主要校の大学合格実績

中学受験 なぜ「大学実進学者数」を出さないのか


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「実進学者数」が分からない
「見栄え」重視の中高一貫校
155人⇒27人、19人⇒0人
・尋ねた時の回答で「姿勢」が分かる

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「実進学者数」が分からない

中学受験の志望校、受験校選びで、親御さんが重要視する指標の1つが「大学合格実績」です。

「東大に現役で10人」、「国公立大医学部には前年より8人増えて21人」…。各校とも、合格実績が上昇した年はカラフルなグラフを使って、赤文字でその数字を誇らしげに学校説明会などで示します。

国公立大学は基本的に1人1校しか合格できず、一部を除いて9割以上は進学する流れなので「合格実績=進学実績」と考えても差し支えないでしょう。

しかし、私大の合格「実績」は示された数字だけでは、その学校の「進路の実態」が読み切れない「裏事情」があります。

合格「実績」の数字は「のべ人数」を意味しており、数字の人数が合格したことではありません

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例えば「早稲田大学23人合格」は23人の生徒が合格したわけではなく、A君が6学部、B君が5学部、C君が4学部、D君、E君、F君、G君が2学部ずつ合格したといった具合で、実際の合格者数は7人ということになります。

もっと言えば、その7人が全員早大に進んだのか、他大学へ入学したのかも「合格実績」では把握できません。

つまり「大学合格実績」だけでは、「参考資料程度」の価値しかないともいえます。

「合格者水増し」というわけではないのですが、その学校の生徒がそれぞれ卒業後にどういう大学に進んだのかは、受験生を持つ親御さんの「知りたいところ」です。

「見栄え」重視の中高一貫校

私立中高一貫校のパンフレットやホームページをながめると、進路の項目は多くの学校が「大学合格実績」となっています。

実際に各大学に何人が合格(のべ人数)して、何人が実際に進学したのかの「実進学者数」を公開している学校は1都3県の300校近い中高一貫校のうち1割に満たないとみられます。

理由は簡単で「その方が見栄えがいい」からです。

「慶應義塾大学合格10人」だけど、実際進学したのは2人だった時、両方併記すれば親御さんから見れば分かりやすいのですが、「10人」という数字を前面に出す方が学校としては「進学校」をアピールするのに「ばえる」という単純な理由がホンネのようです。

最近は円グラフなどを用い「早慶上理7%」「GMARCH24%」などと、大学群をひとまとめにして表示している学校もあります。

これを分析すると「早慶は合格者ゼロですが、上智は5人、理科大7人合格しています」とか「明治、青山学院は1人ずつしか合格していませんが、中央は6人、法政は12人合格しました」などの意味だったりします。

上智も理科大も難関大学の一角ですが「やはり早慶がゼロとなると見栄えが…」、「人気の明治、青山学院の合格実績が多ければアピールになるけど、中央と法政では少し地味」といった思惑があり、「まとめる」ことで少しでも「ばえる」ようにしているとみられます。

一部の人気校を除いて、少子化で受験生の確保も「努力」をしなければままならない中高一貫校が大半を占めます。努力とともに「イメージ」も生徒を集めるには欠かせない要素です。

「実数」より「見栄えのいい数字」を出してくる気持ちも理解できます。

155人⇒27人、19人⇒0人

「進学実績」を公にしている学校は、共学校ではあまり見当たらず、男子校、女子校で複数見られます

現役で卒業生の約3割が東大、1割ずつが京大など他の国公立や医学部へ進学する開成。実は早稲田も慶應も「合格実績」日本一(現役、浪人合計)の男子校です。

24年度、開成から現役で早稲田に合格した延べ人数は155人ですが、実際に進学したのは27人です(進学率17.4%)。同じく慶應は122人合格で、進学は15人(12.3%)です。

上智は現役19人合格も進学は0、理科大は37人合格で進学は3人 (9.1%) でした。

女子校の鷗友学園女子は24年度、早稲田に現役で91人合格し31人が進学(進学率34.1%)、慶應は48人合格で14人進学(29.2%)、上智が89人合格で10人(11.2%)、理科大は46人合格で8人 (17.4%) でした。

実進学者数を出さず、「155」とか「122」の数字のみ出した方が「見栄え」は良いかもしれませんが、「実際はどれくらい早慶に入学しているの?」という親御さんの疑問は残ります。

合格実績と実進学者数を同時に示すことで、より具体的な進路のイメージがわいてかなり参考になります

合格実績だけでなく、実進学者数を公表している学校は自校の進路指導に「自信」を持っていることがうかがえます。

進路指導だけでなく、学校内のことを割とオープンに保護者に伝える土壌がある学校と考えてもらって間違いではないでしょう。

尋ねた時の回答で「姿勢」が分かる

中高一貫の各校は「内部資料」として「実進学者数」を把握しているはずです。

在校生には先輩たちの個々のデータが資料として残り、もちろん名前は明かさないものの、受験や推薦の合否の結果が進路指導室で閲覧できたり、冊子にして配布しているところもあります。

学校説明会でも「データ集」として参加者に配る学校もありますが、多くは「合格実績」止まりです。

それで納得なら構わないのですが、より実態を知りたい場合は説明会の際の個別相談などで尋ねてみます。

この時、口頭でも教えてくれるのならその学校対応は評価できますが、「把握していない」とか「個人情報なので」「外に出さないことになっている」などと言って教えてくれない場合は、受験を再考も選択肢として用意した方が…です

全てとは言いませんが、このような私立は「都合が悪いことになると隠す」体質の場合がよくあります。進路だけでなく、校内でのトラブルやいじめ、教職員の不祥事など、できれば表沙汰にしたくないことを保護者にバレなければ「黙っている」というのが思考の方向性です。

大学進学の数字や出し方からも学校の「姿勢」は分かります


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池ノ内 潤

 「その子基準」で、勉強法、成績アップ、スケジュール立案、受験校・併願校選びなど、受験のあらゆる相談に乗る「受験デザイナー」。  昭和四十年代の夏、神奈川県生まれ。教師を志し、偏差値40程度の県立高校から独自の勉強法を駆使し、同校で初めて早稲田大学に合格。  進学塾講師、家庭教師で中学~大学受験に関わる。就職後もスポーツや執筆活動を通じ、教育や受験に携わる。    子ども2人の中学受験をサポート。1人は大手進学塾最下位クラスから転塾を経て、首都圏1都3県の偏差値トップ私立全てに合格し、第1志望に進学。  もう1人は偏差値30台から「親塾」でベースを固め、6年から入塾。3校に合格して大学付属中学へ進学した。

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