中高一貫校の実情

中学受験 本当はコワい!?「面倒見のいい学校」


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・面倒見のいい学校は「殺し文句」
「パンク」する中学生続出
積み残しだらけの宿題

売りであるはずの先取り学習が…
・学校説明会でしっかり聞く

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面倒見のいい学校は「殺し文句」

中高一貫校の学校説明会で先生方が口にする代表的な言葉は「ウチは面倒見のいい学校です」というのがあります。

この言葉を聞くと、親御さんは安どの表情を浮かべ、学校への「評価」が上がります。

ここに入学すれば、我が子も手厚いフォローのもとで勉強ができて、6年後は難関大学に…という「未来予想図」を描きます。

「面倒見のいい学校」は親御さんへの「殺し文句」かもしれません。

「パンク」する中学生続出

一概には言えませんが「面倒見のいい学校」を標ぼうする中学の多くは、かなりの量の宿題を課す傾向にあります。

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家で勉強する教材と課題を与え、翌日は小テストで成果を見る――これを「面倒見の良さ」と位置付けている中学は結構あります。

親御さんにしてみれば安心かもしれませんが、「中学受験よりつらい」とこぼす子もいます。量の多さにも辟易しますが、最大の問題は「十分な時間が取れない」ことにあります。

中学に入学して、子どもは勉強ばかりしているわけではありません。

部活動や友達付き合い、さまざまな行事の運営、加えて通学帰宅での移動で結構な時間を割かなくてはなりません。帰宅時間が、仕事帰りのお父さんと同じ時間帯になるような子も珍しくありません。

帰宅後の短い時間で、食事、入浴、さらに大量の宿題に手を付けるのは至難の業。翌朝はまた早くから電車通学という子もいます。座席では爆睡、つり革を握りながら眠っている子は、毎日のように見る光景です。

宿題を課されるのは、国数英が主流。中には宿題に追われないように各科目間で量の調整を行い、無理のなく自宅学習が回るように配慮している「やさしい」中学もあります。

しかし、「無差別」に各教科が思い思いに宿題を出している学校も多く、「パンク」する子が続出します。

積み残しだらけの宿題

ある中学校は「復習を含めて1日2時間やれば終わる量」という説明しますが、それはデキる子がスムーズに勉強を進めて終わる時間。多くの生徒はそうはいかず「積み残し」が雪だるま式に増えていく、悪循環に陥るケースは「中高一貫校あるある」の1つです。

宿題とセットなのが、英語なら単語テスト、数学なら小テストが授業ごとにあります。

加えてノートやレポートの提出も頻繁にあり、日記のような手帳を配布して、これにスケジュール管理という名の「勉強日誌」を書かせる中学も最近は増えています

中1の1学期の時点で正直「パンク」している生徒はクラスに1人や2人ではありません。

学期、学年を追うごとに徐々に落伍していく子が出てきて、成績が下位に沈んだままの「深海魚」に…。

生徒が勉強への意欲をなくしてしまう背景の1つは「宿題の海におぼれてしまう」からです。

売りであるはずの先取り学習が…

加えて「先取り学習」も深海魚の一因になる危険性を秘めています。

学校側は「中学までの課程は中2で終え、中3から高校の学習内容に入り、高3は大学受験に向けての演習授業中心で難関大学への現役合格を目指す」という地図を描きます。

随時補習も行い、バックアップ態勢は万全と胸を張ります。傾向としては中堅校にこのモデルの学校が多いかもしれません。

が、この高速回転の「先取り学習」についていけない子がどうしても出てきます

中学は合格したものの、基礎力がおぼつかなかったり、ほぼ初心者状態の英語に戸惑い、算数とはまた世界が違う数学にも時間がかかる子がいます。

中高一貫校が売りにしている「先取り学習」も生徒の理解の度合いをあまり考慮に入れず、「カリキュラム消化優先」で進むのが実態、というケースが目立ちます。

遅れ気味の子に対する補習は確かにあります。ありますが「分かるまで徹底的に」というより、とりあえず1度やりました、という学校が多いのも否めません。

あるいは「チューター」という名の大学生バイトに任せたり、学習塾が放課後は面倒を見るという「外部委託」で「フォローは万全」とうたう学校もあります。

システムは理想的に見えますが、ついて行けず落ちこぼれる生徒は一人や二人ではないのが現実。

口には出しませんが「このシステムについてこられる生徒だけで、難関大学合格実績を出す」という方針の中高一貫校は少なくありません

学校説明会でしっかり聞く

なぜ、学校側は大量の宿題を出し、毎回と言っていいほど授業前に小テストを繰り返し、先取理学習で生徒をせかすのでしょうか。

6年後、大学進学の際に学校としては「やるだけのことはやった」ということの「証拠」、という性質が強いと思われます。

ついてこられなかったのは、生徒側の問題であって、学校としては「機会を与えた」というスタンスです。

入学直後から、こんなに必要かという教材の量も「やることはやった」という証拠の1つ。子どもが理解したかどうかは別として、成績不振者対象の補習や大学受験用の夏期講習などを学校で開くのも「ここまで面倒を見ましたよ」という意味合いがそこにはあります。

学校説明会の際、親御さんは宿題について、先取り学習のプランについて、ぜひ質問されることをお勧めします

自慢気味に「ウチは宿題が多いですよ!」という学校には、具体的に中身を聞いてみた方が良いです。

最近では「宿題の量を減らし、復習を徹底した」「中学での数学と英語の進度はゆっくり基礎固め、高校からスピードアップする」というやり方で、大学合格実績で好結果を出している中高一貫校も増えています。

「学校の都合」より、生徒の現状に合わせたプランで学習指導をした方が成果が上がることを実感した学校は「方針転換」を図っています

客観的に見て、我が子が中学に入学した際の「環境」を想定しつつ、質量ともに毎日の勉強がきっちり回るかどうか、立ち止まって考えることはとても大切です。

中学入学後、子どもはどういう6年間を過ごすのかに思いをはせる…。中学受験は合格して終わり、ではなく、次の山をさらに登らなければならないということも頭に入れておきたいことです。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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