親御さんの役割

成績と合否を左右する 親の「ウチの子研究」


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・子どもの「数字」には理由がある
「にじみ出てくるもの」を見抜け
なぜ「モヤモヤ」感が残るのか
丸投げ親と踏み一歩込む親の差

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子どもの「数字」には理由がある

我が子の学習状況について「だいたい」把握している親御さんは、そう多くなく、塾に「丸投げ」状態というのが結構います。中には受験校さえ塾の先生が決めてくれて、入塾すれば自然に合格できると考えている親御さんも本当にいます。

残念なことですが、多くの親御さんが子どものテストの点数や偏差値など「数字の把握」にとどまり、どうしてその「数字」になったかまで深掘りしていません

数字を見て「ちゃんと勉強しなさい」と雷を落とす、といったパターンは古今東西変わらぬ光景。いくらお尻をたたこうと、子どもの成績はせいぜい横ばい、学年が上がるにつれて下降線をたどっていきます。

子どもがその「数字」なのは、理由があります。ちゃんと勉強しなさいと言われたところで、ちゃんとできない理由もあります。

そこを親御さんが把握しないと、いくら合格実績が良い塾に入れても、休まず通塾しても成績の好転は期待できません。

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「にじみ出てくるもの」を見抜け

子どもの成績が芳しくないことの一因として、親御さんの勉強に対する「ウチの子研究」が不十分であることが多々あります。

子どもが塾で何を勉強してきたのか、どこまで理解して、どこでつまづいているのかなど、塾での子どもの状態の把握が「ウチの子研究」 です。家庭での学習の様子、何を進んで取り組み、何を嫌がるのか、その理由は…を把握するのも「 ウチの子研究」 です。

つまり、子どもの成績だけでなく、やっている学習の中身とその理解度の実態が頭に入っているかどうか、ということです。

塾でやっている内容は難しくてすべては分からないし、教えることもできないかもしれませんが、子どものノートやテキスト、テストの解答用紙、問題用紙から、ウチの子研究に必要な判断材料が「にじみ出てくるもの」が必ずあります

ノートやテキストからは「我が子特有の間違いのクセ」「考え方の偏り具合」「授業での集中度」などが浮かび上がってきます。どうしてその成績、偏差値になったかの「理由」がなんとなく分かってくるものです。

子どもの「学習の足跡」に十分に目を通さず、成績表の偏差値や平均点などと見比べるだけで「できた」「できなかった」を判断するだけでは、成績は上がりません。内容分析、次に具体的な行動が必要です。

なぜ「モヤモヤ」感が残るのか

「ウチの子研究」は些細なことからできます。

算数なら問題用紙の余白にした計算のこん跡をたどっていくと「どうもこの辺で“迷いの森”に入ってしまったのかな」と判断できます。

国語で読解の素材文に線を引きすぎてしまっているのを見れば「要点が絞り切れず、全部要点に見える」状態だなと推測でき、結果として解答への方向性がまとまらず空欄、という具合に「できない理由」も浮かび上がってきます。

「子どもの実態」を把握したうえで、親御さんで手に負えることは親御さんで、手に余る場合は塾の先生に解決のアドバイスを求めます

先生へのアプローチが具体的なら、アドバイスも具体的なものが返ってきます。「どうしたら勉強ができるようになりますか?」といった漠然とした質問だと、答えも自然とぼやっとしたものになり、一向に問題は解決せず「モヤモヤ」感だけが残ります。

モヤモヤを避けるためにも「ウチの子研究」は肝です。先生に対して親御さんが子どもの「ネタ」を持っていれば、先生も話の流れで親御さんが知らない「ネタ」を出してきて話が進みます。そのやり取りから、子どもの勉強、成績改善の具体策が出てきます

このコミュニケーションは「先生の有効利用」という通塾最大のメリットを生かすことにつながります。クレーマーや口うるさいタイプではない、「デキる」親御さん(子どものことをよく分かっている親御さん)に塾は一目置くからです。同じ料金を払っているのに、親御さんの次第で塾の面倒見は大きく違います。

丸投げ親と踏み一歩込む親の差

最後は親御さんから先生へ「決めのひと言」を伝えます。

「先生からお話していただければ、あの子も聞くと思います。よろしくお願いします」

子どもに対して親御さんがアドバイスしても、よほど追い込まれていない限り、うるさがられるか、スルーされるかのいずれかです。

先生から言われると、同じ言葉でも「効果てき面」です。10歳から12歳の子が親以外の大人に面と向かって何かを言われることは少ないので、子どもにとっては「衝撃」です。

効果は言葉だけではありません。先生もアドバイスをした手前、日ごろ子どものことを気にしてくれます。これが長い通塾期間で「大きな差」になることがよくあります。

大手塾は家庭からアクションしない限りは、定期的な面談以外「何もしてくれない」のが普通です。一歩踏み込む親御さんと比べて、塾丸投げの親御さんはここの「気づき」に差があると言えます。

「ウチの子研究」をしっかりやり、先生と連携できている親御さんは多くの場合、納得のいく結果で中学受験を終えます

子どもは中学受験という厳しい戦いに挑んでいます。親御さんの役目は少しでも戦いやすいように、有効な「援護射撃」をしてあげることです。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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