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中学受験塾 「お値段以上」か「お客さん」か


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・「挑む」子は勉強がゲーム感覚 
・「待ち」の姿勢では道は開けない 
・「1つでも上のクラスへ」の意味
差は大きい「メモ」か「スルー」か 
 

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「挑む」子は勉強がゲーム感覚

授業料免除の特待制度のある進学塾は別として、は偏差値70の子も30の子も授業時間が同じで、同一の講座、テキストの場合は一律同額の授業料を徴収します。

その意味では「平等」ですが、総じてデキる子の方が塾から「お値段以上」のものを持ち帰ります。 

偏差値にして60以上の子と50以下の子の塾での差の一因は、頭の良しあしではなく、授業中の「挑み」と「貪欲さ」の違いです。 

例えば国語は記述問題。授業中に取り組み、先生に添削されて、低い点をつけられても、偏差値の高い子は満点をもらうまで出し続け、先生に挑みます。

算数なら、なぜここで間違ったのかの原因を自分なりに考え、それを先生にぶつけ、自分の考え方の方向性の正誤を確かめるなど、問題を通して先生にどこまでも「挑み」続けます。 

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デキる先生は挑んでくる子の相手をします。

相手をしているうちに、国語の記述なら「こういう考え方でこういう表現を使ったらもっと良くなる」とか、算数なら正解に至るプロセス、考え方へ導いてくれます。

ただ授業を受けているだけではなく、挑むことで「お値段以上」のものが得られるのが「進学塾」です。

この「挑む」姿勢が、デキる子どもが言うところの「塾は楽しい」という言葉の真の意味です。

先生と受験教材を通して「勝負」しているのがまさに「ゲーム感覚」。入試はその腕の見せ所である「大会」のようなものです。

塾で先生に挑み続けてきた子が入試本番で「連戦連勝」するのは、まさに受験というゲームを楽しんでいるからです。その境地に達するまでには何度も先生に、テストに撃退されてきたのですが、それでも向かっていく子だったからこその「連戦連勝」なのです。

「待ち」の姿勢では道は開けない

授業中、勉強に対して「向かっていく子」を先生は大歓迎します。面倒をよく見てくれて、結果その子の成績は徐々に上がり、ある時点で「爆発」することも多々あります。

逆におとなしく座っているだけの「お客さん」といわれる子、分かっているのかいないのか反応の薄い子=授業の輪の中に入っていない子には、大手進学塾では基本的に先生からアプローチはしません。 

よく親御さんから「声がけしてくれない」とか「ちゃんと見てくれない」という不満を聞きますが、進学塾は「待ち」の姿勢では道は開けません

先生との相性の良さを求めるなら、まず自分から授業に輪の中に飛び込むことです。

飛び込めば、できるできないは関係ありません。勇気を奮って飛び込んできた子を拒む塾の先生はまずいません。挑み続ける限り先生は面倒をみてくれます。

「1つでも上のクラスへ」の意味

「待ちの姿勢」の子は「言われたことしかやらない」のが特徴の1つです。

例えば理科や社会の知識問題。偏差値50前後、それ以下の子は「試験に出るところ」「大切なところ」など先生が指摘したところには注目しますが、それ以外にはあまり目が行きません。

国語の漢字も「まだ学校で習っていない」と逃げ道をつくって、先に進んでいる塾で学ぶ漢字を積極的に取り組もうとしません。

一方でデキる子は、歴史の背景とか、理科でもどうしてそうなるかの理由の方に注目します。

疑問に思ったり、さらに聞きたいとなれば、授業中でも先生に質問します。理解が浅ければ「ちょっと待って」と授業を止めて、授業そのものを「自分のペースに持ち込む」のです。

偏差値50前後の子がテスト前に一生懸命覚える用語などの知識問題は、そんなに躍起になってやりません。理由や背景と関連付けて、より深く勉強する」からです。

一問一答などもやりますが、それは確認程度。用語などは理屈と関連付けて自然と授業中に頭の中に入ってくるのです。

偏差値50前後の子が一問一答形式のものはある程度できても、違いが微妙な正誤問題、自分の言葉で説明できなければならない記述問題などで苦戦する傾向にあるのは、こういった「授業中の意識の違い」があるからです。

塾で「1つでも上のクラス」を目指す理由は、難関校の合格の可能性が高くなるとか、見栄えがいいからなどの理由ではありません。タイプはそれぞれでも下位クラスとは勉強の姿勢が違う子たちを目の当たりにして、果たして自分は…と気づきの機会を得るためという面があります。

デキる子の真似をするのではなく、その姿勢から感じることを自分なりに吸収、アレンジして自分の勉強スタイルを確立していくと成績は上昇カーブを描き始めます。

差は大きい「メモ」か「スルー」か

もう一つは「貪欲さ」。 デキる子は先生が黒板に書かず、口だけで言ったことも「お土産」で持ち帰ります

走り書きでテキストの端にメモしたりします。授業中に触れたことは「余すところなく」吸収するという姿勢が、言われなくても無意識にできます。 

成績がいま一つ、という子は、板書されたことはノートに書いても、それ以外はほぼスルー、先生の解説・説明もぼんやり聞いている子が多いです。

ノートをとること、プリントの空欄を埋めることが終われば、やれやれひと休みといった感覚です。これも「言われたこと以外はやらない」受け身の姿勢です。

小4から3年間、この「姿勢の違い」は、受験当日埋めようのない差となってはっきりと表れます。 

先生が口だけで説明し、サラッと通り過ぎたところは直接入試には出ない知識かもしれません。

しかし、あらゆる角度から検討して解答を出さなければならないひねった問題や初見の問題に直面した際に、「そういえばあの時先生があんなことを言っていたな」とヒントや知識となり、解答の糸口になることが少なくありません。

通塾中の授業の一瞬々々を大切にした子が、本番で力を十二分に発揮します傾向が変わったとき、初見の問題にぶつかったとき、あきらめずに食らいついて点数をかき集め、しぶとく合格を勝ち取ります。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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