◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・大手進学塾は「平等」ではない
・「復習テスト」合格点が第一歩
・「コツ」とか言っているから…
・恐ろしい「やっつけ勉強」
どんなに合格実績が素晴らしい塾でも、所属クラスによって受ける恩恵は「格段に」違います。
授業内容、扱う問題のレベル、プラスアルファの知識と考え方の伝授、周りの生徒から受ける刺激…同じ授業料、同じテキストを使っているのに上位クラスと下位クラスではその「差」は歴然です。
「看板講師」の先生も、上位クラスを受け持つことが多く、下位クラスは経験の浅い先生やアルバイトの講師が割り当てられるケースが多いです。
「看板講師」がどの生徒にも合うわけでなく、一概に良いとは言えません。熱心な若い先生も多いので「あたり」のときもあり、子どもの「学習意欲」に火を付けるきっかけとなった、という話もあります。
しかし、大手進学塾では下位クラスに居続けることにメリットはなく、志望校に関係なく、いち早く「脱出」する方が受験生本人のためです。
下位クラスでも、少し時間かけ、手順を間違えなければ浮上の可能性は十分あります。
手順としては「一気に」ではなく、「スモールステップ」を踏みながら進むのが、無理がありません。成績が芳しくない子は短期間で標準以上のレベルに追いつくことを考えるより、「スモールステップ」を積み重ねることで、後の大きな飛躍の土台をつくることから始めます。
「スモールステップ」の基本は、塾で学んだ内容を次週までに「復習」して自力でアウトプットできるものを1つでも増やすことです。
わかりやい指標としては、多くの塾で翌週に行われる「復習テスト」で満点、せめて合格点(80点以上)をとることに目標を置きます。
漢字でも計算、一行問題でも、理社の穴埋め問題でも、1週間後に照準を合わせて合格点をとり続けます。
下位クラスにいる子は偏差値がどうとかの以前に、こういう「地道」な勉強を積み重ねてこなかった、できなかったことが「この位置」にいる大きな原因です。
6年生には「今さら」かもしれません。5年生も「早く追いつきたいので、即効性がある方法を」と思うかもしれません。しかし、一気に挽回する力は、下位に低迷している子にはありません。
偏差値を少しでも上げる、クラスアップを図り二度と落ちないための「はじめの一歩」として、目の前の復習テストを頑張ることから踏み出します。
単純で何のテクニックもないようですが、この単純の繰り返しこそ、中学受験で後々ものを言うことになる「勉強体力」(有効な(質を伴った)勉強を一定時間、一定量できる学力と持続力)を身につける基本になります。
「復習テスト」でコンスタントに合格点のとれる子は、下位クラスに甘んじることはありません。合格点をとり続けることは、そのまま月例テストや実力テストへと繋がっていきます。学習の「積み重ね」ができているからです。
よく「できるようになるコツはありますか」と尋ねる親御さんがいますが、「楽して手っ取り早く何とかしたい」という姿勢が、きちんと勉強に向き合えない、「勉強体力」がいつまでもつかない根っこの部分になっています。「勉強体力」と成績、偏差値は比例します。極めてシンプルな図式です。
「コツ」というのは、ある程度基礎学力を身に着けた上で「最後のひと押し」となるスパイスのようなものです。もとの料理(基礎学力)がマズいのに、いくらスパイスをふりかけても、おいしくなりません。基礎がしっかりしてこそ、初めて「コツ」が生きてくるのです。
一般的に4年生で塾ライフがスタートしても、多くの子どもたちが復習をきちんとやりません。
塾へ行って帰ってきてもテキストもノートも開かず、復習テストの前日とか当日に「かじる」程度。この「やっつけ勉強」のサイクルが染みついてしまうと、成績は上がるどころか、足踏みから緩やかに下降し、下位クラスからの脱出は遠のきます。
「やっつけ勉強」は、中学受験を乗り切るだけの「勉強体力」がいつまでたっても身に付かない元凶にもなります。
塾でやった内容の復習が行き届かず「積み残し」が増すばかりで、一念発起して勉強しようとしても、どこから手を付けていいのか分からない状態になっていることが多いです。そうなると、やる気も萎えて結局「放置」したままのものを大量に抱えたまま、受験本番になってしまいます。
復習内容は子どもの「出来高」に応じて進めるのがポイントです。
無理に量をこなそうとするのは禁物。その子のレベルに応じて、勉強がまだゲーム感覚で楽しめていない子は「もう少しやりたい」レベルで止めておくのがベター。勉強量の増量は「勉強体力」が付いてくれば、自然と増えます。
まずは「できる」ところを「完璧」にし、「もう少し」を「できる」にします。「焦りは中学受験最大の敵」です。