましい…6年生の夏期講習

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・講習で効果がある子と期待薄の子
・肝は「モチベーション」
・叱咤激励より1つの「できた!」
・講習不参加に代わる高いハードル
講習で効果がある子と期待薄の子
4,5年生と違って、6年生の夏期講習参加は「必須」と言うには酷な受験生もいます。塾側は「受験の天王山」という触れ込みで、参加を前提にしています。多くの家庭が迷わず参加申込書を提出しますが、この時期になると講習参加で効果が出る子と、期待薄の子がハッキリします。
難関校に挑む生徒は、4年生から積み上げてきたものにもう一度「演習問題」でローラーをかけて、秋からの本格的な志望校特訓講座(徹底した過去問と予想問題演習)へと進みます。一方で学校名付きの「冠講座」にも、上位校対策として開講される特訓授業にも、正直なところ「距離がある」生徒に夏期講習の演習中心のテキストは「厳しい」内容です。

肝は「モチベーション」
講習テキストの演習問題のチョイスは、受験生がつまずきやすい問題を多く載せ、もう一度取り組むことで「弱点補強」につなげる意図があります。難関・上位校が狙える子は「弱点」がある程度限られるので、「できることの確認」とともに「課題のあぶり出しから克服」へと言う流れで、志望校合格へと少しずつ近づき、12月ごろをめどに過去問とも互角に格闘できるようになり、入試までに仕上げて行きます。
一方、通塾している塾の模試でトータルの偏差値が45以下が続くようだと、夏期講習を有効利用することは難しくなります。偏差値の高い子に比べ、総じて「課題」が多く、内容を消化しきれないどころか、授業中、「今何をやっているか分からない」状態もしばしば起きているのが、この偏差値帯です。もちろん塾側もレベルに合わせてクラス編成をしているので、「手が出る」問題を通じ、少しでも成績アップにつなげようとしますが、新しくできるものがなかなか見つからず、効果は上がりません。
その理由は「モチベーション」です。難関校・上位校を必死で狙っている子と下位クラスの子の決定的な差は、成績以上にここにあります。下位に長らく低迷している子で、気持ちが前向きの子はごく少数です。逆に「モチベーション」が上がるきっかけをつかめば、成績アップは6年夏からでも可能です。
叱咤激励より1つの「できた!」
「頑張れ!」「やればできる」「諦めないで」「そんなことではどこも合格しないよ」…さまざまな言葉で親御さんは子どもを叱咤激励するでしょう。しかし、多くの場合、親の言葉は「馬の耳に念仏」です。それよりも「モチベーション」が高まるのは、1つの「できた!」です。
成績が低迷している子にとって、絶対的に不足しているものは「できた経験」=「自信」です。これを1つ1つ積み重ねていきます。「入試まで1年もないのに。そんな悠長な…」とか言って、一気に不安を解決しようと、身の丈に合っていない問題集を買い与えたり、状況が把握できていない家庭教師や個別塾に預けるから、問題は一向に解決せず、同じ偏差値帯を足踏みするか、さらに悪化させているのです。
そうではなく、できる問題を完璧に、次に手の届きそうな問題を中心に攻め落としていくことで「できた経験」=「自信」を深めていきます。1日1つでも結構な数になります。継続していくと、状況は変わり出します。問題は誰が経験値の低い、自信のない子に伴走、引っ張り上げるかです。親御さんがベストですが、難しい場合は塾の先生にお願いします。橋渡しは親御さんがします。密に連絡を取り、決して「丸投げ」にしないように。塾は親御さんが一歩踏み込むかどうかで「お値段以上」になります。

講習不参加に代わる高いハードル
6年生が夏期講習に参加しない、という選択も「なし」ではありませんが、条件が3つあります。「連日勉強に“きっちり”付き合ってあげられる人がいること」「言い訳せず、逃げずに勉強すること」「親子でバトルをしない」の3点です。どれも高いハードルです。しかし、これまでの「負債」を抱えて、塾のカリキュラムに沿わず、自らの課題を克服して「逆転合格」を考えているならば、これくらいの「覚悟」が必要です。
6年生の夏にこういう状態にならないために、実は受験の「大勢」が決まる4,5年生の過ごし方がカギになってくるのです。2年間、学習の「積み重ね」ができた子と、学びが「浅い」子の差は、埋めようにも埋まらず、逆に開く一方です。20万円近い夏期講習を有効利用できるか否かは、スタートと中盤につくってきた勉強の「流れ」で決まってしまうのです。(受験デザイナー・池ノ内潤)

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