中学受験 塾は成績下位の子も何とかしてくれる?

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・入塾の低学年化にみる親の心理
・クラスアップが難しい理由
・エンジンがかからないのはなぜ?
・肝は入塾直後の「はじめの一歩」
入塾の低学年化にみる親の心理
中学受験専門の進学塾への入塾が年々低学年化しています。
合格実績の良い塾、教室は小学1の年生の時点から「満席」になってしまい、4年生になってクラスを増設してもすぐに「満席」と、学力以外のことで入塾のハードルが高くなっています。
入塾の低学年化は親御さんの中学受験に対する熱心さ、とも受け取れますが、その心理の奥底に「座席確保で早く安心したい」という理由がうかがえます。
つまり、入塾しただけで後は塾のカリキュラムに沿って進めば自然と難関校「合格」を確保したかのような気持ちになっている親御さんも少なくないようです。合格実績の良い塾に入れば、中下位クラスにいても「塾が何とかしてくれる」という感覚です。
クラスアップが難しい理由
「一番下のクラスでも塾に入れば徐々に、自然と、成績は上がっていくはず」と漠然と思っている親御さんは結構います。
しかし、トップのクラスと一番下のクラスでは同じテキストを使っていても、授業内容、スピード、活気、扱う問題の数など、全てが違います。
トップのクラスは問題の「処理能力」が早い子が多く、自然と授業のスピードも上がります。扱う問題の数も自ずと多くなり、発展問題、難易度の高いものにもトライし、力を付けます。
しかし、下位クラスでは基本中の基本をやるのが精いっぱい。残ったものを家庭学習でやろうにも、宿題を自力でやるための「基礎力」が備わっていないため、課題を消化するのに骨が折れます。
月に1度の「月例テスト」でクラスアップのチャンスはありますが、出題される問題は「トップクラス仕様」です。そうしないとトップクラスの子は高得点ばかりで、偏差値のヤマがいびつになり、クラス編成が難しくなるからです。
下位の子には歯が立たない問題ばかり。点数は振るわず、クラスアップのチャンスをなかなか生かせず、いつのまにか下位クラスが「定位置」に。これでは勉強のモチベーションが上がるはずもありません。
エンジンがかからないのはなぜ?
そんなことを繰り返しているうちに、勉強自体に興味が持てなくなります。面白みも感じなくなります。
加えて、周囲を見渡せば自分と同じ下位クラスの子も現状に「どっぷり浸っている」感じ。それにホッとして、そこから抜け出してやろうという強い気持ちはなかなか芽生えず、くすぶり続けることになります。
このサイクルが繰り返されれば、6年生の終盤になってもエンジンが冷え切っていて、なかなか「全開」とはなりません。入試本番が近づいて、エンジンをかけようかと思っても、その頃はすでにどうかけていいかもわからなくなっています。
親御さんが叱咤激励、発破をかけても、どう応えていいかもわからず、口喧嘩ばかり。当初思い描いていた中学受験とは程遠い景色、結果になってしまいます。
肝は入塾直後の「はじめの一歩」
スタートは中下位クラスでも、その後の「運命の分かれ道」は、入塾した直後の「はじめの一歩」です。
まだ内容が簡単なうちから毎回の授業の復習を1週間後の授業までにきっちり行い、子ども自身で解答を出せる勉強=アウトプットのサイクルにします。
アウトプットの最高の練習の場は授業前に行う小テスト。ここで高得点を積み重ねます。小テストでの高得点を「当たり前」=「勉強習慣」にします。
加えて、授業で手つかずの問題の中で「できるもの」「ちょっとしたヒントで手が出るもの」まで家庭学習で勉強します。上のクラスとの「ギャップ」をこれで少しずつ埋め、月例テストで上位クラス昇格に近づきます。
復習をきっちり、と言うのは簡単ですが、毎週実践するのはなかなか大変です。そのために親御さんが「伴走」します。
我が子が何ができて、どこでつまずいているのかを把握、塾の先生とも連携を取って勉強が「軌道に乗っている」状態をキープするのが親御さんのミッションです。
この一連の流れが子ども自身である程度できるようになった時、親御さんは「伴走」から「見守り」に立場を変えます。
子どもに勉強の内容、スケジュールを「自走」させ、親御さんは軌道を外れないように注意深く見守ります。このやり方が中学受験で身に付くと、入学後も困りません。
軌道に乗り遅れ、下位をさまよっているいる場合は、まず「できることから」立て直しを図ります。国語なら漢字、算数なら計算、理社は授業前の小テストで合格点を取るという目標で勉強します。それが「はじめの一歩」です。
「負のスパイラル」からの脱出は時間がかかります。
遅れを取り戻そうとして「一気に」「短期間で」は必ずと言っていいほど失敗します。できることから始めることが鉄則。4年生、5年生は今からでも遅くはないです。

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