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芝国際 入試傾向と対策 サンプルから見えること


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バブル?芝国際の合格予想偏差値
算数は前半完璧、思考型の慣れが肝
小問52 とにかく「瞬殺」の国語
・出るか、芝国際の「色」に期待

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バブル?芝国際の合格予想偏差値

23年度入試で女子校の東京女子学園中学・高校から「変身」、共学になる芝国際中学・高校の人気と注目度は関係者の予想を上回る勢いです。

「変身」前で、まだ入試が1度も行われていないにもかかわらず、首都圏模試の予想合格可能性80%偏差値は1日午前の本科Ⅱ類(難関大理系・医学部進学を視野に入れたコース)で「55」。2日午後の同コース特待は「57」です。東京女子学園が昨年「41」でしたから、大幅ジャンプアップです。進学塾系では日能研が「43」「44」と予想しています。

首都模試で比較すると、21年度入試に村田女子から「変身」した広尾学園小石川の本科が「57」でした。小石川は「広尾学園」という中学受験の中で確立された「ブランド」が冠でしたから、予測のつくポイントでした。現在の芝国際の偏差値は期待が膨らんでやや「バブル」の部分もあるような気がします。

東京女子学園とは、入試問題が一変してしまえので、23年度の受験生は「過去問なし」で芝国際を志願することになります。学校側は10月に入って、ホームページに「サンプル問題」を掲載しました。
これを目安に対策をしていくしかないのはやや心細いのですが、サンプル問題から芝国際入試の「傾向と対策」(2月の一般・国際生CORE入試)を考えてみます。

算数は前半完璧、思考型の慣れが肝

算数は大問5問、小問数20。難易度にかかわらず、1問5点の配点です。基本の四則計算、小問集合の前半(大問2まで)と公立中高一貫校で出題される思考問題(大問3から5)という構成です。試験時間は50分。難易度からすると、この分量なら時間的余裕があります

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大問1の基本的な計算問題4問と割合や数の問題の3問の計7問は1つも落とせないレベルです。同様に大問2の図形問題を含んだ小問集合5問も、進学塾で何度もやる「典型題」なので、手が付けられないというレベルではないでしょう。大問1,2全問正解で60点。合格へ大きく前進します。

しかし、首都模試の偏差値60以下のレベルの子どもたちは、この基本問題でミスをするのが典型的なパターンです。合否の分岐点の1つが、この前半のミスの数です。後半の問題も同じ5点なら、落ち着いてやれば得点できる可能性が高い前半に全力を尽くすのが、合格への「近道」です。

 対策としては塾で毎日やるように指示されている計算や一行問題系の冊子をミスなく確実に正解する「習慣」を付けることです。芝国際だけでなく、基本問題の多い中学校は「ミス」が命取りになります。

大問3以降は、思考型の問題に慣れていないと戸惑うかもしれません。難易度としては基礎~標準レベル。難関・上位校狙いの生徒なら普段あまり取り組んでいない思考型の問題でも、基礎的なものであれば順を追って考えればできてしまいます。しかし、算数がそれほどでも…というレベルで、思考型も慣れていなければ、苦戦します。

思考型の出題に不慣れなら、公立中高一貫校の易しい問題に触れておくのは必須です。入試本番ではサンプルより難度の高い出題もあり得ます。大問1、2でミスをいかに防ぐかと大問3以降の慣れが算数のポイントです。

小問52 とにかく「瞬殺」の国語

国語は大問1の「説明文」が素材文の文字数約5300字、大問2は「物語文」で約4700字。文庫本でいうと、それぞれ8~9ページ程度の量です。小問数はそれぞれ16問ずつ。主流は接続詞、語句、慣用句の空欄補充問題に、傍線部について問う選択肢問題、言葉の意味などで、大問1に50字程度の記述問題があります。

これに大問3の文学史(作品と作者の組み合わせ)、大問4の語句の空欄補充(てんてん、たんたん、などの副詞、形容動詞中心)が5問ずつ。最後に漢字の書き取り10問で、解答する数は計52カ所。50分の試験時間を考えると、超が付くほど「タイト」です。じっくり考えるというより、処理能力が問われます

確実に得点していくことから考えると、読解問題2題の後の知識・語彙問題、漢字から先に手をつけるのがセオリーです。

しかし、サンプル問題だけで判断すると、「サクサク」進むという難易度ではありません。塾でほとんど触れない文学史、漢字の書き取りも頻出漢字よりやや難しく「古稀(希)」「慣例」などは、なじみのない熟語だけに正解率は高くないでしょう。それでもここでの所要時間は5~7分。できるところを確実に正解し、分からないものは飛ばします。

読解はこれくらいのボリュームの素素材文が出ると、試験前から頭に入れておきます。当日初めてこの字数を見ると、動揺して処理能力が格段に落ちます。設問はそれほど難しくないので、読み返しをせず「瞬殺」が鉄則。1問でも多く問題に当たれば得点が増します。

記述は配点が5点程度と予想できますが、これもすぐに書けなければ後回しに。選択肢問題は易しいので、そこで「埋め合わせ」はできます。

出るか、芝国際の「色」に期待

理社についても触れます。理科は試験時間30分で大問は4問で、解答数は計27。記述問題もあり、時間的な余裕はそんなにありません。問題そのものは基礎、ときどき標準、やや難レベルなので、国語同様、処理能力の早さが問われます

電気、水溶液の濃度の問題、植物の光合成の問題と続いて、特徴があったのは大問4。水と輸入品に関する問題で、社会や公立中高一貫校の思考型に匹敵する内容でした。これを理科に入れた意図はく分かりませんが、理科では大問の1つは思考系の問題という形式になりそうです。それまでの大問3つをスピーディーに解き、最後に考える時間を残しておくのが得策です。

社会も試験時間は30分。こちらは大問5問で、解答カ所は41。大問1、2が歴史、次に地理、公民ときて最後は芝国際のある東京都港区芝界隈のことを問題文にした、いわゆる「東京問題」のにおいが最初はするのですが、結局は近代史に最後は、ヒートアイランド現象やダイバーシティの内容を答えさせる時事問題で締めています。

問題そのものは、時々やや難もありながら、基礎的なものが中心。歴史上の人物や歴史用語、公民でよく出てくる言葉を漢字で書けるようにすること。簡単なようで12歳の子には意外と大変なようで、差はこういうところでつきます。特に対策は必要なく、今後塾で嫌というほど取り組む入試問題演習とその復讐の徹底で高得点が期待できます。

正直なところ、サンプル問題からは芝国際が「どういう生徒を欲しいのか」というのは、まだ伝わってきませんでした。あくまでサンプルなので、現段階でそこまで練りこんでいないのかもしれません。何が出題されるか、フタを開けてみないと分かりませんが、スタート前から期待が大きいだけに「これが芝国際の入試問題」というメッセージ、カラーが伝わる問題が出題されるか、注目です。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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