親御さんの役割

まだ大丈夫?5年生秋からの中学受験参戦


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まずは「立ち位置」を認識する
出来によって2科入試も得策
「正解8割」を繰り返す意味
・大切な途中参戦で得た「自信」

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まずは「立ち位置」を認識する

5年秋から中学受験。知名度の高い学校を志望する場合は、陸上競技で言うと、正直なところ「周回遅れ」です。

大手進学塾に入って、3年生の2月から頑張っている子同士でさえ、大きな差がついています。そんな状態で「さあ、これから」ですから。

小学校の単元ごとの「カラーテスト」は100点ばかりでも、大手進学塾の入塾試験は多くが10点とか20点です。定員がいっぱいの教室では入塾できないかもしれません。

それでもなお「挑戦」、というのであれば、まずは9月、10月の段階で中学入試用の同学年の模試を受験して自分の「立ち位置」を知ることをお勧めします。

各大手進学塾の模試より「首都圏模試」が力試しには良いです。

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進学塾のそれに比べ、大半が基礎的な出題なので、中学受験をする「一般的なレベル」が認識できます。

出来によって2科入試も得策

出来はそれほど期待しない方が…です。偏差値にして30、40台が普通。初の模試で50を突破すれば、かなり有望です。

算数は大問1の計算問題ができていれば上出来。次の小問集合も「初見」なら骨が折れるはずです。大問4以下は(1)が正解ならば、結構「見込み」があります。

国語は漢字や語句の問題を8割正解していれば、受験生標準レベル。読解は小学校で「できる」子でも半分正解すれば、というところ。理科社会にいたっては、小学校の学習内容で太刀打ちできない問題だらけです。

理科と社会で苦戦しているものの、国語か算数が偏差値50前後なら、理社をやらず国算の2科入試の選択も得策。まずは、中堅から一般校(首都模試で偏差値50台、40台)の受験に照準を定めます。

逆に理科社会が好きで、割と得点できるのなら、国算中心の勉強を進めつつ、4科入試で勝負です。国語と算数の2科目入試だと受験できる学校の選択肢が限られます。

「理社は配点が国算の半分程度なので勝負科目にならない」という意見もありますが、入試は4科の合計点で合否を判定します。合格者平均でも6割5分程度、50点満点で32,33点なので、得意ならさらに計20点以上のプラスは現実的です。十分勝負科目になります。

偏差値30台前半なら、中学受験よりまず学校の勉強をしっかり、といったところ。首都模試でこのポイントだと、学校の勉強でも基礎問題は「怪しい」レベル。そこをきっちりできるようになってからの話になります。

「正解8割」を繰り返す意味

結果を見て、親御さんは子どもの奮起を促すかもしれません。

「4年から通塾している子に追いつき、追い越せだ!」「これから1日●時間の猛勉強だ!」などと発破をかけます。子どもも「頑張る!」と決意を口にします。

しかし、大概は「計画倒れ」になります。「勉強体力」「勉強習慣」が備わっていないからです。

時間を決めて2,3時間勉強を継続する力、それを毎日、できるだけ決まった時間に繰り返すことは、受験を考えていなかった小学生には「未知との遭遇」です。

中学受験となると「進学塾」を連想しますが、まず家庭教師や個別塾(中学受験に対応できるかどうか親御さんは慎重に吟味を)からスタートするか、親御さんに「腕に覚えあり」なら「親塾」も考えられます。

そこでベースをつくってからの「進学塾検討」というルートの方が「ついて行けない」という危険性が激減します。

カリキュラムがかなり進んでいる大手より、割と個人に合わせてくれる地域の進学塾や個人で開塾している先生に指導してもらうのも有効です。

中学受験の勉強の初期段階で大切なのは「量の調整」と「正解の数」です。

「周回遅れ」で焦る気持ちはあると思いますが、まずは無理のない量で進めます。いきなり問題集10ページとかはNG。極端な話、2,3問からでもOK。最初はじれったいくらい少量で構いません。

最終的に長い時間でものを考え続けられる「勉強体力」をつけ、受験間際は5、6時間は当たり前くらいになるためです。体力がないのに「特訓」は無理ですし、続きません。

「正解の数」が大切なのは、勉強を嫌いにならずに「できる快感」を何度も味わってもらうためです。割合にして取り組んだ問題の8割程度正解するのが程よいペースです。

正解が多い方ができなかったものを「どうにかしたい」という前向きな気持ちにさせます。

その限界がせいぜい2、3問。この間違えた問題を「自力でできるようにする」ことが成績アップ、実力アップにつながります。

「一気に」で何度も挫折するより、「少しずつ、でも休まずに」で入試に間に合います

大切な途中参戦で得た「自信」

5年生秋からの「参戦」となると、先に始めていた子との差に親御さんは愕然とします。「もう少し早く始めていれば…」と嘆くこともあります。

それでも途中参戦の受験は「他人と比較しない」というのが、最大のテーマになります(途中参戦組だけでなく、全ての受験生に当てはまります)。

他の子や偏差値ランキングなど気にせず「今やれること」全力で頑張り、昨日より今日、自分が少しでも進歩できたを繰り返しながら、入試本番を迎えたのなら「大成功」です。

志望校合格のために何年も前から勉強してきて、合格して「おしまい」という子、燃え尽きてしまう子は中学受験では少なくありません。

難関といわれる中学に入っても、成績で底辺をさまよう「深海魚」より、縁のあった中学で6年間「自分のペースを刻みながら勉強した子」の方がはるかに青春時代は充実します。大学進学時の「結果」も雲泥の差になります。

学校は中学受験で終わりではありません。

大学進学を見据えているのであれば、むしろ勝負は次の6年間。途中参戦で勝ち取った合格は、子どもの「自信」につながります。その自信が「次の扉を開く原動力」になります。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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