東大合格、後の人生はただ消化試合?

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東大うつ 東大プア 東大いじめ
中学受験に通じる東大生3タイプ
東大でもつらい学問で食っていく
・褒めてもらえるから…それだけ

・大切な「なぜ、何をしたいのか」

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東大うつ 東大プア 東大いじめ

 「東大なんか入らなきゃよかった 誰も教えてくれなかった不都合な話」(飛鳥新社、20年9月発行)という書籍があります。 タイトルも強烈ですが、帯もなかなか刺激的な言葉が並びます。「東大うつ 東大プア 東大いじめ」「学歴は幸福の魔法にはならない?」――。御三家、難関校を目指す中学受験生の親御さんが見たら、仰天するでしょう。著者は池田渓氏。40歳になろうかという東大農学部卒業で、同大博士課程を中退したライターです。 

 「商売」なので極端な一面を切り取ったものであるとは分かりつつも、読み進めていくと「不都合な話」は中学受験にも通じるところがあると考えざるを得ませんでした。 

中学受験に通じる東大生3タイプ

 池田氏によると、同じ東大生といっても「ピンキリ」で、タイプとしては3つに大別されるとしています。(1)天才型(2)秀才型(3)要領型、で割合的にはざっくり1割弱、5割以上、3割程度としています。 

 面白いのは各タイプの特徴。天才型は野球のメジャーリーガー・大谷翔平選手やフィギュアスケートの羽生結弦選手に相当する人。秀才型は努力を積み重ねる堅実なタイプだが、極端にリスクを嫌う人。要領型は入試はテクニックでクリアしてきたが、大学からのより専門的な学問や、社会に出てからの仕事、人間関係では果たして通用するかどうか、と分析しています。 

 この割合通りではありませんが、中学受験の「デキる生徒」のタイプに似ているところがあります。天才型は何もしなくてもできるのではなく、努力する才能も半端ではないので、コツコツやっている秀才型が「追いつけない」とコンプレックスを抱いてしまうこともよくあります。 要領よく「合格点」を取って、中学受験を「成功」させる子もいます。

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東大でもつらい学問で食っていく

「お前、東大だろ?そんなこともできないのか」。このセリフはあらゆる場面で東大生が浴びせられる決まり文句だといいます。勉強の面で言われるのは分かりますが、力仕事だったり、飲食店のアルバイトだったり、東大という学歴には全くと言っていいほど関係ない場所でも「東大」は引っ張り出されるといいます。そういう意味では「生きにくい」というのはよく分かります。 

 得意の勉強、学問で身を立てるという道を探ってもなかなか険しいようです。「高学歴ワーキングプア」という言葉が浸透してから久しいですが、本書にも東大の大学院でも同じような構図が見られ、学問で「身を立てる」「食っていく」には、かなりの覚悟が必要、と思わずにいられません。 

 東大に入ること自体、大学受験では突き抜けた存在ですが、突き抜けた人ばかりが集まる東大でさらに突き抜けないと学問の道は開けない――。開けないどころか、下手をしたらテキトーに過ごしてテキトーに生きている人と収入という面では大差なく、毎日お金を勘定しながら生活しなければならない、場合によっては自ら命をというところまで追い込まれることも…となると、考えてしまいます。 

褒めてもらえるから…それだけ

 「俺の“やりたいこと”は東大を受験して合格することだけだったのかな。そういう意味ではとっくに夢はかなっていて、後の人生はただ消化試合をやっているだけなのかもしれないね」 

 本に登場する、中高一貫校から東大文I(法学部)に合格、卒業後メガバンクに就職した男性の言葉です。彼は別に入りたくもない銀行に入行したものの、うつ病を患ってしまいます。著者の池田氏にLINEで「死にたい」と午前3時に訴える日々が続いたと言います。 

 「親や教師に言われるままに勉強してきたけど、褒めてもらえるから点をとり続けていただけ。行き着いた場所が東大で、合格点をとれたから東大生になれた。だけどその過程で自分の夢なんて一切考えてこなかった」。男性は中学受験から大学受験をこう振り返りました。「中学受験の意味」を考えさせられる経験談です。 

大切な「なぜ、何をしたいのか」

 「東大合格」という4文字だけが目標、というのは、中学受験に当てはめれば「開成合格」や「桜蔭合格」の結果だけが欲しかったというのと同じ。受験という「ゲーム」の中で、勝つことだけが目的で後は特に考えていない、ということです。 

 難関中学入学後、「消化試合」となってしまう子も見かけます。タイトル通り「入らなきゃよかった」の毎日になってしまうのです。いわゆる勉強も部活も、あらゆることに興味がわかない「深海魚」と呼ばれる存在です。東大に入って、開成に入って、桜蔭に入って「何をしたいのか」、「なぜ●●なのか」。これがあるかないかで「その後」歩く道は全く違います

 時には中学受験をする意味、について親子で話し合ってみるのも大切です。どうして中学受験をするのか、真剣に見つめ直すと、進む道がはっきりして勉強にエンジンがかかるかもしれませんし、エンジンがかからなかった理由もはっきりし、今後プラスに働く可能性は十分あります。(受験デザイナー・池ノ内潤) 

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