過去問はこう使う

逆転合格!?「過去問10年分を3周」は有効か?


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「10年分3周」意味あるやり方
点数よりも「傾向」に注目
4科で50点アップの勉強はこれ
・過去問演習で「嗅覚」を磨く

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「10年分3周」意味あるやり方

「第1志望の過去問を10年分3周しました!おかげでやるたびに得点が上がり、入試前には合格最低点を超えて安心して試験に臨めました」。

合格体験記などで見かける「逆転合格」の秘策のような記述に親御さんは心を動かされ、志望校の過去問を徹底的に取り組む家庭があります。

受験勉強の「正解」は受験生の数だけあります。A君のやり方の正解は、Bさんでは通用しないかもしれませんし、C君はA君が捨てたやり方とBさんに効果がなかった方法を合わせてやったらうまくいった――なんて具合です。

「10年分3周」をただ単に「こなす」だけなら、正直「意味はない」でしょう。やり直すことが悪いのではありません。過去問を合格点最低点を突破するまで、何度もやり直すこと自体に意味はありません。入試では同じ学校で同じ問題は、ほぼ二度と出ないからです。答えをほぼ暗記状態で何度やっても…です。

10年分3周とは言わないまでも、「過去問繰り返し」で効果を発揮するのは3つの「着眼点」が大切になります。

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①「学校の出題傾向を知る」②「自分の間違いパターンがどういうところにあるのかを知る」③「取り組む問題の順番、深追いしてはならない問題を見分ける」。この着眼点をもって取り組めば、効果はかなり違ってきます。

中学の入試問題は、その学校からの「メッセージ」です。学校側が正解してほしい、こういう問題に対して思考し、考え、何かしらの結論を出せる子がほしいという願いを込めて出題します。

そのため過去問の傾向を踏襲することが多く(中にはコロコロ変える学校もあります)、過去問研究によって出題される問題の方向性が「読める」ため、繰り返しあたることは意味があります。

点数よりも「傾向」に注目

「学校の出題傾向を知る」 という点では過去問繰り返しは有益です。

気に留めたいのは点数以上に、毎年どのような問題を出題する傾向にあるかです。

四谷大塚の合不合判定模試でAライン(合格可能性80%)で偏差値55以上の難関校、上位校は、大まかな方向性はあるものの、さまざまな要素を組み合わせて毎年「オリジナル」問題を出すことも多く、読みづらいのですが、54以下の中堅校・一般校では、結構「読める」傾向にあります。

中堅校・一般校は過去問の「類題」を出す傾向にあります。算数なら毎年「速さ」の問題が出るとか、図形は平面図形中心で立体図形はここ5年間一度もないとか、国語なら物語文は「同年代の異性の心情」、説明文なら「文化、考え方の違う人たちとどう分かり合うか」など、「傾向」がはっきりしている学校が多いです。

塾のテキストや過去の模試、塾内テストでの類題にもう一度取り組むのも有効です。塾の先生に相談して、取り組むべき問題や復習した方が良い単元をピックアップしてもらい、より志望校合格に近づく勉強をします。

4科で50点アップの勉強はこれ

過去問を通して「自分の間違いパターンがどういうところにあるのかを知る」のは、点数をアップするのに一番の「近道」です。

誤答したもの、正解にはなったものの実はよく分かっていない、という問題に再度取り組み「どこに不具合があったのか」と「どこがあいまいなのか」をクリアにすることは、手も足も出ない問題やみんなもできない問題をできるようになるよりハードルが低いからです。

世の中では一般に「ケアレスミス」とよばれる間違いは、放置せず「徹底的に治療」します。計算、漢字、知識問題の勘違い…必ずやり直します。計算なら類題を、漢字は毎日テスト形式で、など二度と間違えないように徹底します。

正解だったけど「勘だった」「適当にやってたら○だった」というものも「どうしてそうなのか」と「事実確認」は必ずやります。

親御さんは「間違えたこと」をとやかく言うと、子どもはいい加減に済ませて逃げます。なので間違ったこと、まぐれ当たりは責めずに「きちんどできるようにしておこう」と促して復習をします

この手の問題をことごとく正解していくと、入試や模試で4科目合計50点以上違う子もいます。模試の判定はDやEから一気にA判定、入試も余裕で合格します。

中学の入試説明会で「基本問題を落とさないように」と異口同音に先生は話しますが、それで合格点に至るので繰り返しアナウンスするのです。

過去問演習で「嗅覚」を磨く

「取り組む問題の順番、深追いしてはならない問題を見分ける」ことは、入試で試験時間を最大限に無駄なく使い、1点でも多く獲るのが勝負を分けるという点で、受験生にマスターしてほしい「必須の技術」です。

どの教科も「大問1から解かなければならない」ルールはありません。ならば「解きやすそう」な問題から取り組むのが、得点をより積み重ねられる「セオリー」です。

算数では、面倒な計算問題を出す傾向の中学なら、大問2、3に配置されやすい小問集合から攻めるとか、社会は好きな歴史から解いて、公民、地理の順とか、それぞれでカスタマイズします。

これも過去問を解いた経験則から導き出して、本番に臨みます

ただ、自ら決めた解く順番に縛られる必要はありません。実際の入試では「嗅覚」を大切にします。

一度は問題に取り掛かったものの「この問題、ややこしいな。時間かかりそう」「簡単そうに見えたけど、難しい」という「におい」がした場合は後回しするなど、臨機応変に順番を変えます。

この練習も過去問を解いている時から意識します。塾の模試やテストでも「1問でも多く答える」「時間を有効に使う」ということを常に頭において解きます。

「深追い」した挙句、答えが出ないとかは最悪です。A判定まさかの不合格、ボーダーラインだったけど合格のドラマの多くはこの「時間配分」によって決まっています

入試は7割前後できれば合格です。「落としてもいい」問題は、過去問可演習、模試でどれがそうなのか「嗅覚」を磨きます


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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