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どうなってる?倍率66倍超!芝国際で一体何が…


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合格者2人に4人 ゼロの回も
偏差値ランクの大幅アップ狙い?
求めた生徒とのギャップ あった?
・虫が知らせた?1日午前の欠席率

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合格者2人に4人 ゼロの回も

中学受験をテーマにした投稿サイトやツイッターなどでは話が盛り上がってですが、東京女子学園から共学の「芝国際」へと生まれ変わる中学校が、初の入試からあらゆる面で「話題騒然」です。

2月1日23時ごろを予定していた合格発表が大幅に遅れて日をまたいだ、入試問題の相次ぐ訂正と出題ミス、合格証を手渡しする際、これから受験する子たちの横でやっていた(受験組の中には前日不合格の子もいたはず)、試験時間の遅れは仕方がないとしても、終了も分からず親子でなかなか合流できない…など、「大規模入試初年度」ということを差し引いても、残念なことが続いている、と言わざるを得ません。

受験生とその親御さんの心象を著しく悪くしているのは合格者数です。学校説明会に出席した複数の親御さんの話を総合すると「定員は少ないが、合格者は多めに出すので心配しなくていい」という話が学校幹部からあったといいます。

しかし、フタを開けてみると、2日までの結果で見る限り「これが多めというレベル?」と聞き返したくなるほど、合格者を絞りに絞っています。

どの回も募集定員を上回る合格者を出していますが、そもそも定員が5人とか15人とか少数で、上回ったといっても2人とか6人とかのレベル。世間一般で言う「多め」ではなく、これは「若干名」の範疇と思うのですが、いかがでしょうか。

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特に「本科Ⅱ類」(国公立大学,難関私立大学,海外大学への進学をめざすコース)が凄まじく、1日午前の女子は100人受験して合格者2人で倍率50倍、同午後の男子は265人受験で合格は4人、倍率66.3倍でした。

1日午後の国際生コース「CORE」クラスは、男女計44人が受験し、合格者0という「異常」な入試となりました(数字はいずれも市進学院の合格速報によるもの。2月7日まで数字が入ったものが公開されていましたが、8日未明に合格者数や倍率はすべて消えていました。裏で何があったのか、なんとなく想像はできますが…)。

第1志望が多いはずの1日1回目入試からこれほど合格者を絞り込む理由はどこにあるのか、厳しい入試になることは覚悟していた受験生、親御さんもこの合格者数は想像だにしなかったでしょう。

偏差値ランクの大幅アップ狙い?

なぜこれほどまでに人数を極端に絞り込む入試結果となったのでしょうか。

最大の理由は22年11月に行われた「帰国生入試」にあるとみられます。定員35人の枠に対し、入学辞退者を見込んで合格者を多数出したものの、想定していた以上に「歩留まり」が良く、定員を大きくオーバーして入学手続きが進んだようです。これが2月の一般受験に影響を与えました。

このような状況になりながら、1月にも行われた学校説明会でも「合格者を多めに出す」とアナウンスし続けた姿勢は、非難されても仕方のないところです。

実際の現象とは別に「偏差値ランキングの大幅なアップ」狙いの意図があったとも考えられます。一気に知名度を高め、見た目「進学校」にするには、これが一番「早い」からです。

受験生の超トップ層のみを合格にし、その後各塾が行う調査からはじき出す「結果偏差値」を高くすることで、来年度以降の人気と受験生獲得戦略の柱にします。学校側がいくら理想的な教育目標やカリキュラムを掲げても、親御さんの多くが子どもの受験校決定で一番参考にするのが「偏差値と大学合格(進学)実績」す。

偏差値的に見て難関校・上位校が年によって凸凹があるにせよ「それなりの受験者数」を集めるのは、この2つの数字に支えられているからです。これに「校風」という肌感覚と子どもの希望が加味されるというのが、志望校選びの「実際」です。

芝国際としての大学合格実績がまだ出せない中で、目立とうとすれば1年目は「盛りだくさんの魅力的な教育プログラムを用意し、イベントと宣伝活動で盛り上げる」、2年目は「高い偏差値」が一番「即効性」があると考えられます。

※23年5月時点での芝国際の合格可能性80%偏差値は、受験日・コースによっても違いますが、サピックスで44~46、四谷大塚・日能研で54~58。「初登場」で偏差値が中堅から上位校の範囲に位置しているのは「異常」といえます。

求めた生徒とのギャップあった?

想定したより受験生のレベルが高くなく、「無理に合格を出さなくても」という判断を下した可能性もあります。帰国生入試で予想以上に「粒ぞろい」の子が入学してくれたとなれば、なおさら「絞り込み」をすると考えるのが妥当です。

確かに人気校で受験者数も相当数に上るという予想は容易でしたが、持ち偏差値55以上の子が魅力的とはいえ、まだ未知数の「新設校」を上位志望で受けるかといえば…です。

「持ち偏差値は低いが、何とか充実した環境で勉強させたい」「偏差値はまだそれほど高くないけど“お買い得”な学校に行かせたい」「カリキュラムが素晴らしい。ここに賭けてみたい」。そういう「本心」が芝国際の学校説明会に参加し、受験を決めた親御さんの言動から垣間見えます。

しかし、親御さんの熱い思いとは裏腹に、当の受験生に芝国際への「思い」がどれほどだったのか、という問題が現実としてあります。実際に芝国際を受けた子からは、試験会場で騒いでいたり、塾の友達同士でふざけあって、入学試験を受けるという態勢に程遠い子もいたといいます。正直なところ、学校側が求めるレベルとのギャップが大きかったというのも合格者絞り込みの背景にあるのかもしれません。

ただ、実際には中学受験の倍率の「相場」というものがあります。いくら厳しい、といっても常識の範囲というものがあります。「第1志望が多い」と考えるのが妥当な1回目入試で、50人に1人しか認められないという入試は「あり」なのかなと。

私立なので、それが「本校の方針」と言われてしまえば、それまでですが、そういう異次元の入試の可能性があるのなら1年目なので「かなり厳しい入試になることもある」くらいの但し書きが、入試要項にあってもと思います。

虫が知らせた?1日午前の欠席率

合格発表が大幅に遅れたことで、合否の確認ができず、2日以降の出願・受験に支障をきたした家庭も少なからずあったようです。

しかし、「23時発表」というタイトな時間を考えれば、あらかじめ受験予定校には出願をしておくのが「セオリー」です。受験料が…というのなら、初めから受けないことを前提に構えておき、もし間に合えばぐらいのスタンスが必要です。

12歳の受験です。中学受験に大人の意向が働くコスパの考え方を持ち込むのは無理があります。

そういうことを察知して、というわけではありませんが、注目したい数字に1日午前入試の本科Ⅱ類の「欠席者数と割合」があります。男子は198人出願して実際に受験したのは107人で欠席率46%、同女子は200人出願で受験100人の欠席率50%でした。

後半日程なら進学先が決まり、出願はしたけど受験しないという子が多くなるのは不思議ではありませんが、1日午前入試でこの数字は「異常」です。

2月1日の午前入試は特別な戦略がある場合は別にして、事実上「第1志望入試」です。一度は出願したものの、本当に芝国際でいいのか、というクエスチョンが頭の中に浮かんだのかもしれません。

虫が知らせた、わけではないでしょうが、出願をしておきながら、結局受験しなかった生徒が多かったのも、芝国際に対する「期待」より現時点での「不安」の方が大きかったからではないでしょうか

23年度入試の「目玉校」として注目された芝国際ですが、今回のイメージダウンはかなりの痛手です。かつては「人の噂も七十五日」でしたが、「まずはネットで検索」となった時代に、一連の初年度入試の様子は後に続く人たちの目にも止まってしまいます。

24年度入試に向けて、どのような姿勢で臨むのか、あらゆる面で芝国際の今後は注目されます。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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