◆中学受験の窓口 今日のメニュー
・「解く順番」で偏差値に差が出る
・正答率20%以下の問題はスルー
・「横断」で「嗅覚」を鍛える
・嗅覚を鍛える=入試で差が出る
算数の偏差値が得点が60台の子と50前後で足踏みしている子の差として、問題に対する「嗅覚(きゅうかく)」の差があります。
模試などで問題冊子を開くと、多くの生徒が大問1から取りかかります。
一方で偏差値の高い子、効率よく得点を積み重ねる子は、冊子をペラペラめくり、30秒から1分で「解き進める順番」を大まかにかぎ分け、自分にとってやりやすい問題から始めます。
さらにデキる子は「軌道修正」の決断も素早いです。
一度解く順番を決めても、解いている最中に、自分が立てた方針がしっくりこない、意外と厄介などの「におい」がした場合、勇気をもって「方針変更」、「一時撤退」で違う問題に「転進」します。
「時間切れ」によって、「できる問題」が手つかずのまま終わること、焦って誤答することが「もったいない」と分かっているからです。意図的に、戦略的に後回しにしてより得点できる問題へと取りかかります。
確実に得点できるものを素早く解き、面倒な問題に腰を据えて取り組むのか。漫然と出題順に解いて、難しいところで立ち止まっては、ウーウーうなって時間を消費するのか。
同じ試験時間でも結果に差が出るのは当然です。
公開模試を受ける意味は自分の現状の偏差値を知ることや志望校判定とともに、この「解く順番を決める練習」 というのも重要なテーマの1つです。
もう1つ、公開模試を受ける意味として、テスト後の「問題の解き直し」があります。
間違えた問題はもちろん、正解した問題も解説をたどりつつ、自分の解答への「道筋」が正しかったのか、たまたま正解したのかを確認すると、「合格力」は倍増するくらいの効果があります。
模試の問題は、各進学塾の先生が「今、受験生が触れておきたい問題」を練りに練って出題してくるからです。
その一方で、練り過ぎてしまって「?」が付く出題も少なくないのも事実です。
その見分けは親御さんではなかなか難しいのですが、模試の正答率が20%を切ったら、解き直しは「スルー」して構いません。
このレベルの正答率の問題が出来なくても入試本番では大勢に影響はありません。
確実に基本問題を仕留められれば、どんな中学でも十分合格点に達します。むしろ難しい問題の「沼」にはまらないようにするのが合格への「鉄則」です。
基本問題を落とすのに加えて、問題を解く順番がまずいと、偏差値もなかなか上がらなければ、志望校への合格も遠くなります。
算数は模試だけでなく、実際の入試問題で鍛えるのも「合格力」を上げるのには効果的です。
自身が受ける志望校とは別の入試問題を「横断」して解くのも結構力が付きます。日能研系のみくに出版発行の「中学入学試験問題集」、通称「銀本」や 過去問集の古本を複数使ってみるのも良いでしょう。
大問1だけを「横断」して解いていくとか、志望校でよく出る図形問題を選んでのやってみるとか、最後の大問ばかりをピックアップするなどやり方はいろいろです。
入試問題を「横断」して解くことによって、「結構同じような問題が出る」とか「問い方は違っているけど、これはあの問題と同じ考え方だな」とか、「嗅覚」が鍛えられます。
問題の「におい」をかぎ分けることができれば、正解を出すための方針も早く立てられ、問題を解く時間も多く確保できます。
入試での1分、2分は「貴重」です。こういう「訓練」を積み重ねた子が、入試本番の緊迫した状況の中で結果を出すことができます。
志望校の傾向に絞った勉強は、合格を勝ち取る最有力「ルート」です。
しかし、さまざまな問題に触れて、入試を突破するための「引き出し」を多くしていると、受験校の傾向、問題のパターンが変えられた場合でも対応できます。特に難関、上位校ではこれがものを言います。
「何かいつもと違う」と異変を嗅ぎとるだけでも、動揺せずに問題に取り組めます。方針転換が柔軟にできるからです。
嗅覚を鍛えていないと、 過去問のパターンを少し変えられる=かいだことなない「におい」がするだけで、動揺し、そのまま時間だけが過ぎ、なすすべもなく入試が終わって…となります。こうなると結果は見えています。
この差が入試で逆転合格を呼び、連戦連勝となる「合格力」につながります。