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回り道できるか…塾で「クラス昇格」するには?


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カギはスタートダッシュ
勉強量は最終的に「質」に転換
結果が出なくても半年は待つ

最悪パターンは「エレベータ」
・本末転倒…塾のクラスにこだわる

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カギはスタートダッシュ

塾のクラスを上げる。多くの受験生の親御さんが通塾中の「目標」に掲げます。学年によって、その取り組み方は違ってきますが、比較的結果が出やすいのは、新3、4年生の2月入塾当初から取り組んだ場合です。

入塾時にクラスが下位でも悲観する必要はありません。入塾前に、何らかの対策や勉強をしていた場合を除き、普通の小学生の入塾テストの出来は大して良くないのが当たり前だからです。「小学校ではできる方です」というのも中学受験の世界では全くと言っていいほど通用しません。中学受験用の勉強と小学校の勉強とでは「レベル」が違いすぎるからです。

入塾を許可されても下位クラスは珍しくはないのですが、最終的に難関・上位校合格へという気持ちがあるならば、長居する場所ではありません。いち早く「脱出」を図ります。鉄は熱いうちに、朱に染まる前に手を打てば、早期に塾が提供するカリキュラムに乗ることができます。

カギはスタートダッシュ。入塾直後から丁寧に復習をしていくことを意識して家庭学習する子ども、親御さんは極端に少ないです。授業内容がまだ深くないうちに、手を付けやすい時期に次の授業まで復習を徹底する「勉強習慣」と、一定の時間と量の勉強ができる「勉強体力」を付けていけばに、上位にクラスに食い込む環境は整うと言えます。

勉強量は最終的に「質」に転換

授業の復習をきっちりやるだけでもクラスアップはかなり近づきますが、「勉強習慣」が付いて、「勉強体力」に余裕が出てきたら塾の授業で手を付けず、宿題にもなっていない問題にも挑みます。テキストに掲載されている限り、最終的には「すべて」やるつもりで、です。

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テキストの問題をすべてやる目的は3つあります。①上位クラスの子どもが授業でやっている、自主的にやっている問題のレベルを知る②そのレベルを攻略しないと、上位クラスにも入りたい中学にも届かないと自覚する③解放暗記ではなく、入試突破のポイントになる「問題を解くために思考する」習慣を身に付ける、ためです。

無理に手を出す必要はありませんが、勉強は一定レベルを超えようと思えば絶対的な「量」が必要です。量より質、という考えもありますが、十二分な量をやるとそれが最終的には「質」に転換します、変容します。

「効率の良い勉強」と大人は言いますが、それはある程度量を消化してからの話。何度も痛い目を見て、さまざまな経験を積むからこそ、最後の入試本番で、短時間の間に思考力が必要な算数の問題が素早く解けたり、国語の記述問題を字数以内にまとめられるのです。

親御さんの伴走して一緒に考えても、ヒントを出しても構いません。トライして分からない場合は、解答解説を見て正解への道筋を「たどりながら」でも構いません。まずは「触れる」ことからでOKです。

クラスアップの対象となるテストは、最上位クラスを基準に問題が作成されます。塾によってはレベル別に解く問題が決められていたりしますが、「上」を目指すなら、上の子がやっていることと同じかそれ以上を最終的にやらないと、です。

結果が出なくても半年は待つ

一生懸命やってはいるものの、努力に見合った結果が出ない可能性も最初のうちはあります。

学び、吸収したものを得点としてアウトプットできていない状態です。特に実力テスト系の「組分けテスト」では、最初のうちなかなか結果は出ません。1、2カ月の短期間やって「ダメじゃん」と諦めてしまう家庭が多いので、その後の伸びにつながらないのです。

「地道な積み重ねの継続」ができるかどうかは、勉強ができるできない以上に中学受験の成否を分けます。成績って、そう簡単には上がりません。まずは漢字や計算、一問一答式の小テストで確実に満点、合格点をとれるようになるところからです。

成績が明らかに「上がった」と実感できるのは、下位クラスの子だと最低でも半年はかかりますもちろん、小テストなどでは得点はアップしていきますし、月例テストなどでも偏差値の高低を繰り返しながら、総体的に上昇傾向という感じになります。

しかし、「殻を破った」という状態になるには、半年は待ちたいところです。そこまでいって変化が感じられない場合は、もう一度学習を点検する必要がありますが、日々子どもの観察をしながら徐々にカスタマイズしていくと、半年程度で「こういうやり方で」という子どもオリジナルの勉強法が見つかってきます。

手間も時間もかかる「回り道」ですが、簡単に揺るがない学力を身に着けるには必要な道筋です。「簡単に手っ取り早く」を追っている限り、力は付きません。

最悪パターンは「エレベータ」

塾のクラスアップも大切ですが、より重要なのは「一度昇格したらクラス落ちしないこと」です。上がってホッとしたのも束の間、1カ月後には元に戻った、というケースは「塾あるある」です。

たまたまテストの結果が良かった「ラッキーパンチ」で、実は力がまだ「生煮え」状態なのにでクラスアップ、ということもしばしばあります。「結果オーライ」でその時は良くても、上がったクラスの「スピード」と「レベル」について行けずに、子どもは劣等感にさいなまれただけで、次のテストの後、元のクラスへ出戻り、となるのは、その後の受験へのモチベーションにも影響します。

「とりあえずクラスが上がってしまえばなんとかなる」と考えている親御さんもいますが、実力が伴わないうちにクラスが昇格してもついて行くのは厳しいです。大学受験の高校生なら歯を食いしばって、も「あり」かもしれませんが、12歳の子の心理的負担は大人が想像する以上です。

クラス昇格を焦る必要はないので、実力を付けて「満を持して」上がるのが、ベスト。昇格後のクラス安定、さらなる成績の伸びにつながり、さらに上のクラスへの「通過点」にもなります。下位クラスに「どっぷり」も良くありませんが、クラスのアップダウンを繰り返す「エレベーター受験生」は、取り組んでいる勉強のリズムが乱れ、受験で大切な「流れ」を断ち切ってしまいます。

本末転倒…塾のクラスにこだわる

「とりあえず上のクラスへ、上のクラスへ」と、子どもの「所属クラス」にこだわる親御さんを時々見かけます。需要があるとみえて「短期間で塾のクラスアップ」を請け負うと大っぴらに宣伝文句として使っている家庭教師派遣会社も多いです。

確かに不可能ではありません。慣れた家庭教師が子どもの解答用紙を見れば、「応急措置」で点を取らせるポイントを発見でき、20点や30点アップすることも可能です。

しかし、点数アップはあくまで「応急措置」であって、きちんと子どもに力が付いたわけではありません。問われ方を変えられたり、それを道具として使って解く応用(思考)問題には太刀打ちできません。「応急措置」では高得点維持、さらなるアップには限界があります。

塾のクラスアップは中学受験のモチベーション維持に効果はありますが、それ自体が目的ではありません。目的は「志望校合格」です。その本質を忘れて、塾のクラスアップに目を血走らせている親御さんの子どもの入試結果は、過去あまり芳しいとは言えません。「本末転倒」の受験だけにはならないよう、塾のクラスアップ熱はほどほどに、です。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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