◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・デキる子はテキストと「友達」
・最強の汚れたオリジナルテキスト
・「短期間で成績が…」本当の理由
・地道で退屈 が実は「近道」
偏差値60以上をコンスタントにマークし、どんなテストでも割と安定した成績を残している生徒の多くは、通っている塾のテキストでの学習をとても大切にします。
過去問は別として極端なことを言えば、塾のテキスト「一本勝負」で受験を走り抜きます。
いわゆる「デキる子」とそうでない子の差は、テキストとどれだけ「友達」になっているかどうかです。
復習するときはテキストを使い込み、戸惑ったり、分からないことがあれば、テキストをさかのぼり、問題を解決していきます。
テスストと「親しく交わる」ことができれば、特別な「秘密兵器」や「●●メソッド」のような「魔法」がなくても中学受験は勝てます。
テキストという「友達」とより「仲を深める」ためには「授業中の行動」と「管理」がポイントになります。
「デキる子」の授業中の動きを見ていると、先生が発した言葉をメモ書きしたり、自分の気づきを記したりして「汚れたオリジナルテキスト」をつくっています。
授業からより多くのものを持ち帰ろうという前向きな姿勢の表れです。成績の差は、一瞬々々のこうした「行動の違い」で開いて行きます。
このオリジナルテキストに繰り返し触れることで、基礎が何度も「上塗り」され、自分で前に進める「自走」できる受験生になります。
演習問題はテキストそのものにやらず、コピーをとって何度でもできるようにします。
その時できたからおしまいではなく、時々「蔵出し」して一度間違えたものを解き直したり、できたものをもう一度確認したりします。
コピーするのは、何度も自力で解答をアウトプットする練習を積み重ねるためです。
先生が指定した問題しかやらない、という生徒も多いのですが、難関校に合格したいのなら、テキスト掲載問題は「制覇」がおすすめです。
入試本番で初見の問題にぶつかったときにものを言うのは、解いた問題の「量」と「経験値」だからです。
冊子になっていないプリント型のテキストの場合、自宅での管理が大変です。子ども本人に負担させるのではなく、そこは親御さんの出番です。
探し物をする時間は、受験勉強の大敵。 管理方法はそれぞれにお任せですが、必要な時に必要なものが取り出せる状態にします。
テキスト管理は勉強を教える以上に、親御さんの「最大」のミッションです。
成績の振るわない生徒の親御さんは、塾のテキスト以外に活路を見出そうとするシーンが多く見られます。
「分かりやすい参考書」「効果の出る問題集」、家庭教師、個別指導塾など、藁をもつかむ思いで物色します。
それで解決するケースは「わずか」というのが現実です。
なぜなら、成績が振るわない原因の大半は「基礎がしっかりしていない」「学んだ内容の消化不良」に由来しているからです。
そこを見つめ直さずに「短期間で成績が上がる」とか「●●法で驚くほど偏差値が伸びる」などに飛びついても結果は見えています。
そういう方法で成績が上がったケースは、上がる要素がある程度そろっていた場合で、「最後のひと押」しがたまたまそのメソッドだったというパターンが大半です。
「手っ取り早くとか短期間で」とかを追い続け、繰り返していると、学力として定着するものがあまりないために、逆に成績が停滞、下降します。
中学受験を成功させるのに、魔法も秘薬も秘密兵器もありません。
勉強ができない、成績が上がらないと嘆く前に、目の前にあるテキストに視線を戻します。
愚直にテキストと向き合うことで、見落としていたこと、今なら気付けること、実はできなかった問題について丁寧な説明がされていたこと、改めてさまざまな発見があるはずです。
6年生なら「4、5年生のテキストに戻ってもう一度」という場合もあるでしょう。4,5年生も「少し前に戻って」です。
基礎を粘り強く再点検する「戻る勇気」が、問題解決の突破口になります。
テキストをさかのぼって見直すというのは、地道で退屈です。だから、みんな挫折するし、やりたがらないのです。
それだけにきっちりやれば、基礎が固まり、成績は向上し、加えて乱高下がなくなり、落ち着きます。
夏休み前、夏休みに入ってから、成績で悩んでいるのなら「劇的に偏差値が上がる!」とか「一気に苦手を得意にする」などの宣伝文句に惑わされず、テキストに戻って基礎を見つめ直すことが遠回りのようで「近道」です。
2~3カ月みっちり向き合って、基礎問題を丁寧に解いてみてください。秋から冬にかけて成績が「えっ、本当に!」となるはずです。