結果は4連敗――お父さん独自メニューの功罪

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◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・4連敗…言う通りしなかったから?
・父親緊急参戦 2つの問題点
・「その子メソッド」最強の可能性
・厳しい言葉より悠然と
4連敗…言う通りしなかったから?
合格の見込みの薄い第1志望対策に時間を割き、埼玉、千葉の前受けもせず、第2志望以下も過去問演習がままならないまま2月1日を迎えた男子受験生。第1志望は合格せず、その後4日まで4連敗。駆け込み受験した中学校に繰り上げ合格しましたが、父親は納得しませんでした。
「俺の言った通りやらなかったからだ」。受験終了後も、事あるごとにそう繰り返し言う父親。3年後に高校受験でリベンジする、という計画を密かに練っている様子ですが、息子がついていくかどうか、はなはだ疑問です。
父親緊急参戦 2つの問題点
夏期講習でみっちり勉強したはずなのに、偏差値が伸びず、しびれを切らした父親が中学受験に緊急参戦――というケースは毎年よく見かけます。
「昔取った杵柄(きねづか)」とばかり、中学受験や大学受験で成功を収めたお父さんが「独自メソッド」を駆使して、厳しい状況を打破する、というパターンが典型例。傾向としては父親が選んだ市販の参考書を使ったり、自らテキストを作成し、「これをやれば合格できる」とばかりマンツーマンで頑張ります。
お父さんの参戦は一概に悪い、とは言えません。子どもの状況を冷静に判断し、弱いところや欠けているところを伴走しながら克服していければ、12歳の子が独りでもがき苦しむよりは、はるかに効率的ですし、心強いです。
実際、塾では放置されがちだった成績の振るわない子を、お父さんの「テコ入れ」でつまづいていたところをクリアにしたことで、「勉強の流れ」が改善して逆転合格したこともあります。少々の弱点には目をつぶって、得意科目をさらに伸ばし、気分をのせて本番に挑ませて第1志望合格をアシストしたお父さんもいます。
ただ、問題点もあります。➀成功体験を子どもに当てはめようとする②冷静になれない、の2つが主にみられます。

「その子メソッド」最強の可能性
お父さんの「受験指導」は自身の成功体験が絶対と言っていいほど影響します。
「過去問に沿って傾向をつかみ、対策をきっちりやれば、逆転は可能だ。俺は模試の合格判定はE(合格可能性20%未満、志望校の再考が望ましい)だったが、目標を決めて苦手を克服して、合格した。努力すれば必ず合格する」。中学受験に参戦する親御さんは、こういう体験談を話す人が結構います。中でも大学受験で「逆転勝ち」したお父さんは自分の経験則を子どもに当てはめがちです。
しかし、18歳の時の大学受験と12歳の時の中学受験は「似て異なるもの」。そこに気が付いていない親御さんがとても多いため、父親伴走の「悲劇」が起こります。
お父さんが子どもの現状、具体的にどこが欠けているのかなどを考慮に入れず、「独自メソッド」を当てはめようとしても行き詰まり、最後はさじを投げて中途半端で終了。貴重な時間が無駄になっただけという最悪の展開になります。
親子といっても、それぞれ別の人間です。感性も違えば、興味、理解力もそれぞれです。お父さんが成果を上げたメソッドも子どもにそのまま転用できるかどうかは分かりません。もしお父さんが参戦するなら、独自メソッドを「その子メソッド」に自在に変形できる柔軟性が必要です。
「その子メソッド」を立案、運用できるとしたら、これは「最強」になる可能性はかなりの確率です。その運用の肝が「冷静な客観性」です。

厳しい言葉より悠然と
仕事では冷静な判断ができるお父さんも、我が子のこととなるとそれが失われることが多々あります。一生懸命教えているのに結果が伴わないと「どうしてこんなことが分からないんだ」「この前やっただろ?なんで同じ間違いをするんだ!」などと、言葉がつい感情的になりがちです。どれも我が子が可愛いからこその言葉です。
しかし、叱咤激励のつもりの言葉も子どもにはまず響きません。これらの言葉は親の苛立ちをただぶつけているだけだからです。萎縮や反抗さえすれど、やる気に火は付きません。「悔しいくないのか」という言葉も令和の子どもには起爆剤にはなりにくく、スルーされるのが落ちです。
ドライになって「我が子であること」を完全に忘れることもできません。それでも「中学受験」というプロジェクトを成功に導くためには、という視点で家族の中で一番客観的になって、刻々と変わる局面に最善の判断で対処できるようにしておくのが、父親の最大の役目です。
2月1日まで40日強。父親が悠然と構えているだけで子どもは精神的に落ち着き、入試で力を100%発揮することにつながります。

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