大学附属・系属校

中学受験 大学附属校のメリットとデメリット


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メリット①多彩な学部選択
・メリット②進学枠に余裕あり
・デメリット①進路変更への対応
・デメリット②校風を考えないと…

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メリット①多彩な学部選択

一時期の「超人気」から落ち着いてきたのが中高一貫の大学附属・系属校入試です。それでも落ち着いただけで、入試での実質倍率は第1志望が集まる1回目で3倍超が当たり前。人気は「継続」しています。

早慶の壁はやや高く、誰でもおいそれとは受けられないので志願者の増減はそう激しくありません。親御さんにも人気の「MARCH」(明治、青山学院、立教、中央、法政)もファンは多く、入試難度は高止まりしています。

人気継続の背景には大学のブランド力とともに、学部数が増えて親御さんの時代より幅広い選択をできるようになったのも見逃せません

明治は総合数理学部など3学部、青山学院がコミュニティ人間科学部など5学部、立教は異文化コミュニケーション学部や23年度設立のスポーツウエルネス学部など3学部、中央が国際経営学部など2学部、と21世紀になって設立された学部は数多くあります。法政は昭和の時代は6学部でしたが、現在はその2.5倍の15学部で、日本大学の16学部に迫っています。

親御さんの時代には男子なら理系学部か法学部、経済学部、女子なら文学部などに進むの主流でしたが、学びの選択肢は多彩になりました。新学部、新学科の設立ラッシュは、どれを選んだら…と迷いもしますが、将来の可能性も大きく広がります。

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その選択の材料として、中学の段階から附属系属校というメリットを生かして、高大連携授業による実体験、より詳しい勉強内容のレクチャーを受けたり、知っている先輩が実際に進学してより「リアル」な話が耳にできるという附属系属校ならではの環境は、かなり恵まれています

メリット②進学枠に余裕あり

加えて、進学枠に「余裕がある」というのも魅力です。

立教の系属校である立教女学院と香蘭女学校の2校に対し、立大は推薦枠を大幅に拡大。女学院は24年度大学入学から151人を195人に、香蘭は25年度から同97人を160人にと大幅に増員します。

この数字は両校の1学年の在籍者数にほぼ匹敵します。つまり形式上は「全入」です。両校とも国公立や早慶、医歯薬系への進学も4割程度いることから、実際枠が余ることになります

もちろん一定の成績基準があり、満たない生徒は推薦をもらえませんが、附属系属校は基準が緩いところが多く、女学院、香蘭とは別のMARCH附属校の中には絶対評価で5段階オール3で進学できます。

明大明治のように「英検2級取得」が推薦条件に入っていますが、取得がきわどい子には「クラスメイトらがバックアップし、英語が得意な生徒が教えている」という友情物語もあり、これが引っかかって…という例はほぼないようです。

成績順に学部選択の優先権がある学校が多いのですが、それでも「激戦」にはなりません。中央の看板学部である法学部でも「上位3割強なら行ける」(中央大附属)など、附属校の枠の広さをはじめ、「ならでは」のメリットは至る所にあります

デメリット①進路変更への対応

大学附属・系属校の中でMARCHの併設大学進学率は平均して8割超になりますが、どちらかというと文系学部が強く、理系、特に医歯薬系となると学部自体が存在しないところが大半を占めます。

6年間の中学・高校の生活で、子どもが12歳の時にぼんやりとでも描いた進路と大きく変わることは不思議ではありません。併設大学以外の進路を選択した場合、附属・系属校の対応はそれぞれで、どちらかというと手厚いものではありません。正直なところ、外部受験対策を親身にやってくれる附属系属校は少ないです。

立教新座のように高校2年から立教大学以外の進学を考えているクラスを用意するのはMARCH系の中ではまれです。夏休みなどに外部受験用の講習会をやってくれる学校もありますが、本筋ではなく「サービス」の域を出ません。

MARCH附属系属校は、中高一貫と併設大学進学を合わせての「10年教育」が前提です。併殺大学に進まないのはイレギュラーで、そこに時間と労力を割く、というのはちょっと…だからです。

「10年教育」の前提からはみ出すのですから「負担増」は覚悟しないと、です。予備校などに通い、自力で対策ということになります。

併設大学にない学部受験や国公立大受験の場合は、大半の学校が推薦の権利を持ったまま受験できます。受験に失敗しても「行く先は確保」という状態です。

ただ、希望学部へ行けるかどうかは別で「枠が空いている学部から選ぶことになる」(法政)など、推薦での進学が決まった子の「残り」から選ぶことになるため、捲土重来を期して浪人するケースも少なくありません。

早慶など同じ私立で、学部も併設大学と重なる場合は推薦の権利は消滅します。それでもなお、の生徒は多い学校では毎年学年の1割くらいがトライします。

デメリット②校風を考えないと…

「大学進学の確約」が魅力の附属系属校ですが、そこだけに目を奪われると、子どもによっては「つらい」中高6年間になります。中でも数字やカリキュラムなどに表れない「校風」をどう見るかが大事です。

大学附属系属校の中には運動系の部活動に力を入れている学校があります。MARCH系でいうと、明治、法政などが代表格です。校風は活気があって元気なのですが、一方で運動が苦手な子やおとなしい子はやや苦痛かもしれません。行事も体育会系のものが多く、学校の雰囲気に「乗れない」のです。

私立中高一貫校は公立に比べて文化系の部活が充実し、学校によっては運動系より「幅をきかせている」ところもあります。「オタク系」の子でも「居場所」が見つかることが多いのですが、体育会系の子が多いところでは「オタク系」の子の自己肯定感が心配になります。

私立の中高一貫校、とりわけ難関・上位校は体育の授業は週に3回程度「体を動かす」レベルで、実技の上手下手はそれほど問われず、成績も出席していればほぼ10段階評価で「10」です。

大学附属校は実技教科の成績の付け方がシビアのところも目立ちます。運動が苦手だったり、音楽の楽器ができなかったり、美術で作品がちょっと…という場合、立場も成績良くなく、推薦に関わる評点でハンデを追う可能性があります。

大学附属系属校進学を考えている場合は、「校風」の分析を含めたより深いリサーチが必要となってきます。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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