大学附属・系属校

どう違う?早稲田中学・高校と早稲田実業


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「性質」が異なる2つの系属校
早実が男子を減らした理由
早高の「ユルくない」早大への道
・九州からの早大「逆上陸作戦」

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「性質」が異なる2つの系属校

早稲田大学の「附属校」と呼ばれる中学入試を行う学校は、東京に3校あります。

1つは「早稲田大学高等学院中学部」=「早大学院」で、学校経営も早大が行っている「直系」の附属校で、中学入学と同時に早大へ進学する権利を獲得します。慶應系の中学高校と同じケースと言えます。

もう1つ早稲田には「系属校」という形態の“附属校”があります。東京都新宿区、早大の本部キャンパスと目と鼻の先にある「早稲田中学」と国分寺市の「早稲田実業学校中等部」=「早実」の2校です。

大学とは違う学校法人の経営で、それぞれ早大に入学できる推薦枠を持っている点では同じです。中学受験の世界ではともに「人気校」として名前が挙がり、偏差値も近いという点で共通していますが、この2つの系属校、「性質」は大きく異なります

早実が男子を減らした理由

同じ系属校でも、早実と早中・高の大きな違いは「早大への推薦進学の割合」です。早実は学院のように「もれなく」早大の推薦権が付いてくるわけではありませんが、95%以上の生徒が早大へ進む権利を得ます。対する早高は5割前後です。

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学部は第5志望まで選べ、高校3年間の学業成績を1200点満点に換算して決まります。詳細は省きますが、 文系学部トップの政治経済学部なら1000点前後はほしいところ。理系学部も900点はないと安心はできません。人気の商学部や社会科学部では700点前後が目安です。 

進学に条件が付く学部もあります。政経や、基本的に英語で授業をする国際教養学部志望の場合は、学校での成績のほかに TOEFL ITPで480点のスコアを取る必要があります。英検で比較すると2級と準1級の間ぐらいのレベルです。また、高3の1月に大学入学共通テストも受験することが義務付けられています。推薦が決まった後なので、影響はありませんが、結果は進学する学部に報告されます。 

早実は共学校。首都圏では女子が早大へ確実に進学できる唯一の学校で、早中・高と体制が違います。

02年に共学化して以来、早実自体の入学難易度も上昇。現在でも 四谷大塚の偏差値でAライン(合格可能性80%) が男子「64」に対し、女子は「69」。23年度入試は188人が受験し、合格は48人で実質倍率3.9倍。毎年ハイレベルでの激戦となりますが、定員40人に対してのこの合格者数は「うかれば入学」という歩留まりの良さを如実に物語っています。

22年度入試から早実は男子の入学定員を15人減らして65人に絞りました。学校側は「大学との連携教育の推進、探求型の学びへの転換及びこれまで以上のきめ細かい教育の実現等を目指す」ためとしていますが、ぶっちゃけると男子下位層が早大入学後に大学の授業についてこられない子が多いという現実があります。

難関の早実に入学した後、生徒の中には勉強をやらなくなる子が一定数います。余程のことがない限り早大へ進めるとあって、上位層との差は極端に開きます。一般受験以上に学校推薦型を積極的に入学させる方針の早大ですが、大学が求める相応の「レベル」に達していて成り立つ話。そこに届いていない子は系属校といえども困る、ということで大学側から早実に要請したものとみられます。

早稲田実業

早高の「ユルくない」早大への道

学院、早実は高校入試がありますが、早稲田中・高は高校入試がない「完全中高一貫校」です。もう1つ大きな違いは、学院と早実が早大進学を前提としているのに対し、「早大も選択肢の1つ」という考え方です。成績上位層の多くが東大や京大、国公立医学部、芸大などを目指す「進学校」の性格が強い学校です。

23年度の大学入試で早稲田高は東大に39人合格(うち現役31人)し、ここ5年では最多を記録。推薦での合格も3人輩出しました。京大も8人(同4人)、東工大10人、一橋大5人とさすがの合格実績です。

他大学受験の場合は、校内での成績優秀者でも早大への推薦権を失います。いわば退路を断っての「勝負」となります。そのため早大は一般受験をすることになり、23年度は100人が合格。慶應にも64人がパスしました。これは早実や学院ではありえないことです。

学校の方針として、校内の授業、定期テストのレベルは「一般受験しても、最低限早大に合格できるレベル」です。他大学を受ける場合、早大合格は「朝飯前」くらいでないと勝負にならないのです。

一方、早高は早大に進むにしても合格を出すのはクリスマスのころといいます。希望学部に進むには、高3の2学期の期末テストまで気が抜けません。進学するのは卒業生の5割強。東大や医学部受験をする生徒を差し引いても、全員に早大への推薦権が回ってくるわけではなく、成績下位の生徒は必然的に「仕方なく他大学受験」となります。

一浪して早大、という子も一定数います。やむなく他大学進学という子もいます。系属校ですが、早大進学は外野が思うほど「ユルくない」のです。

早稲田中学・高校

九州からの早大「逆上陸作戦」

100%、あるいはほぼ100%早稲田の学院・早実、早稲田も選択肢の早中・高に対し、最近は「第3ルート」もにわかに注目されています。佐賀県唐津市にある早稲田佐賀中学・高校からの早大進学です。

早大を創設した大隈重信の故郷・佐賀に系属校として誕生したのが2010年。1月と2月に東京や九州で入試を行い、中学で平均して130人程度入学します。そのうち関東圏からの進学は約3~4割です。

四谷大塚の偏差値でAラインが「64」(22年)の東京の早稲田系3校に対し、早稲田佐賀の1月入試のAラインは「58」。実質倍率も3~4倍の東京3校に対し、2倍に届かない程度。実力的に東京の3校は厳しい、という場合に佐賀での寮生活を経て6年後、九州から早大への「逆上陸」を目指すケースも年々増加傾向です。

「高校の定員の50%を上限」という推薦ルールがある早稲田佐賀ですが、全11学部で最大各10人というのが定着。政治経済学部や商学部が毎年「完売」傾向です。

東大や京大、九州大を中心とした九州の国公立大、医学部、関関同立にも合格者を毎年出している進学校としての顔もある早稲田佐賀ですが、早大へ5割の確率で推薦権が得られるのは魅力。首都圏で行われる数少ない学校説明会は瞬時に定員が得待ってしまいます。24年度入試も「第3ルート」は人気です。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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