知らないと不利 算数記述問題の「採点基準」

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・解答への過程の出来が合否を左右
・解答への到達度、プロセス、表現
・85%以上が「部分点あり」
・なぜ記述式問題を出題するのか
解答への過程の出来が合否を左右
入試で合格する子、不合格の子の差は実はそう大きくありません。もちろん、ぶっちぎりで合格、まったく勝負にならずに不合格、というのもありますが、多くは「合格最低点」の前後5点以内で、明暗が分かれます。
解答だけ書いて〇か×かの問題は、加点か0点かです。記述式や解答への過程を書き込む問題では、「解答のルール」があったり、完璧な回答でなくても「部分点」が入ります。難関校の場合、ほぼ記述オンリーの入試もあり、部分点を積み重ねて合格をもぎ取る生徒は少なくありません。
入試結果を左右する算数は「答え」だけを解答用紙に記入する学校も多いのですが、一方で「解答への過程」を書かせる出題も年々増加傾向で、ここでの出来が合否の決め手になります。
解答への到達度、プロセス、表現
日能研系の出版社「進学レーダー」2022年11月号には、140校の中学にアンケート調査をした各科目の採点基準が特集されています。記事によると、算数で解答だけではなく「途中式や考え方を書かせる出題」をした中学は68.6%と、約7割に上りました。
出題の意図としては「解答までの到達度をみる」(攻玉社、洗足学園、明大明治ほか57校、複数回答以下同)が最多。「正しいプロセスを踏んでいるかを見る」 (聖光学院、山脇学園、市川ほか36校) 、「考えたことが的確に伝わるように表現されているかを見る」 (世田谷学園、学習院女子、渋谷教育学園幕張ほか17校) という回答が続きました。
中学によっては、作図やグラフを書かせることによって、考え方を判断する中学もあります。採点する側としては、単純に数字の〇×を付ける方が楽に決まってます。入試後即日発表も珍しくない中で、途中式や考え方を1つ1つ見るのは手間でもあります。それでも出題する背景には、後述しますが、「学校からのメッセージ」がそこにあるからです。

85%以上が「部分点あり」
「途中式や考え方を書かせる出題」をした中学の85.7%が「部分点を設けた」と回答しています。
途中式や考え方を書かせる問題は原則「加点法」です。「途中までしか分からなかったから×だろうな」ではなく、「ここまで分かった」というところをアピールして、1点でも2点でも得点し、合格に近づくのが「入試の鉄則」です。
「きれい整って書いていないとダメなのでは…」と二の足を踏んでしまう子どもも多いのですが、余程トンチンカンでない限り「書いたもの勝ち」です。普段余白に書いているひっ算を解答欄のスペースでやるのも良し、式を立てずに考え方を文字で表現するアプローチの仕方もありです。
よく「これじゃダメだ」と一度は書いてみたものの、消しゴムで自分の考えを「なかったこと」にしてしまう子もいます。もったいないです。途中式や考え方を書く問題は「満点」は少なく、多くが部分点です。空欄はもっての外。「トライしてナンボ」が算数の記述です。

なぜ記述式問題を出題するのか
中高一貫校に入学すると、「みんなと同じ」ではなく「あなたはどう思うの、どう考えているの」を問われる場面が日常です。国語や算数の記述問題を多く出題する学校は、入学前からある程度そういう素養がないと、入学してからが「つらい」ので、それを入試問題を通してみています。
入試問題が志望中学の「最初の授業」「メッセージ」といわれるのは、そういうところからきているのです。

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