「どうしてもワセダ」九州ルートから逆上陸の道

+17
にほんブログ村 受験ブログ 中学受験(本人・親)へ
にほんブログ村 筆者プロフィール

◆中学受験の窓口 今日のメニュー
大隈老候生誕の地の系属校
偏差値上昇 もはや「難関校」
枠は50% クラス3分の2が東京人
・1千万円で「早大進学権」を買う

スポンサーリンク

大隈老候生誕の地の系属校

 佐賀県唐津市、唐津城の隣にある早稲田佐賀中学・高校は、早稲田大学の系属校です。東京でいう早稲田実業や早稲田中学・高校と同じ立場。早大への推薦枠を大量に持っているのが特徴です。 

 1882年(明治15年)、早稲田の前身である「東京専門学校」を創設した大隈重信の郷里・佐賀に中高一貫校が登場したのは、2010年(平成22年)。かつては地方の学生がこぞってワセダを目指した時代がありましたが、早大は首都圏の高校出身が圧倒的に多くなり、地方出身者をワセダへという声が強く、卒業生団体「稲門会」からのリクエストもあり、大隈老候の生誕地である佐賀に白羽の矢が立ったという背景があるようです。 

偏差値上昇 早実、学院に接近

1月上旬から中旬に中学入試は前哨戦である埼玉入試とともに、各地の学校が東京に試験会場を設け入試を行います。早稲田佐賀も早大のキャンパスを会場に入試を実施。志願者数、難易度ともに上昇傾向しています。 

 東京会場だけの数字ではないので参考程度ですが、19年度入試では志願者数1288人に対し、770人が合格。翌年には志願者が300人以上増え、21年度はコロナ禍で志願者を減らしたものの、 22年度入試は再度志願者増に転じています

 偏差値も毎年のように上昇。22年の結果偏差値は四谷大塚でAライン(合格80%)偏差値が男子57、女子は59。数年前まで50台そこそこだった偏差値は60に迫る勢いです。サピックの80%偏差値は51。これは東京の学校でいうと、男子なら芝や本郷、女子は52の鴎友学園女子に匹敵。区分で言えば「上位校」レベルですが、男子で見た場合、早稲田実業の57、早大高等学院中学部の56に接近しています。

スポンサーリンク

枠は50% クラス3分の2が東京人

  中学校の定員は男女計120人。内訳は九州入試で約80人、東京入試で約40人が定員ですが、中学生の在校生約360人「クラスの3分の2くらいが東京の人」(在学生)というほど、首都圏出身の子どもたちが東京から1200キロも離れた中学校に超が付く越境入学をしています。 

 大隈老候の幼名にちなんでつけられた寮「八太郎館」でかかる費用は約93万円(1日3食付)。4人1部屋の共同生活、スマホ禁止、寮に帰ってもきっちり勉強時間が設けられており、寮以外でも校則は厳しめの学校です。自分の思うようにいかない生活は“青春”謳歌したい10代には少々窮屈になるかもしれません。 

それでもうなぎ上りの人気を誇るのは早稲田大学への推薦入学枠です。学校側の説明によると、学部ごとの定員はあるものの、約50%が早大に進学できます。21年度は91人が推薦合格(卒業生194人)。各学部とも10人を限度に推薦されますが、成績との兼ね合いもあり、枠を使い切っていない学部もあります。 

 敢えて遠く離れた佐賀で寮生活をしてまで早稲田の推薦権を獲得する背景には、首都圏の早大系付属・系属校の難易度の高さがあります。同じ四谷大塚での偏差値で見れば、早大にほぼ全員できる早大学院と早大だけでなく、21年度は東大にも33人合格した早稲田中・高は偏差値64(80%偏差値)、共学の早稲田実業は男子が63、女子68。佐賀の80%偏差値ではこの3校とも50%偏差値にも達しない、という状況です。 

1千万円で「早大進学権」を買う

 首都圏から佐賀で6年間過ごすことになるとすれば、学費と寮費に諸々の雑費を合わせてざっと1千万円には達するでしょう。語弊はありますが「九州で早大への進学権を買う」という見方もできます。それでも早稲田ファンの親御さんにしてみれば、経済的に耐えうるのなら「あり」の選択肢なのです。 

 早大だけでなく国公立、特に医学部への進学者数も多い学校ですが、多くが浪人しての合格。現役での国公立合格は21年度計9人と少々寂しいです。早大への推薦も半数と考えれば、お金を出すだけで早稲田進学が手に入るわけではなく、近づくというだけで、やはり中学へ入っても勉強を頑張らなければならないのは変わらないようです。(受験デザイナー・池ノ内潤) 

にほんブログ村 受験ブログ 中学受験(本人・親)へ
にほんブログ村 筆者プロフィール


人気ブログランキング こちらにもとても参考になる中学受験ブログがあります。
Print Friendly, PDF & Email
スポンサーリンク