◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・アウトプット、過去問は最優先で
・「アフターケア」とセットで考える
・偏差値の高い子、入試で勝てる子
・過去問の相性で入学後も占える!?
夏休みでもきついのに、6年生の秋は「日曜特訓」が本格化したり、小学校行事もあって、家庭学習の時間を捻出するのがより厳しくなります。
あれもしたい、これもしたいと計画を立てても、思い通りに進む受験生は「ほぼ皆無」と言っていいでしょう。
志望校、成績に関わらず、「時間が足りない」はすべての親御さん、受験生の共通の悩みです。
時間の確保が難しい中でも、復習を兼ねた自力でアウトプットする時間と過去問を解く時間は「最優先事項」になります。
特に過去問の取り組みは時間がかかります。
1回やれば最低でも3時間はまとまった時間が必要です。
一気に取り組まず、数日を使って科目ごとに小分けしながら進めている家庭が多いのも、なかなかまとまった時間と場所を確保しにくいからです。
過去問は「解いて何点だった」「合格最低点突破した」のやりっ放しでは意味がありません。
「解答分析」「誤答、弱点の解き直し」「類題演習」という、「アフターケア」とセットで考えます。
そう考えると、1年分の過去問に費やす時間は解くだけで必要な3時間をはるかに超えます。
時間が足りない中で、過去問の取り組み一式にどう取り組むか…スケジュールを考えるうえで悩ましい問題です。
しかし、「アフターケア」を入念にやるか、「テキトー」で終わらせるかで、入試直前あるいは入試中の「学力の伸び」が格段違ってきます。
最後の最後に「学力の伸び」をマックスにするには、やはり「取り組み方次第」といえます。
よく合格体験記などで「第1志望の過去問を10年分3周しました!おかげでやるたびに得点が上がり、入試前には合格最低点を超えて安心して試験に臨めました」などという「血と汗と涙の合格記録」があります。
すさまじい執念です。
しかし、そのような膨大な時間をよくひねり出せたな、と関心はするものの、おすすめできる過去問の取り組み方とは個人的には思いません。
解き直すことは悪いのではありません。
問題は過去問を合格点最低点を突破するまで、何度もやり直すことに意味がないからです。
解答の記号を覚えて「ここ“ア”だったな」とか、計算もせずに「ここの答えは16」とか、「解答暗記」をして得点を積み重ねても全く意味がないことくらいお分かりになると思います。
過去問を解いた後の意味がある勉強の仕方(アフターケアー)は過去問の「深堀り」です。
「どうしてその答えになるのか、を選択肢1つ1つを吟味しながら、正答の理由、誤答の理由を分析する」「算数も解き方をなぞっていってどこが不具合で間違ったのか」など、1つの問題に対しどうして○や×になったのかを、深く追求することこそ、過去問を解く意味があります。
間違えたものだけを振り返りがちですが、それ以上に大切なのは「たまたま正解した」「実はあいまいなままなんとなく書いたら正解した」問題の深掘りです。
これをきっちり「詰める」ことで実力は1つ2つ上の「ステージ」に上がります。
偏差値65以上をコンスタントにとる子、入試で力通りの結果を出す子の特長は難問を正解するのではなく、「基本問題を確実に正解する」「あいまいさをクリアにしていく勉強をしている」の2点です。
過去問を「深掘り」することで、この力は付きます。
過去問を「深掘り」していくと、各校の「色」や「味」というものが感じられます。問題の「特徴」とも言い換えられます。
この「特徴」こそ、各中学校から受験生への「メッセージ」が込められています。
こういう問題を面白がって解く子に入学してもらいたい、こういう文章に共感できる子に来てもらいたいなど、入学後を想像しての入試問題は作成、出題です。
過去問との相性が良い、悪いとよく言われますが、それはその中学が子どもに「合っているか、合っていないか」にも通じるものがあります。
夢にまで見た志望校かもしれませんが、過去問を何年分かやってみて、月日が進んでも合格点に程遠い場合は、合格、入学できたとしても違和感を感じる学校になるかもしれません。
過去問は入試の合否とともに、「その後」も占えます。