国語の勉強法

中学受験 得点UPへ国語読解は「思いをはせる」


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・素材文再読で「知識」を力にする
・異性の思うこと、大人の世界

戦争と境遇の違う人々を推し量る
・他者への共感重視の中学入試

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素材文再読で「知識」を力にする

入試直前に国語の読解に取り組んでも点数がなかなか上がらない、安定しないという声をよく聞きます。

点数が芳しくなかった、あるいは読んでいてよく意味が分からなかった素材文をもう一度読みます

話がどういう方向へ進むのか、何をどう主張しているのか、どういう方向性の選択肢が正解になるのか、素材文、設問から読み取れるものを「知識」として確認、頭の片隅に入れておくと読解の手助けになります。

読解の基本である「素材文を丁寧に追う」という姿勢を思い出すことが、得点アップの一番の近道。加えて「そういう考え方があるのか」「僕は違うけど君の気持ちも分かるよ」と素材文に寄り添えれば国語の読解は点数が獲れます

物語文で考えてみます。素材文の話がどのように進んでいるのか、登場人物の「立ち位置」と「気持ち」が分からなければ、読解問題を解き進めるのは難しいです。特に「自分の知らない世界」は「予備知識」があるとないとでは、話の捉え方が違ってきます。

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ここでいう予備知識は、例えば主人公は「劣等感で積極的になれない男の子」「素直になりたいけれど意地を張って強がる女の子」「都会から地方へ引っ越してきた際のギャップ」など、読解問題として出題される素材文の登場人物のキャラクターや物語の背景を指します。

予備知識が先行し、素材文をきちんと読まないで「こういう話でしょ」と決めつけるのは本末転倒です。しかし、本番で話の方向が見えないときに「カード」として「予備知識」持っていれば読解の「助け」になることもしばしばあります。

素材文は演習時から筋を推測しながら読むと、解答時間も短くできますし、話の方向が「思わぬ方へ」行っても、「そうくるか…」と変化に対応できます。

異性の思うこと、大人の世界

男子は女子の、女子は男子の考えていること、気持ちがよく分かりません。

実生活で大人になってもなぞなぞだらけの男と女。小学6年生に理解せよ、というのは無理な話ですが、中学入試では「中学生女子の恋心」が男子校で、「男子の友情」物語が女子校で出題されます。

親御さんが「人生の先輩」として、女の子の複雑な心境、男の子特有の友達を思う優しさを普段の会話の中でさにげなくレクチャーするのも読解問題を攻略する「たし」になります。

「ビール会社の営業職の女性」「専業主夫の男性に子どものことは任せきりだったキャリアウーマン」「心を病んで仕事を放り出しさまよう女性」「妻を亡くして男で一つで3人の子供を育てる男性」…。

12歳の世界にはない「大人の世界」の話が入試の素材文として取り上げられるのも中学入試の特徴です。

中学受験をさせてもらえる、比較的恵まれた家庭の子が素材文を読んで内容がテレビドラマのシーンのように、情景が浮かぶでしょうか。これも経験豊富な親御さんが「大人はこういう時こんなことを思っている」という感覚を伝えます。

それだけでも知らない世界の素材文が出題された時に、設問を解くヒントにつながる可能性があります。親御さんの「人生経験」を伝えることは、国語の読解に「有益」です。

戦争と境遇の違う人々を推し量る

令和になり「昭和は遠くになりにけり」です。しかし、中学入試では昭和、特に戦前から終戦直後のストーリーが今でもよく出題されます。

受験生はもちろん、親御さんも「リアル」では知らない世界です。特にウクライナとロシアの戦争が長引いていることから、どれだけ子どもたちが遠い異国の地でのことに「思いをはせる」ことができるか、24年度入試は結構問われるテーマかもしれません。

戦争中の自由が制限されている社会、明日をも知れぬ兵士の追い込まれた心境、空襲の恐怖、そして原爆…。日本の敗戦で社会が180度変わり、食糧難での空腹、家を焼かれてその日暮らしの生活、戦争で親や家族を失った人の苦しみは、想像するしかありません。

素材文を親子で手繰り寄せながら、しばし「困難な状況」「あらがえない運命」に思いをめぐらせます

さらに最近の中学入試の読解素材文は貧困に負い目を感じている子どもや家庭の話、ハンデや文化の違う人との誤解などのテーマを扱ったものがよく選ばれます

子どもにとっては普段考えたこともない、あまり接触する機会がない人の境遇を短い時間で推し量り、与えられた問いに答えていかなければならない難しい問題です。ここでも「そういう現状が、現代社会にある」という認識だけでも読解の手助けになります。

1945年(昭和20年)アメリカ軍の空襲で焼け野原になった東京 今の子どもたちには信じられない世界

他者への共感重視の中学入試

なぜ、容易に想像がつかない世界のものが読解問題の素材文に使われるのでしょうか中学校側が子どもに求めているのは「境遇が違う他者への共感」だからです。

よく私立の中高一貫校が口にする「グローバル化」の意味もあって、国や肌の色、立場の違う人間を理解できる素養がある子を国語を通して選抜しているといえます。

入試問題が「学校からのメッセージ」「ラブレター」と言われる理由がここにあります

「知らない」「興味ない」「分からない」――国語のできない子が共通して口にする言葉です。親御さんも「自分と世界が違う人のことはあまり考えたことがない」という姿勢だと、子どもも「見向きもしない」のは当然です。

漠然と問題演習を繰り返したりするより、親子で対話しながらテキストや過去問を一緒に解読します。「読解問題ができるようになるコツ」を追求するあまり、テクニックに走りがちですが、国語の読解攻略は「素材を丁寧に追う」ことが得点力アップにつながります。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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