大学附属・系属校

中学受験 渦中の「日大」系受ける人、敬遠の人


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・日大騒動の中学受験への影響
・「特別附属」が減らない理由
・日大系「敬遠」2つの理由
・「外野の声」より「内なる声」

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日大騒動の中学受験への影響

日本大学が大きく揺れています。

2018年のアメリカンフットボール部の反則タックル事件に端を発し、「日大のドン」と呼ばれた田中英壽前理事長が21年に逮捕され、今回のアメフト部の大麻事件…。12月4日に林真理子理事長が会見を行い、今後のアメフト部の存廃継続審議、運動部の改革案を示しましたが、正常運転には「道は遠い」という印象です。

この騒動、日大系中学の志願者動向に影響があるかどうか、受験生を持つ親御さんとしては気にしいてる方も多いです。結論から言うと「影響はあるかもしれないが、周囲が思うほど大きくはない」と個人的には考えます。

タックル事件の時も理事長逮捕の時も、それほどの「ダメージ」はありませんでした。今回もイメージダウンは避けられないのですが、親御さんの中には別の見方をしている層もいます。

「我が子が中学受験に成功するかどうか」「将来の大学進学はどうなるのか」が最大の焦点で、そのほかのことは現状それほど「気にしていない」という見方です。

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「特別附属」が減らない理由

首都圏の1都3県には日大の附属・系属校が計9校あります。

その象徴的存在なのが「ナンバースクール」と呼ばれる、日大一、同二、同三です。日大附属の中では、戦前は日大が運営に携わっていたものの戦後になって別の学校法人となった「特別附属」に分類されます。

この3校、23年度の中学入試で軒並み志願者減となりました。22年度入試で日大一は男子が増加、日大三は女子が増加、日大二は横ばいという志願者でした。典型的な「隔年現象」です。

志願者数の増減を1年ごとに繰り返す「隔年現象」は、人気や受験層が限られてくる難関校ではあまりない現象ですが、中堅校や一般校でよく見られる傾向です。

その順番から行くと、24年度入試は「増える」番です。実際日大の特別附属校を受験する生徒たちが主に利用する首都圏模試の志願者分布状況では、ナンバースクールの男子は増加傾向にあります。生徒主体の学校説明会が好評で受験生、親御さんに人気の目黒日大(準附属)は昨年からの志願者増の流れが続いています。

「隔年現象」が起こる背景として、志願者が減った年は合格の実質倍率も横ばいか下がることが多く、親御さんは単純に「数字」を見て「合格しやすい」と判断しがちです。同じことを考えている親御さんが多いことから、減った次の年は増える、増えた次の年は減るを繰り返すのです。日大の特別附属も同様の傾向です。

実際は志願者数が増えても、増加分は合格がボーダーラインでも下位層だったり、合格の見込みが薄い生徒が大半を占めます。どうしても合格をと願う親御さんが、前年の減少の流れから「あわよくば」と考えての出願です。受験者数が減っている場合の方が、実力拮抗の「激戦」になります。

また、日大のナンバースクールは合格可能性80%偏差値が首都模試で50台から40台後半に集まっており、小5、小6からの中学受験参戦組や大手進学塾で偏差値40台前半から30台後半の子にも合格チャンスが広がっています。

加えて、将来大学進学を考えた場合、12歳時点で日大の進学権がかなりの確率で保証されるのは、この成績帯の子にとっては現実的に「魅力」です。他大学へ進む子も半数前後おり、これからの「成長」に期待して、とりあえず「日大確保」という戦略は「あり」です。

日大系「敬遠」2つの理由

第1志望にしても、進学先の候補の1つとしても、いわゆる「すべり止め」としても、日大附属・系属校の受験を考えた場合、今回の騒動によって受験を「敬遠」する理由は主に2つあります。「イメージ」と「進学先としての日大」です。

男子は志願者増の雰囲気ですが、女子はというと日大一は増加傾向も、二、三、それに目黒日大も減少の流れです。女子は男子以上に進学先の校名の「イメージ」を意識してのトレンドと言えます。

女子は男子以上に「校名」そして「制服」にこだわりがあります。今世間を騒がしている大学に関係のある学校の生徒、そこの制服を着て通学しているのを周りはどう見ているのか…。自意識過剰かもしれませんが「気にする」のも無理はありません。女子にとって「イメージ」は男子以上に気になります。

逆に考えれば、この時期に敢えて日大系受験を選択するのですから、男子以上に女子は志望順位が高い子が集まると推測できます。日大系唯一の女子校、日大豊山女子は年々難易度も上昇していますが、志願者減でもレベルの高い入試が予想されます。

「進学先としての日大」は男女問わず、現時点での「敬遠」の理由になり得ます。

中学受験に比べて、高校受験で日大系を受験しようとすると軒並み偏差値は高くなり60の大台を超えます。中学受験で門をたたく方が入りやすいことは確かです。

しかし、中学受験で中堅校レベル(四谷大塚、日能研の偏差値で54~45レベル)の中高一貫校に進学した場合、18歳で日大を一般受験するにしても学校型推薦(指定校推薦)で進むにしても、そうハードルは高くありません。少子化の中でも入学定員は減っているわけではなく、逆に大学側は学生数確保のため、かなり「緩い」基準で入学させています。

日大は多くの中高一貫校に指定校推薦の「お誘い」をしています。しかし、現状としては「余っている」というのが正直なところです。

難関上位校では「ここ何年もお世話になっていない」という学校もあり、中堅校でも「医歯薬系は需要がある」というのが実際。もし日大に進学するのなら「厳しい」場面に直面することは、あまりないと言えます。

「外野の声」より「内なる声」

16学部87学科。日本一の学部数と学生数を誇る日本大学は、大学としてとても魅力があります。入るのにそれほど苦労しないと言いますが、一般の公立高校や私立の中でもそれほど勉強に熱心ではない高校から合格を目指すのは、結構骨が折れます。

日本には約800の大学がありますが、偏差値から見ると日大は上位2割~3割程度のところに位置すると考えられます。いわゆる「Fラン」と呼ばれる偏差値が付かない大学もあるので、正確ではありませんが、決して名前を名乗れないような大学ではありません。ただ、出身大学名はそれほど重要ではない時代になったのも確かです。

21世紀なって、昭和のように「●●大卒」が武器になる時代は終わり、平成では大学で「何を勉強してきたか」が問われるようになり、最近は「勉強したのなら、それを生かせるかどうか」の時代になってきました。

中学受験をして、私立の中高一貫校に進む1つの意味は、公立では経験できない各校が用意しているさまざまな「仕掛け」と先輩友人・教諭らとの交流の中で、自分の将来につながる「何か」のきっかけをつかみ取ることにあります

それがつかめそう、見つかりそうなのが日大系の附属校なのか、別の学校なのか。判断は難しいのですが、無責任な「外野の声」より現時点での自分の「内なる声」に正直に従えば、受験するかしないかの結論は自ずと出ます


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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