中学受験 偏差値&成績

中学受験 模試の「合格可能性」はこう見る


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「奇跡の合格」ではない
合格判定40%なら実は有望圏
模試で結果を出す「意味」
・「スッピン」を人には見せない

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「奇跡の合格」ではない

合格体験記でひときわ目を引くのが「奇跡の合格」「逆転合格」のストーリーです。

我が子が今現在、成績が伸び悩んでいる、志望校の偏差値に届いていないという親御さんは目を皿のようにしてじっくり読むかもしれません。

「12歳の受験は本当に何が起こるか分からない、良くも悪くも大人の予想をはるかに超えたことが起きます」と塾の先生は口々にそう言います。

それだけ説明のつかない合格があるということですが、よくよく観察していると、合格にはちゃんと理由があることが多く、実際には「奇跡の合格」と呼べるものはそれほど多くありません

合格判定40%なら実は有望圏

例えば実質倍率3倍の入試があったとします。

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1200人受験して400人程度合格しますが、うち合格者の上位25%(ここでは100人)は何があってもまず合格するといわれている層、つまり常時模試で合格可能性80%をとり続けている「鉄板」といわれるグループです。

一方で志願者の3割程度は模試の判定も常に20%ばかりで、ほとんど勝負になっていない「記念受験」といわれる層。最近では成功の確率が低い「特攻」などといわれるグループです。

鉄板組と記念受験組を合わせるとざっと500人くらいになります。これを除いた残り700人くらいで約300の合格切符獲得をめぐっての勝負になるのが入試の実態です。

この700人、仮に2度3度と入試を繰り返した場合、合格者の顔触れは毎回変わるといわれるくらい力は拮抗しています。

そのため、合格判定が40%程度でも実は「合格有望圏」で、得意な単元の問題が出たり、ミスに注意して解き進めれば合格は可能なのです。

合格可能性50%、合否線上の「ボーダーライン」の判定が常に出ていても合格体験記では「奇跡の合格」「逆転合格」と称しているケースが多いです。奇跡でも逆転でもなんでもなく、実際は「合格可能圏にはいた」ということです。

9月以降の模試で「20%」を連発してとっていた子が合格すれば「奇跡の合格」「逆転合格」でしょう。具体的に言えば4回模試があったなら、3回以上そんな数字だった場合です。

ただ、最後の模試から2月の入試本番まで40日程度あります。「中学受験は入試当日まで伸びる」という言葉もありますが、まさにその通りで、それが模試の偏差値としてはかる機会がなかっただけの話です。

実は夏ごろからの頑張りで最後の最後で、力が付いていたのです。これが「奇跡」「逆転」合格の真の姿でしょう。

模試の成績が全く振るわなくても「本気を出せば受かる」「過去問対策がバッチリだから大丈夫」というものではなく、あきらめずにコツコツと「やることをやっていたから」合格したのです。

最後まで粘りもなく、受験が他人事のように真剣になれなかった子に、入試当日神様は微笑んでくれません。

模試で結果を出す「意味」

「模試はあくまで模試であって、本番ではないので悪くても気にするな」とよく言われます。

受験校とも違う傾向だったり、作成した先生が張り切り過ぎて難しすぎた問題が出題される場合もあるので確かにそういう側面もあります。

しかし、模試で「言い訳」ばかりしていると、本番で過去問とは違う、少し角度を変えられた問題、いわゆる「変化球」を投げられた場合、対応できずに空振り三振に終わります。

つまり、予想外でも問い方を変えられた問題でも、出題された問題にその場である程度「対応」できないと入試は不合格になります。

今まで遭遇したことのない傾向の初見の問題への対応、深追いする必要のない難しい問題を「捨てる」という見極め…。入試本番で焦らず、騒がず「どうやって少しでも点数を積み重ねるか」という「実戦演習」の場が模試になります。

だから、模試で1点でも多く、1ポイントでも高い偏差値を粘って取ってくるというのは「意味」があるのです。

問題を解くだけでなく、そういった「作戦」を立てながら挑むことで本番での「勝負強さ」に、「逆転合格」につながります

「易しい、得意な問題をミスなく得点する」「手に負えない問題を見切って、得点できるところを確実にとる」「時間配分をする」など、模試を通じてさまざまな「目的」「作戦」を遂行しながら「合格力」を養成するのが模試を受けるの意味です。

合格判定や偏差値だけ見ておしまい、では「実力が伸びていく」チャンスを自分から捨てているようなものです。

「模試の経験」を大切に、自分の力に変えていった子が、合格判定が振るわなくても最後の最後で合格を勝ち取ります

そう考えれば「奇跡の合格」ではなく、受かるべくして受かったと言えます。

「スッピン」を人には見せない

合格体験記では「模試の成績も振るわず、どうなることかと…」という親御さんの手記を見かけますが、これをママ友との会話に置き換えればそう書くに決まっているということに気が付くでしょう。

合格するべくして合格した「横綱相撲」をした子でもお母さんは他人様に「もう、全然できなくてどうなることかと思ったけど、何とか。運がよかったのよ」と言うでしょう。

それと同じで、合格体験記で「スッピン」はなかなか見せてくれません。合格体験記は、やはり差し引いて読んでいくのがちょうど良いのです。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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