親御さんの役割

「全滅」リスクが高い親子の「志望校不一致」


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受験校は「親子で一致」が基本
娘は言った「この中学行きたい」
折衷案には無理があった
最後の決め手は「気持ち」

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受験校は「親子で一致」が基本

文化祭、学校説明会、オープンスクールなど、中学入試絡みのイベントが盛んにおこなわれる季節となりました。

各家庭でいくつもの学校が候補に挙がり、実際に足を運び、志望校(受験校)の最終決定の重要な判断材料になることでしょう。

どこの学校を受験するにしても「親子で思いが一致」した学校を受験するのが基本線です。特に子どもが乗り気でない学校を、親御さんが強制するのはNG。良い結果はほとんど出ません。志望順位の高い低いにかかわらず、「前受け」校でさえもそれはあてはまります。

12歳の受験です。「前受け」からリズムを崩すと、2月の入試まで影響は甚大です。

娘は言った「この中学行きたい」

4校受験(試験回数は5回)して、前受けの1校を除き事実上「全滅」した女子がいました。

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原因は、「親子の考え方の相違による戦略ミス」。この1点に尽きます。親御さんが行かせたい中学と娘が行きたいと思った中学の「温度差」が最後まであって、残念な結果に終わりました。

お母さんは自身の母校である、東京の伝統ある女子校へ娘にも進学してほしいと願っていました。一方の娘さんの方は、中学受験はどこか「他人事」で勉強に身が入りませんでしたが、5年生の終わりごろに塾の先生から「美術の勉強が本気でできる中学がある」と聞き、初めて目を輝かせました。

漠然とですが、将来はデザインの仕事がしたいと思っていた女の子が関心を寄せたのが、東京都杉並区にある女子美術大附属中学。自分から「この中学に行きたい」と口にしたのは初めてのことでした。

女の子は母親に「女子美を受験したい」と訴えました。お母さんは話こそ聞いてくれましたが、「美術をやりたいなら、●●中学の美術部に入ればいい。大学へ行ってからでも遅くはない」と言って、受験することに難色を示しました。

折衷案には無理があった

受験校を決めるのに何度か「家族会議」を開きましたが、話は容易にまとまりせんでした。受験にそれほど積極的でない父親の態度も曖昧で答えがなかなか出ません。

2月1日、女子美の第1回目の試験を受けたい娘。母親は「ここが第1志望」と決めた女子校を譲りません。結局、折衷案として1日と2日に母親が希望する女子校を受験し、2月3日に女子美の3回目に挑戦することになりました。

女の子の成績、偏差値から見ると、お母さんが熱望する第1志望の女子校は模試の判定で合格可能性20%。一方、女子美は1日受験なら80%ですが、定員10名で毎年倍率が5倍以上となる3回目入試だと50%に。80%偏差値が1回目と比べ7ポイントも高かったのです。

結果は危惧した通りになりました。「タラレバ」ですが、娘の希望を尊重し、1日に女子美を受験していれば、2倍に満たない倍率なら成績から見ても合格していた可能性は高かったです。

折衷案という、一見うまくまとめたように見える受験戦略は、12歳の子どもの「気持ち」を考えなかったことが最大の失敗でした。

モチベーションが上がらないまま本番を迎え、「母親の熱望校」には1日、2日と「連敗」。行きたい学校ではなかったものの、きつい言葉ですが、他者から「いらない」と言われたような不合格は、やはりショックです。

憧れの女子美を受ける日はもう戦う力も気力も残っていませんでした。5日に受けられる学校がありましたが、最終回の倍率は10倍近く。歩留まりが良かったせいで、募集定員ちょうどくらいしか合格せず、酷な結果になりました。

最後の決め手は「気持ち」

「中学受験は親子の受験」とはよく言われます。子どもの頑張りとともに、受験戦略の立案、学習管理などで親御さんの資質が問われる場面が多いことは確かです。その中で親御さんが「ここなら」と思う学校に出会います。

しかし、受験するのはあくまでも子どもです。その子どもが納得しない、行きたいとは思わない学校を受験しても…です

子どもには子どもの感性があって、それなりに「ピンとくるもの」があります。親御さんの意にそぐわない学校を子どもが行きたいということはよくあります。

何でもかんでも子どもの意思を尊重、とは言いませんが、できるだけ子どもがと前向きになれる受験プランの立案が悔いのない受験の流れをつくります

成績や偏差値も大事な指標ですが、最後の決め手は「気持ち」です。

不思議なもので多少成績が届いてなくても、受験が「自分ごと」の子は何かしらの成果を挙げて中学受験を終えます。最後まで気持ちが乗らず、受験がどこか「他人事」の子は、成績が良くても「こんなことになるとは…」という結果になる傾向にあります。

気持ちを乗せれば、勉強の流れも良くなります。成績も偏差値も上昇傾向になる可能性が高くなります。中学受験は「その気になった」子が勝ちます


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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