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芝浦、工学院、農大一…密かに人気の理系附属中


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活況の理系附属 道は各自で選ぶ
・驚異の芝浦工大附女子歩留まり率
電機大、工学院は他大が当たり前
・東京農大一中 女子人気の背景

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活況の理系附属 道は各自で選ぶ

横ばいの早慶、MARCHは減少傾向の志願者数ですが、「元気」な附属・継続校も首都圏の中学受験界には存在します。

数少ない理系の付属校は女子を中心に志願者を増やしています。23年度も多少の凸凹はあるかもしれませんが、全体としては引き続き増加傾向です。

デジタル化が進む一方で、将来文系では「メシが食えない」という危機感もあり、男子だけでなく女子も理系志望者が増えているというのがその背景にあります。男子は隔年減少があるかもしれませんが、女子はそれとは関係なく、志願者の増加傾向は続くとみられます

特徴としては、エスカレーター式に系列の大学に進むのではなく、中高一貫の6年間の「学びの経験」を生かして、それぞれの「道」を選んでいく、というのが基本線。大半が系列大学へ進む早慶やMARCHとは異なった進路選択です。

驚異の芝浦工大附女子歩留まり率

芝浦工業大学系の付属校は東京と千葉の2校。21年度入試から女子の募集を開始した、芝浦工大附属(東京都江東区)は、初年度から女子人気が沸騰。4回の入試機会で受験者数261人を集め、合格者は計53人で実質倍率4.9倍。うち38人が入学し、歩留まり率は7割を超えました。

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22年度も勢いは止まらず、男子が全4回の入試機会で志願者が約2割減となる中、女子は志願者ベースで19%増でした。実質倍率こそ4.5倍に落ち着きましたが、68人の合格者中入学は53人。歩留まり約8割は「熱望組」多数を象徴する数字です。

同校は芝浦工大の豊洲キャンパスに徒歩15分の場所にあり、今注目の「高大連携教育」に最適、といえます。

しかも中学生の好奇心をそそるような数多くの仕掛が用意されています。パスタを使って最も強度が高い橋を作成する(中1)、芝浦工大が開発した初心者向け教育用ロボットを1人1台1日で完成させ、自分で操作しトーナメントの競技会で優勝を目指す(中2)など、ものづくりの楽しさを体験したのち、本格的な連携をして、自分の将来を考えます。

高校卒業後の芝浦工大への進学は、男子校時代でここ3年間は35~51%。共学校の先輩格の芝浦工大柏は10%前後と、芝浦で学んだことをベースに他大学へ進むなど、自らの「道」を見つける生徒が多いといえます。

芝浦工大豊洲キャンパス

高大連携活発な工学院

芝浦とともに「東京四工大」とよばれる東京電機大、工学院大の付属校も「元気」です。

東京電機大中(東京都小金井市)は、中学の在校生の割合がここ2年で3分の1が女子となりました。入試でも女子は3年連続で志願者が増加。男子の実質倍率が2月1日午前と午後の第1回、2回入試で3倍前後なのに対し、女子は1.5倍程度と志願者が増えている割には間口が広い入試です。

電機大中も高大連携として、電機大教員の出張授業(コロナの期間中はオンライン)が行われ、ほかにも東京理科大、北里大や文系では成城大の教員も参加。進路選択のサポートをしています。電機大への推薦進学は22年度で約24%。4人に1人で、そのほかは他大学へ行くなどしています。

八王子市にある工学院大附属は1学年100人強の規模の中学ですが、22年度入試では前年度と比較可能な試験と比べ志願者が36%増、21年度も15%増ですから入試はなかなかの活況です。魅力は理系分野の多くの大学との「高大連携」です。工学院大だけではカバーできない、東京薬科大(薬学)、麻布大(獣医、環境)、東京経済大(経済)などと連携し、進路の幅を広げています

高大連携の恩恵を受けながらも、進路は併設大学へというのは少数派で工学院大への推薦入学は3割程度。工学院は高校になると成績別の3コース編成になりますが、「想定する主な進路目標」として工学院大は一番スタンダードなコースに組み込まれており、学校側が難関校や医学部、海外大学留学をメインターゲットにしていることがよくわかります。

東京農大一中 女子人気の背景

校名からくるイメージとは違い、女子の方が生徒数、受験者数も多いのが東京農大一中等部です。

22年は中3で男子53人に対し、女子は倍以上の126人在籍。中2は女子が若干名多い程度ですが、今春入学の中1は男子69人、女子114人と45人も多くなっています。入試も2019年に志願者数で女子が男子を上回って以来、4年連続この状態が続いています。

道路一本を挟んで目の前が東京農大という高大連携には最高の環境で、その密度の濃さは書ききれないほどです。「農業」というイメージより、最近では化学系の勉強の素養が身に付くことを期待して農大一中を志望する家庭が増えています。女子が男子よりも多い背景には、農大が化粧品や香料、食品に関する研究ができる環境にあることを魅力に感じていることも一因としてあります。

一方で高校へ進み、大学進学となる際に農大へ推薦で入る割合は22年度は15人で卒業生のわずか4%。学校側は国公立大・難関私大の合格者数が過去最高を記録した、と大々的に広報しており、付属というより「進学校」として位置付けられます。

21年度から一定の条件の成績を満たせば、農大の推薦権を保持したまま他大が受験が可能になりました。21年度入試で男子は前年比29%、22年度も同8%増と増加率では女子のそれを上回っています。選択肢が広がっていることで23年度入試でも人気校の1つになることは間違いなさそうです。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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