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中学受験の合格体験記 「隠し味」は公開しない


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「化粧」をする親御さんの体験記
「種明かし」しない途中参戦組
「隠し味」公開は「まれ」
 合格体験記より役に立つのは…

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「化粧」をする親御さんの体験記

各塾発表の合格実績もまとまり、大手進学塾を中心に「入試報告会」も盛んに開催されています。

その際に冊子として配布されたり、ホームページ上に掲載されるのが「合格体験記」です。今年度の「二月の勝者」を中心に、合格までの道のりをつづった各家庭の中学受験の「オリジナルストーリー」がいくつも掲載されます。

合格体験記は子どもが書いたものと、親御さんのそれとセットで掲載されていたり、別の冊子になっているものなどがあります。

親御さんによるものは、塾への感謝の気持ち、親としての思い、親から見た幼くも精いっぱい頑張った我が子の奮闘ぶりを中心に回想。一方、子どもの方はというと、時々本音が垣間見えて、親御さんのやや「お化粧」した文章より、臨場感が伝わってきます。

結構本音で書いている親御さんもいますが、 「お化粧」の濃さが目立つ内容の1つに「塾以外での勉強をどう進めていたか」という部分があります。

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これから受験、という親御さんは「ここが知りたい」ところです。

どこまで踏み込んで書いてくれているのか、「お化粧」の下の「素顔」(本当はどういう勉強をしていたのか)を想像を膨らませながら読み進めます。

「種明かし」しない途中参戦組

「5年生夏休みからの通塾で第1志望の御三家中学に合格」「6年の1年間だけで勝負、本番は全勝」などの手記がちらほら目に入ります。いわゆる「途中参戦組」です。

4年生やそれ以前からコツコツとやってきた子より、搭載している「勉強エンジン」が違うのでしょうか、アクセルを踏み込むと加速がもの凄いのかもしれません。

入塾から短時間で周囲を追い抜き、入試は難なくクリア、塾の先生には感謝しかありません――といった内容の体験記は、読んでいてため息が出るほど羨ましいです。

しかし、この種の体験記、あまり真に受けない方が…です。合格体験記を書く親御さんは全てを「種明かし」をするほど「正直者」ではないからです。

通塾は5年夏や6年からかもしれませんが、その前に通信教育をやっていたり、個別塾へ通っていたり、「親塾」によって受験勉強のベースができている場合が多いです。

入塾後も「親塾」と並走だったり、密かに家庭教師を、というケースも珍しくありません。

踏み込んで直に尋ねてみれば答えてくれるかもしれませんが、なかなかそういう機会はありません。

「そんなにお金をかけて」「そこまでして」と思われるのに抵抗を感じるので、なかなか「種明かし」はしません。

塾へのささやかな恩返しで書く合格体験記では、あからさまに「合格の舞台裏」を見せないものです。

「隠し味」公開は「まれ」

難関校に合格した多くの家庭が家では手厚い「親塾」のサポートがあったり、プロ家庭教師、個別指導塾、別の進学塾などのアシストを受けたりするのは「レアケース」ではありません。

中堅校、一般校でも状況は同じ。もしかしたら、難関校を目指す子より、ボリュームゾーンの中堅・一般校志望の子たちが一番フォローされて合格に至っているケースが多いかもしれません

学習内容にしても、メンタル面にしても、6年生の最後まで親御さんが伴走できるほど、中学受験は簡単なものではないからです。

その「隠し味」を合格体験記で公開するのは「まれ」です。

合格をつかみ取るまでの「道のり」を各家庭とも、他人にはあまり明かしたくない「事情」をいくつか抱えています。合格、そして入学まで紆余曲折、いろいろあるのです。

すべての合格体験記に「裏がある」というわけではありませが、「包み隠さず」という体験記はそう多くはないです。

合格体験記より役に立つのは…

何か勉強の手掛かりにしたい、志望校合格に参考になることはないかと、あらゆる塾の体験記をむさぼるように読む親御さんは多いです。

しかし、合格体験記は参考になるとはいえ、自分たちにはピタリとあてはまるわけではありません。勉強環境も違えば、現状の成績や勉強の進み具合、子どもの性格も違うからです。

逆に上位志望校の不合格、受験失敗には「共通点」が多いのが特徴です。

野球の監督たちがよく使う言葉「勝ちに不思議あり 負けに不思議なし」(江戸時代の九州・平戸藩第9代藩主、松浦清の言葉)の通り、合格には「よく分からないけど合格」というのはありますが、不合格には当事者が気付かなくてもちゃんと理由があるものです。

その観点から、なぜ落ちたのかを赤裸々に描いた「不合格体験記」の方が失敗した要素が共通しているものが多く、示唆に富んでいるのではないかと思います。

そんなものを世に出す進学塾があるとは思えません。「合格体験記」は塾生を集める、その気にさせるための強力な「宣材」(宣伝材料)だからです。

華やかな合格体験記には載らない、おびただしい数の不合格、夢破れた多くの受験生という「現実」が、「公式」に出てくることはまずありません。

ただ、不合格体験記も「参考程度」に留めておきます。ネットの掲示板サイトなどにある、不合格の告白は「玉石混交」。どこまで本当なのか、話を盛っているのか、判断がつかないものもあるからです。

合格体験記よりは得るところが多い不合格の話も「少し距離を置いて冷静に」というスタンスがベター。どこまでいっても受験は各家庭、受験生の「オリジナルストーリー」。2つとして同じものはないのです。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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