中高一貫校の実情

中学受験 私立中高一貫校「いじめ」事情


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・いじめは「ゼロ」かといえば…

「学年団」で違ういじめの対処
必ずいる「馬が合う子」
・いずれ「いじめ=ダサい」に

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いじめは「ゼロ」かといえば…

中学受験で大っぴらに語られることはありませんが、親御さんの多くが気にしているのが「いじめ」の問題です。各校の入試説明会の個別質問では、必ずと言っていいほど尋ねる親御さんがいます。

いじめは子どもを取り巻く環境が大きく変わらない限り、一旦解決したように見えて「火種」はくすぶり続けることが多いです。いつまた…という怖さはなかなか拭い去れません。

そのため、子ども自身の希望もあり「環境を変える」ために、中学受験に舵を切る親御さんは意外なほど多いです。

しかし、私立中高一貫校でいじめが「ゼロ」かといえば、否定せざるを得ません

日常的に暴力を振るわれることなどはほとんどありませんが、精神的に幼さが残る中1、中2の頃はささいなことで双方の「すれ違い」が起こります。

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学年が上がるとSNS上での誹謗中傷です。どちらかというと女子に多く、学校側も目を光らせていて、発覚後、あまりにひどかった場合は、中傷した側の子が退学処分になることは珍しくありません。

肌感覚ですが、中学受験をした子どもは、公立へ進んだ子と比べて「個性的な子」が多いです。

周囲からその良さをなかなか分かってもらえない子もいて、理解を超えた「異質」の子を警戒し、人生経験の浅さから「シカト」(無視)「ハブる」(仲間はずれ)「暴言」という形で排除してしまうことも多々あります。 

「ウチの学校は“いじめ”はないが、“いじり”(ちょっとした嫌がらせ、困らせること)はある」という、中高一貫校の中学生による書き込みを、ネットの掲示板でよく見かけます。

「いじり」も「いじめ」と認識していないあたりがまだ子どもなのですが、程度の差こそあれ「いじり」は、どこの学校でも存在すると思っていた方がよいでしょう。 

「学年団」で違ういじめの対処

中高一貫校は総じて「いじめ」に対しては敏感に反応します。

私立の生命線は何よりも「評判」です。暴力行為や著しい侮辱などに対しては即退学処分とするところもあります。

学校によって、もっと言うと「学年団の先生」によっていじめの対応は違ってくる場合もあります。

中高一貫校は入学から卒業まで、多くの先生が生徒と一緒に持ち上がりの「チーム」として6年間面倒を見るところが多いです。同じ学校内でも学年団によって生徒の雰囲気も違ってきます。

勉強の方針、宿題量、生徒への接し方なども学年団によりけりで、いじめを「絶対許さない」とする学年団もあれば、曖昧に「なあなあの話し合い」で終わらせようとする学年団もあります

校内ではしばしば「あたり」「はずれ」という表現でわが子の学年団の先生を「評価」します。同じ学校の父母でも学校の評価が違うのは、多分に学年団の先生のアプローチの仕方が違うためと言えます。

必ずいる「馬が合う子」

しかし、いじられている子が孤立無援かというと、そうでもありません

中高一貫校は「個性的な子」が多いものの、自分の殻にとじ込まらない限り「馬が合う子」は必ずいるものです。クラスメイトのこともありますが、部活で「馬が合う子」を見つける確率も高いです。 

公立中学で鉄道好きの「てっちゃん」は、奇異な目で見られがちですが、一貫校には「てっちゃん」は結構います。特に男子校の「鉄道研究会」などは校内でも存在感のある部活、ということは珍しくありません。そこで志向が同じ友達と出会い、自分の「居場所」を見つけます

開成や早稲田などの鉄研は大教室や複数の教室を使い、壮大なNゲージの鉄道ジオラマを文化祭で披露します。女子校の共立女子の地理歴史部が制作したジオラマは「全国高校鉄道模型コンテスト モジュール部門」で最優秀賞を受賞しました。

女子も部活や学校での行事を通じて「気の合う子」と知り合い、自分が肯定される「居場所」を得ます。「居場所」のある子は大丈夫、いじめのターゲットにはなりにくいものです。

女子美術大付属などは「人と同じ」より「人と違う」ことが、生徒たちの間で評価される学校です。真似のできないオリジナルの絵や作品を創造することこそ、学校での存在感を増します。

理系志向の女子「リケジョ」も公立中では「マイナー」な存在ですが、私立女子校は今や約4割が理系の大学に進む時代。逆に「メジャー」になりつつあります。

文化部系を中心に個性的な部活動が多い私立の中高一貫校は「居場所」を見つけやすい環境であることは確かです。部活動をモチベーションに中学受験を頑張るというのは、子どもによっては大きな「起爆剤」になる可能性もあります

いずれ「いじめ=ダサい」に

中3から高校に上がる頃には、周囲の雰囲気も「いじめ=ダサい」となり、部活に勉強にと忙しくなる一貫校の生徒は、もう「そういうこと」はほとんどしなくなります。逆にいじめている子が周囲から「ひんしゅくを買う」ことになります。

高校になると「合う子」「合わない子」を本能的にかぎ分けます。合わなければ必要最小限の接触程度で、互いのテリトリーに「侵入」せず、というスタンスを保ちます。「私は私、あの人はあの人」という感覚です。

心身の成長とともに、同質の仲間だけでなく、自分とは違うものを持っている子に興味を持ったりして、友達になり「意外なコラボ」が生まれたりもします。これも中高一貫校の醍醐味かもしれません。

公立中学に行っても、公立高校でも「生涯の友」は見つかります。中高一貫校は6年間という時間の長さ、学校文化に根差した雰囲気もあって、より濃い友人関係が熟成される可能性があります。

いじめ問題も心配ですが、居場所が見つけやすい中高一貫校は「新しい流れ」をつくるうえで選択肢として有効です。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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