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中学受験 「自称進」の特徴とその実態


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「自称進」を見抜く方法はある
「看板付き」クラスの実際
「校内予備校」で「流出」を防ぐ
・受験校決定も自分だけではNG?

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「自称進」を見抜く方法はある

大学受験を語る際にしばしば出てくる言葉に「自称進」(じしょうしん)というのがあります。

「自称進学校」をやや短くしたもので、実際は東大をはじめ難関大学にそれほど実合格者、実進学者を輩出していないにもかかわらず「わが校は進学校」と内外にアナウンスしてはばからない学校のことを、こう呼んでいます。

名乗ること自体、犯罪でも道徳的に許されないというわけではありません。そもそも「進学校」の客観的な定義ありませんし、どういう結果の合格実績だとしても、自分の学校は「進学校です」と言ってしまえば、世間と「認識」が違ってもそれは「自称」進学校なのです。

中学受験では多くの私立が受験生・親御さんに対し「わが校は進学校として…」と自校をアピールする傾向にあります。特に大学合格実績に注目している親御さんには、この話になると急に前のめりになります。

そのアピールを信じて、受験→合格→進学となった場合、中には「こんなはずでは…」という6年後の大学受験結果になることも「中学受験あるある」の1つです。

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中学側の「自称進」アピールを割と簡単に見抜く方法はいくつか存在します。ただし、全てがすべてそうではないので最終的には親御さんの「目利き」がものを言います。

「看板付き」クラスの実際

「自称進」の特徴の1つに「特別クラス、コース」などの「看板付き」が多いというのがあります。

早いところは中学から、標準的には高校2年あたりから成績別のクラス編成をして、一定数の「デキる子」を集めて鍛えて国公立大学や悪くても早慶現役合格を目指します。

特別クラス、コースの呼び名は学校それぞれですが、一般的な「特進クラス」や「アドバンストコース」などから「東大選抜」とか「Tクラス」(トップ、あるいは東大の略)という分かりやすいネーミングもあります。

特別感を持たせて、親御さんに「このクラスに入れば我が子も…」という期待を抱かせます。

しかし、実際は東大や京大に何年かに1人とか、一橋、東工大あるいは旧帝国大学のどこかに毎年誰かが、早慶に至っては10人いくかいかないか程度の合格者数の学校が多いです。

つまり「看板」の割に実績は…という学校が少なくないというのが冷厳な事実としてあります。

毎年東大に2桁人数の現役合格だったり、早慶ならのべ100人超の合格者数を出す学校と比べると「進学校」と名乗るのは…という空気です。

本当の「進学校」は文系、理系程度のクラス分けはあっても、特別クラスのような編成はまずしません

学校が特別にカリキュラムを組まなくても、自分で受験勉強のプランと方向性を決めたり、これまで見てきた諸先輩の「やり方」などを参考にして「オリジナル」の受験勉強をしていきます。

学校側の進路面談も「自称進」は併願作戦を含め、どこを狙うかなど細かいようですが、進学校は「●●大学を受けたいと思います」「そうか、頑張れ」とほぼ希望進路確認調査程度でおしまいです。

「校内予備校」で「流出」を防ぐ

「自称進」の中高一貫校は「大学進学は校内で完結。塾や予備校に行く必要はありません」と断言するケースが見られます。

わが校のカリキュラム、システムに沿って勉強していけば、東大をはじめ難関大学合格への道に通じると強調、生徒が予備校等を頼る「流出」現象を食い止め、「難関大学合格は当校にお任せ」を売りにしたいからです。

季節講習や授業後の補習、中には7時間目、8時間目の授業があるところなど「勉強をやらせる」という点で、多くの私立は至れり尽くせりです。親御さんは学校側の完璧な「カリキュラム」を前に、一生懸命勉強する我が子を思い浮かべます。

高いお金を払って私立に入れ、そのうえ塾代までも、では負担は重く、親御さんとしては「校内予備校」はとてもありがたい存在です。

しかし、多くの生徒が高2あたりから大手予備校、英語や数学に特化した専門塾に通い始めます。中学から塾で勉強している子も結構な数にのぼります。

学校側は「家とは違う環境での勉強、予備校の自習室を使うために1つか2つ講座を取っている」という説明をよくします。

実際は学校側の講習や補習の「レベル」や「内容」が自分が欲しているものとは違っているために、予備校や塾に行っているという側面があります。

個別質問対応でやってくれる学校は良いのですが、東京一工(東大、京大、一橋、東工大)レベルになると、自称進の先生では心もとない人もいるようで(非常勤の先生の方が割と優秀で対応してくれることが多い)、そうなるとトップ層ほど外部に行く傾向が強くなります。

最近では先生方の働き方改革もあって、個別塾の先生や東大などの学生を「チューター」として放課後に学校へ呼んで、質問や補習、個別対応に当たらせている学校が増えています。

外に行かれるよりは、外部の力を借りても「校内完結」の受験態勢維持したい。それが「進学校」を標榜している学校として譲れないところのようです。

受験校決定も自分だけではNG?

「受験校、進学先を限定する」というのも自称進学校ではよく聞く話です。

つまり合格実績として「宣伝材料になる学校」を受験するように勧め、もし本人が違うプランを組んでいたら「修正」を促します。

学校に来る「指定校推薦」などは特進クラスなどではない、普通クラスしか応募できないという「独自ルール」を設けているところさえあります。

特進クラスに在籍していて「私立のみの受験はNG、必ず国公立受験」とか、合格の可能性が高い子には早慶の複数の学部を可能な限り受験させたりします。

「合格実績」として出す場合、1人の生徒が早稲田で4学部、慶應で3学部合格すれば「早稲田4人、慶應3人合格」とカウントするのが「合格実績」の暗黙のルールだからです。

国公立大でも「数字」が欲しい場合は、東京一工や旧帝大だけでなく、進路指導で比較的合格しやすい地方の公立大学受験を勧め、数を増やすという作戦をとる中高一貫校もあります。

中高一貫校受験に際し、親御さんは「校風」や「教師方針」を重視するとしていますが、それとともに「大学合格実績」にどうしても目線が行きます。

見た目は派手ではないものの、じっくり我が子を育ててくれる学校なのか、魅力的な「仕掛け」を提示してついてこられる生徒を中心に引き上げて進学実績を上げる学校なのか、親御さんの「目利き」は本当に重要です。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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