親御さんの役割

中学受験 「教育虐待」は消えない傷跡になる


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・中学受験生7,8人に1人が…
・受験に暴力は全く必要がない
・親がつくる子の奮起を促す下地
・受験は「流れ」で決まる

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中学受験生7,8人に1人が…

成績の推移や勉強の取り組みに関して、暴力を振るわれた――父親から「よく当てはまる」「やや当てはまる」計13.6%、母親から同計12.8%

人格や人生を否定されるような発言を受けた ――父親から「よく当てはまる」「やや当てはまる」計10.5%、母親から同計14.3%

この数字は日本女子大大学院の浅見里咲さんが行った「中学受験時の身体的・心理的暴力経験の有無」というインターネットアンケートの結果です(7月9日、朝日新聞デジタルに掲載)。

都内在住の543人が回答し、うち133人が中学受験に関する上記の2つに答えたといいます。

中学受験に関する「教育虐待」が指摘されて久しいですが、アンケートによると、7,8人に1人の受験生が受験勉強中に暴力を振るわれたり、傷つくことを言われた経験があるということになります。 8人に1人としても、24年度の受験者総数が約5万2000人ですから、断順に計算すると約6500人が「被害」を受けていたということになります。

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受験に暴力は全く必要がない

「手を上げる」のはどうしても父親の方が多いようですが、母親と大差があるわけではないようです。

どの程度の「暴力」なのかがアンケートからでは分かりませんが、軽く頭を叩いたりするレベルではなく、「殴る蹴る」レベルではないかと推測できます。

「親が横に付きっ切りで勉強を見ていて、間違えると“気合が足りない”と叩かれた。いつもビクビクしながら勉強していた」「模擬試験の偏差値が下がると、母親が私に向かって物を投げたりしてきた。鬼の形相ってああいう顔をいうんだと思った」。

中学受験を終えた生徒の親からの暴力体験を話してもらうと「経験者」からは十人十色の答えが返ってきます。

しかし、共通して出てくる言葉は「怖くてその後落ち着いて勉強なんかできなかった」

間違えたらどうしよう、偏差値が悪かったらまたやられる…子どもが「怯える」環境を親自ら形成してしまっては、成績の伸びとか志望校合格とか以前の話になってしまいます

殴って気合が入る子は一人もいません。蹴り飛ばして気持ちを入れ替えて頑張る子も見たことがありません。

アンケートでは「どちらともいえない」「あまり当てはまらない」が父親計40.6%、母親31.5%という回答でした。全く暴力を振るわれなかったわけではないが、1度や2度くらいは…という意味でしょうか。

人間ですから「思わず」ということはあるかもしれません。しかし、たった1度の「思わず」が、子どもにとっては中学受験どうこうより、人生の中で「消えない傷跡」になりかねません

受験くらいで「手を上げる」ようなシーンは何一つないと断言できます。

親がつくる子の奮起を促す下地

つい言ってしまって、後悔するのが「暴言」の類です。

中学受験をする我が子に成績のこと、勉強態度、日ごろの生活のことで「心無い言葉」をぶつけていませんか。怒りの感情に任せてつい…これも「消えない傷跡」となって残ります。

「悔しくないのか!」と親に言われて「なにくそ」と思って頑張った――という話は、その昔昭和の時代によく耳にした話です。

そういう子、今ではほぼ絶滅種です。もしかしたら、昭和でも言われているほど効果はなかったのかもしれません。

もし、子どもの奮起を促したかったら、親御さんが次の3つを地道に実践して下地をつくります。

たくさんの種をまくこと」(失敗を繰り返しても多くの仕掛けを用意し続けること。いつか何かに視線が止まります)
「間違いを一緒に面白がること」(面白がりながら分析、前進できるように解決の糸口へ誘導。きっかけ次第で子どもは変わります)
「諦めずに待つこと」(中学受験では花が開かないかもしれませんが、続ければいつか気が付きます。それまで環境整備を)

勉強をしなかった子がするようになるには、心の中で「勉強って面白いな」と思うか「このままでいいのか俺は?私は?」と気が付いた時の2パターンが大半です。

それが種火となり、自分の内面から火が付いて、エネルギーとなって重い車輪は動き出します。

動き出したときに、親御さんが地道に実践してきたことが実を結びます。「勉強環境」がある程度整備されているので、波に乗りやすいのです。

長丁場になるかもしれません。親御さんの「胆力」が試されます。親って、楽ではありません。

受験は「流れ」で決まる

アンケートを実施した浅見さん、実は33歳の母親です。母校の日本女子大へは学士編入して卒論の一環としてこのアンケートを行ったといいます。

浅見さん自身、元中学受験生で今思うと教育虐待では?という経験をしたそうです。記事によると、大学卒業後に自分と同じ思いをする子が少なくなればとの思いで中学受験を指導する学習塾に勤務しましした。

出産を経て、我が子の将来の幸せを願う「親の心境が分かるようになった」という浅見さん。

子どもが憎くて厳しい言葉をぶつけたり、叩いたりしている親御さんはほとんどいません。「我が子だから」の思いが強すぎての行為であって、暴力、暴言はその具現化と方向が間違っているのです。

親御さんは子どもよりも常に「一枚上」でないと中学受験は乗り切るのが難しいです。

内心イライラ、不安だらけでも悠然と構えます。時には悪い成績も笑い飛ばします。

親がどっしり構えていると、子どもは信頼し何でも話をしてくれます

成績、偏差値でいちいち細かいことを言わなければ、塾のテストが悪い点でもオープンにしてくれます。

そうやって親子の風通しが良くなると、「いい流れ」ができます。

「いい流れ」が一度できると、少々のことでは動揺せず、良い雰囲気のまま入試本番へと向かうことができます。

受験は「流れ」が勝負の分かれ目になります。

その「流れ」は、親御さんの態度、言葉一つで決まります。


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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