親御さんの役割

中学受験の転塾 親が必ず確認すべき1つのこと


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「転塾マニア」の行きつくところ
「積み重ね」が難しい転塾リスク
転塾後、親がすべき1つのこと
・塾の売りスパイラル方式の実態

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「転塾マニア」の行きつくところ

中学受験は進学塾へ入ったからといって、順調に成績が伸び、誰もが第1志望校に合格、というわけにはいきません。第1志望合格は3割弱、順風満帆の受験ライフを送っての合格は1割もいないでしょう。

「高い月謝を払っているのに、成績が上がらないってどういうこと?」。子どもの学力が伸びないと、非難の的は塾の指導に行きつき、違う塾へ、という親御さんは割と多いです。

例えば、合格実績の良い塾に入塾したものの、子どもの成績が上がらないと「ウチの子には合っていない」と今度は「面倒見が良い」と評判の塾へ移ります。

しかし、転塾して3カ月通っても子どもの成績が伸びるどころか落ちたりすると、次は個別指導塾へ。そこも先生がコロコロ変わり、落ち着かないとなると、家庭教師派遣会社で「プロ家庭教師」(学生ではない社会人、特に資格はない)をお願いし……。

塾に「丸投げ」で、子どもの学習状況に目を向けないのも困りますが、成果を焦って短期間で塾を見限り「次こそは」とそれを繰り返す「転塾マニア」の親御さんは、子どもを「消化不良の受験」へとミスリードする危険性が高いです。

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「積み重ね」が難しい転塾リスク

転塾にはメリットも期待できる半面、リスクも伴います。

転塾を重ねる、ということはその都度「また1から始める」ということに等しいからです。

その塾、教室によってカリキュラム(授業内容)、アプローチ(やり方)は違ってくるので、前の塾でいろいろ習ったとしても、基本的には「もう一度初めから」ということになりがちです。

「初めから」ということは、受験の肝となる「学習の積み重ね」が難しくなることを意味します

1つのところで地道に頑張ってきた子との差は開く一方。未完成のビルをいくつ立てても、機能してなければ意味がないのと同じです。

塾の勉強のペースに慣れ、やり方になじみ、成果が出るまで半年程度はかかります。

その成果を見ないうちに、短期間で結果が出ないから次、を繰り返していると、勉強したことが散漫なまま、受験本番という最悪の展開になります。

転塾後、親がすべき1つのこと

転塾自体はまずいことではないのですが、そこにしっかりとした「理由」が必要です。

成績が上がらないのはなぜなのか、塾の指導を疑う前に、子どもの家庭学習や塾での授業態度、小テストの出来など、まず我が子にベクトルを向けて分析することが大切です。

その過程で、子どもに問題があるかもしれないが、先生との相性がどうも…とか、テキストや授業のレベルが高く、スピードも早くてついていけないなどの理由が浮かび上がってきます。

そうなって初めて「転塾検討」の選択肢が出てきます。

あくまでも「選択肢」であって、まずは通塾している塾の先生に相談、話し合いの場を持つことが優先です。打開策が見つかることも結構あります。

それでも転塾、という決断をした場合、親御さんは塾を探して、入塾試験の手続きをして、合格したら子どもを送り出しておしまい、ではありません。

前の塾と転塾先の「カリキュラムの穴を埋める」という重大なアフターケアがあります。

転塾先ではすでに終わった単元があり、子どもが前の塾で触れていないものがあれば、補習をしてくれるかどうかをしっかり確認します。

この1点が転塾先で「よく面倒を見てくれるかどうか」のカギを握っています。

クレームやサービスを求めるのではなく「お願いしたいこと具体的に伝えられる親」には塾側も耳を傾けてくれます

順調な時は基本的に塾にお任せでも、いざという時「動ける」ように子どもと塾の様子の「観察」は、中学受験を成功させるうえで重要なポイントです。

塾の売りスパイラル方式の実態

塾に「穴埋め」をお願いしても、「ウチはスパイラル方式で、近いうちにまたその単元をやりますから大丈夫ですよ」と、いなされるかもしれません。

そう言われて「ああよかった」ではありません。

スパイラル方式は「前回の復習」ではなく、「前に習ったことをマスターしている」という前提で進みます。前回の復習は確認程度で、さらに発展した内容になります。

前からその塾に通っている生徒が、スパイラル方式でも「救われない」のは、前回やったことが消化不良で、それより発展的な内容には当然ついていけず、さらに「できないの負債」が積み重なるからです。

ただ、転塾先で「遅れ」「穴埋め」を面倒見てくれる塾は、実はそう多くありません。

個人経営の塾や大手塾の中小規模の教室で、偶然「熱心な先生」がいる場合などに限られる可能性があります。大手塾付属の個別教室に行くよう勧められることが多いでしょう。

それでもお願いしてみます。

塾はこちらからアプローチしていかない限りは動いてくれません。逆に積極的に「利用」すれば「お値段以上」になる場合も少なくないです。

中学受験のカリキュラムに余裕はほぼありません。一度遅れると、できるだけ早い時期に巻き返していかないと置いていかれます。

中学受験の勝負は6年生の夏以降ではありません。4,5年生の時期に「しっかりついていく」ことで、勝負の大勢は決します。

「逆転勝ち」を夢見るより、「先行逃げ切り」が中学受験で一番勝率が高いやり方です。

それでも転塾で「逆転勝ち」狙うなら、親御さんが一歩前に踏み出して「ひと肌脱ぐ」のも「あり」です。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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